新芽 取亜 ―symmetria―

主にアメブロにてクラシック音楽CDなどのレビューを綴っているシューマニアーナ。毎日がシューベルティアーデ。このnoteにも少しずつ投稿できたらと画策中…。 「唯我独尊的クラシックCD聴聞記(仮)」➡️https://ameblo.jp/symmetria59-95

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  • note クラシック音楽の普遍化を達成する

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    クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参加希望の方はマガジンの固定記事でコメントしてください。

最近の記事

シューベルト/3つのピアノ曲 ― Drei Klavierstücke D946

今日11月19日はフランツ・シューベルトの命日。そこで最も好きな作品―「3つのピアノ曲 D946」を取り上げたいと思う。 とても地味なタイトル曲だが、特に2曲目はピアノ曲史上最高ランクに位置する愛おしい作品だ。シューベルトの死の半年前に書かれたこの曲集は、1868年にブラームスによって編集され匿名で出版されたようだ。但し、この3曲の組み合わせがシューベルトの意図なのか、ブラームスの意図なのかは未だに不明である。それでも「このまま歴史に埋もれさせるには勿体ない」と思えるほど素

    • 村上春樹/鼠三部作②~1973年のピンボール(1980)

      処女作「風の歌を聴け」に続く、村上春樹による「鼠三部作」の2作目。1973年の秋を背景に「僕」と「鼠」の物語がパラレル的に進められてゆく―。 面白いのは前作とは異なり、2人がビールを飲みながら会話を交わすことも、互いのことを考えることもない (ごく僅かな部分を除いて) ということだ―彼らが意外な仕方で出会うのは次作「羊をめぐる冒険」で、となる。ドストエフスキーの小説では登場人物の人生がポリフォニーの如く同時進行的な書き方がなされているが、それらを思わせる書法だ―「海辺のカフ

      • 今日11/04はメンデルスゾーンの命日。作曲以外にも多方面の才能に恵まれ、指揮者としては現代のコンサートの型を作った人―それまで交響曲は楽章全曲の連続演奏は稀であった。シューベルト/グレイトの初演、マタイ受難曲の蘇演など―彼がいなければ音楽史の発展は何十年も遅れていたことだろう。

        • 村上春樹/鼠三部作 ① ~風の歌を聴け(1979)

          作家・村上春樹 (1947- ) のデビュー作。1979年発表。いわゆる「鼠三部作」の最初の1冊でもある。ただ、僕が読んだ最初の村上作品ではない―初読が何だったかは覚えていない。 大概読んだ村上作品の中で、何故か再読が多いのが「鼠三部作」+ダンス・ダンス・ダンスであり、最近また読み始めたのが本作である。「処女作には作家の全てが内包される」―というが、表現や内容が近年の作品を連想させるものもあって楽しめたし、また読み直したりもした。ある意味時代を経ても読後感がさほど変わらない

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          イーヴォ・ポゴレリチによる珠玉のブラームス・アルバム

          現代を代表する個性派ピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチによる珠玉のブラームス。実に愛すべきディスクだ。一体何度聴いたことだろう。「レコードがすり減るほど…」という言葉があるが、幸いなことにその心配はなく、ポゴレリチ特有の「凝縮された内的感情の推移」に思う存分聴き浸ることができる。 当アルバムは1990年初めの録音―それは彼のレコーディングの中で特筆すべきアルバムが生み出された時期だと思う。スカルラッティの奇跡的録音、ハイドンのクリスタルな叙情性、悪魔的なリスト&スクリャービン

          イーヴォ・ポゴレリチによる珠玉のブラームス・アルバム

          マーラー/交響曲第9番は第1楽章だけで充分―クレンペラー盤を聴いて改めてそう思った。クラシックファンには受け入れられない意見なのは承知の上だが、前半楽章のみのCDがあるのは僕としてはとても有難い。第1楽章はマーラーの生涯最高の超高密度な音楽。第2楽章以降は後日譚みたいに聴こえる。

