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集団指導と個別指導の関連性とは?放課後等デイサービスにおけるコミュニケーション支援の重要性

放課後等デイサービスは、特別な支援を必要とする子どもたちが安心して過ごしながら成長できる場所です。ここでは、単なる学習指導だけでなく、コミュニケーション能力の向上を重視した支援を行っています。言葉が話せるかどうかに関わらず、人と関わる力を育むことが、将来の社会生活において非常に重要です。本記事では、放課後デイサービスでのコミュニケーション指導の考え方や具体的な方法についてご紹介します。


放課後等デイサービスの目的

放課後等デイサービスの目的は、子どもたちのコミュニケーション能力を高めることにあります。そのため、個別指導を実施しますが、一般的な学習塾のように学習指導をメインとする施設ではありません。

コミュニケーション能力を伸ばすための指導法

まず、集団活動を通じて、子ども一人ひとりのコミュニケーションの課題を把握します。言葉を話せない子どもであっても感情を持っており、感情表現が通じる方法を指導する必要があります。

言葉を発しなくても、目の動きや態度で感情を伝えることは可能ですが、それに頼りすぎると子どもは「言葉を話さなくても通じる」と思い込み、話す機会を失うことがあります。そのため、指導者は適度に「わからないふり」をしながら、子どもが自ら言葉を発したくなる環境を作ることが重要です。

言葉の訓練を直接行うのではなく、「相手とコミュニケーションをとりたい」という気持ちを育てることが、言葉を話す動機につながります。集団の中での会話や笑いを通して、自然なコミュニケーション能力の向上を目指します。


子どもたちの居場所づくり

指導内容が難しい、または興味を持てない子どもを、別室に移して個別指導を行うべきか、それとも同じ部屋に留まらせるべきか——この点は重要な判断になります。

子どもが「できない」と感じても、みんなと同じ空間にいることで学べることは多くあります。例えば、指導者に抱きついたり、おんぶを求めたりする子どもも、同じ空間で我慢することで、少しずつ集団生活のルールを学んでいます。我慢することは、コミュニケーション能力の大切な要素の一つです。

大人になれば、協調性がないという理由で、自己主張が強すぎる人が周囲から敬遠されることもあります。コミュニケーションとは「相手の主張を受け入れる度量」を持つことでもあります。


笑顔の大切さ

活動に参加せず、見ているだけの子どもに対しては、無理に強制することはありません。しかし、促し続けることは大切です。

人が最初に身につけるコミュニケーション手段は「笑顔」です。笑顔は誰にとっても魅力的であり、人に好かれる第一歩です。好かれることで、人から助けてもらえたり、学ぶ機会が増えたりします。知識や学力だけでは、社会での適応力は養えません。


学術的な根拠とスポーツの重要性

北里大学の石田宏代教授の研究によれば、障がいのある子どもは、認知能力の面では健常児と変わらないものの、「伝える」段階で課題が生じやすいとされています。そのため、集団の中での訓練が有効であり、「姿勢の改善」が重要な要素とされています。

また、日本ダウン症協会の玉井理事長による研究では、スポーツを通じて大腿筋を鍛えることが発語の促進につながると報告されています。そのため、放課後デイサービスでは、運動を取り入れながらコミュニケーションスキルを向上させる指導を行っています。集団スポーツでは、規律や礼儀を学びながら、他者との関わり方を自然と身につけることができます。


放課後デイサービスでの学習内容

放課後等デイサービスの主な目的は「コミュニケーションスキルの向上」であり、それに基づいて学習内容を決定しています。

国語

  • ひらがなの読み

  • ひらがなの文章の理解

  • 小学1年生レベルの漢字

  • 話し言葉における助詞の使い分け

  • カタカナの読み

  • 口頭での会話能力の向上

算数

  • 1〜10までの数字の理解

  • 足し算(繰り上げ含む)

  • 一桁の引き算

  • 数の大小の比較

これらの学習は、コミニュケーションに使われる事も多々あるので指導しています。

宿題の扱いについて

集団または個別のコミュニケーション指導が始まると、宿題を短時間で終わらせる子どももいれば、集中が続かず手をつけられない子どももいます。その場合、放課後等デイサービスの本来の目的である「コミュニケーション指導」を優先します。


よくある課題と対応策

課題①

家庭では楽しそうに話し、小集団(2〜3人)では活動できるが、10人以上になると消極的になり、行動できなくなる。また、個別学習ならできるのに、大人数の場ではうまくできない。

課題②

活動中に「トイレに行きたい」「お腹が痛い」「どこかに行きたい」といった理由で、活動から外れようとする。

これらのケースでは、子どもが活動に興味を持てていないのか、指導方法が適していないのかを考える必要があります。指導員は適切な活動の選定や指導方法の見直しをすることが重要です。


まとめ

放課後等デイサービスでは、子どもたちのコミュニケーション能力を育むことを目的とし、集団指導と個別指導の関連性を活かした支援を行っています。単なる学習指導ではなく、言葉を話す意欲を引き出すための環境づくりが重要です。集団の中で自然にコミュニケーションを学び、笑顔を通じて人との関わりを深めていくことが、社会での適応力向上につながります。

また、スポーツを取り入れることで、発語の促進や規律の習得をサポートし、より実践的なコミュニケーション能力の育成を目指しています。子ども一人ひとりの特性を尊重しながら、最適な学習・指導環境を提供することが、放課後等デイサービスの大切な役割です。一人ひとりの成長を大切にしながら、最適な環境を提供する場することが大切です。

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