          マーラー/交響曲第9番は第1楽章だけで充分―クレンペラー盤を聴いて改めてそう思った。クラシックファンには受け入れられない意見なのは承知の上だが、前半楽章のみのCDがあるのは僕としてはとても有難い。第1楽章はマーラーの生涯最高の超高密度な音楽。第2楽章以降は後日譚みたいに聴こえる。

          ブルックナー/弦楽五重奏曲

          昨日10月11日は今年生誕200年を迎えたアントン・ブルックナーの命日だった。 その日、アメブロで投稿したのが「ブルックナー/弦楽五重奏曲ヘ長調」―彼の数少ない室内楽の中で傑作と評されている作品だった。どうしても交響曲作家のイメージが先行するブルックナーだが、交響曲第5~6番と並行して作曲されたこのクインテットでは随所にブルックナー味を堪能できる。特に第3楽章アダージョの絶美な音楽はなかなか聴けるものではない。シンフォニーの大音響に閉口しているリスナーであっても楽しめるので

          ブルックナー/弦楽五重奏曲

          サン=サーンス/クラリネット・ソナタ

          今日10月9日はカミーユ・サン=サーンスの誕生日。 昔から好きなのは (誕生日なのに) 再晩年に作曲された一連の管楽器ソナタの中の1曲―クラリネット・ソナタ Op.167である。 「クラリネット・ソナタ」というとブラームスやプーランクの作品を思い出すが、どちらも作曲家の晩年に書かれている―という不思議な共通項を持つ。ブラームスは枯淡の美と最後の情熱を感じさせ、プーランクは亡き友人オネゲルへの追悼の想いに溢れている。ではサン=サーンスは、というと、特にレント楽章の悲痛さに胸が

          サン=サーンス/クラリネット・ソナタ

          ティーレマン/WPhによる「Bruckner 11」~交響曲第00番&第0番、第5番

          ブルックナー生誕200年の2024年を前にして、クリスティアン・ティーレマンがウィーン・フィル (WPh) とレコーディングしたブルックナー/交響曲全集プロジェクト「Bruckner 11」―その第1弾となったDVD盤 (Blu-ray盤やCD盤もあり) 。習作として認知されていた2曲の交響曲 (第00番ヘ短調&第0番ニ短調) と交響曲第5番変ロ長調がウィーン・ムジークフェラインザールで無観客ライヴ収録されている。2021年3月録音。 ボーナス映像として、各交響曲についてティ

          ティーレマン/WPhによる「Bruckner 11」~交響曲第00番&第0番、第5番

          マルケヴィッチ/BPhによるシューベルト/交響曲集 (+α)

          「20世紀の巨匠シリーズ マルケヴィチの芸術」からの1枚。イーゴル・マルケヴィチがベルリン・フィルを指揮したシューベルト/交響曲第3番&第4番「悲劇的」をメインに、カップリングとして手兵ラムルー管弦楽団と演奏したハイドン/協奏交響曲とグルック/シンフォニアが収録されている。アンコールプレスされた限定盤。1950年代のモノラル録音 (グルックのみステレオ録音) ながら鮮明な音質で楽しめる。 【収録内容】 シューベルト: 1. 交響曲 第3番 ニ長調 D200 2. 交響曲

          マルケヴィッチ/BPhによるシューベルト/交響曲集 (+α)

          浜松市楽器博物館コレクションシリーズ~シューマン夫妻の室内楽

          ロベルト&クララ・シューマンの「ピアノを伴う室内楽曲」を小倉喜久子らピリオド奏者たちが演奏したコンサート・ライヴ盤。コジマ録音からリリースされている「浜松市楽器博物館コレクションシリーズ」からの1枚である。 日本を代表するフォルテピアノ奏者の1人、小倉貴久子が今回弾いているフォルテピアノは浜松市楽器博物館が所有しているコンラート・グラーフ作の歴史的ピアノ (1819-20) である。詳細はライナーノーツに記されているが、その姿はジャケット写真からも伺えるだろう。ただ、見てお

          浜松市楽器博物館コレクションシリーズ~シューマン夫妻の室内楽

          ロシア・ピアニズムの系譜

          ロシア・ピアニズムの系譜を紡いできた9人のピアニストの演奏を収録したサンプラーCD。DENONレーベルはソフロニツキーをはじめとして、ロシアのピアニストの名盤をシリーズ化してリリースしてきた。どの演奏も歴史や伝統の重みとともにリスナーの胸に迫る重厚で心に残るピアノであり、それらの一端をここで味わうことができる。 「ロシア・ピアニズム名盤選」と題するシリーズは2003年以降3回にわたりリリース、計55タイトルに及ぶ。アナトリー・ヴェデルニコフ、ゲンリヒ・ネイガウス、ウラジーミ

          ロシア・ピアニズムの系譜

          イェルク・デームス/「月影の寺で弾く」

          コンサートで来日中だったイェルク・デームスが録音の少ないグロトリアンを弾いたアルバム。2001年4月録音。当時考えられる最高の条件(無指向性マイクワンペアによる高度なワンポイント録音、ビクターの最新技術K2レーザーカッティング処理を施した24K純金仕上げのゴールドCD)で仕上げられた。ロケーション場所は横浜テラノホールである。 デームスの演奏は全13巻からなる「シューマン/ピアノ曲全集」で親しませてもらっていた。往年のファンであれば「ウィーン三羽烏」の一人として認知されてい

          イェルク・デームス/「月影の寺で弾く」

          バーンスタインによるシューベルト/グレイト交響曲&シューマン/マンフレッド序曲

          検索していて偶然見つけたDVD盤。バーンスタイン指揮によるシューベルト/交響曲第8(9)番「グレイト」とシューマン/「マンフレッド」序曲がライヴ収録されている。前者のオケはバイエルン放送管弦楽団、後者はウィーン・フィル。どちらもCD音源では聴けない貴重なものだが、特に後半のシューマンには驚いた―この演奏の存在すら知らなかったからである。 レニーは1980年代にWPhとシューマン/交響曲&協奏曲の録音 (+映像) を残しているが、そこには「マンフレッド」序曲は含まれていなかっ

          バーンスタインによるシューベルト/グレイト交響曲&シューマン/マンフレッド序曲

          「HAYDN2032」第5集 ―「才気の人」~ハイドン&クラウス/交響曲集

          卓越したリコーダー奏者で、イタリアのピリオド・アンサンブル「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」の創設者でもあるジョヴァンニ・アントニーニがバーゼル室内管弦楽団を指揮してのハイドン/交響曲集。カップリングとしてクラウス/交響曲ハ短調が収録されているのが興味深い。実際それがこのアルバムの購入理由であったりする―アルバムタイトルからしても、こちらがメインなのかもしれない。 ジャケット写真の秀逸さやライナーノーツの充実ぶり、個性的で実力あるアーティストが揃っているレーベル「アルファ

          「HAYDN2032」第5集 ―「才気の人」~ハイドン&クラウス/交響曲集

          アーノンクール/CMWによる「若き日の神童モーツァルト」~初期交響曲集

          アーノンクールらしいこだわりに満ちた2枚組アルバム―モーツァルト10代の初期交響曲集の第2弾。家族のように最も信頼のおけるウィーン・コンツェントゥス・ムジクス (CMW) との共演で、しかも手紙の朗読付きという点は第1弾と同じコンセプトだが、こちらは名曲「小ト短調」K.183を含むとあって、より注目できるアルバムとなっている。 アーノンクールが早くからモーツァルト演奏に力を注いできたことはよく知られているし、当時その過激なサウンドが激しい批判を浴びたことは語り草となっている

          アーノンクール/CMWによる「若き日の神童モーツァルト」~初期交響曲集