岩松勇人プロデュース@ビジネス本研究所:仕事ができるとはどういうことか 山口周 楠木健
【仕事ができるとはどういうことか】はこんなあなたのための書籍です。
●仕事ができる人になりたい人
●センスを高めたい人
●今後の仕事の質を高めていきたい人
●仲間に頼られるような存在になりたい人
●ビジネススキルの向上に重きを置いている人
【仕事ができるとはどういうことかの目次】
はじめに
第1章 スキル優先、センス劣後の理由
第2章 「仕事ができる」とはどういうことか?
第3章 何がセンスを殺すのか
第4章 センスを磨く
おわりに
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今回は、
「仕事ができるとはどういうことか?」
という本を解説します。
本書は、楠木建氏と山口周氏という
気鋭の論者2人が、ビジネスにおける
「センス」について縦横に語り合ったものである。
センスの重要性はみな薄々感じているのに、
「それはセンスだよ」と言ったとたんに
そこで話が終わるようなところがあり、
あまり正面から論じられてこなかった。
本書はあえてその先に踏み込んでいます。
センスの正体はロジックです。
ロジックだから、センスは後天的に
身につけることができる。
本書の後半では、その方法が紹介されています。
この本の結論は、
「センスを高めて仕事ができる人になろう」
という内容です。
センスとスキルは対となるものであり、
そのどちらも大切です。
ただし「役に立つ」ものではなく
「意味がある」ものが求められる
日本のマーケットでは、センスなくして
価値のある仕事をすることが難しくなっています。
センスを身につけるためには、
センスのある人を徹底的に、
一挙手一投足に至るまでみること。
「かばん持ち」のようなことができれば一番いい。
もう一つは、「要するに」と、問題を
抽象度を上げて考える習慣を身につけること。
本書の重要なポイントを
3つに絞って解説します。
それでは順に解説していきます。
まず1つ目のポイント
1 仕事ができる人はセンスがある
そもそも仕事とは何か――
本書はその定義から始まっています。
著者の楠木さんの定義では、
「仕事」とは「趣味」でないものである。
趣味は自分のためにやることで、
自分が楽しければそれでいい。
一方、仕事は「自分以外の誰かのためにやること」
「自分以外の誰か」は、取引先だけではない。
上司や部下、同僚など、組織の中にも
あなたの仕事を必要としている人がいる。
そのような人たちに価値を与えることができて
初めて「仕事」になる。
「仕事ができる人」とは、「自分以外の誰か」に
「頼りになる」
「安心して任せられる」
「この人ならなんとかしてくれる」
さらには「この人じゃないとダメだ」と思わせる人。
一言で言えば「成果を出せる」人である。
この意味で、仕事の能力は
「あれができる・これができる」というスキルを超えた
「センス」だと言えます。
センスとは何か。
スキルは言語化・数値化して示せるが、
センスは説明しにくい。
またスキルは、正しい方法を選択し、
時間を継続的に投入して努力すれば、
間違いなく上達するものだ。
TOEICやプログラミングがその例である。
一方、センスは、努力と得られる成果の
因果関係がはっきりしていない。
これまで、スキルはもてはやされてきた。
お金に直結したからです。
ところが昨今では、「役に立つ」ことが求められなくなり、
「役に立つこと(スキル)」よりも「意味があること(センス)」
が評価されるようになりつつあります。
実際、「役に立つモノ」よりも
「意味があるモノ」のほうが高い値段で売られている。
例えば自動車の世界では、日本車のほとんどは
「役に立つけど意味がない」ものだと言える。
移動手段としては「役に立つ」が、
そのクルマがあることで人生の豊かさや
充実感が得られるわけではない。
一方、ランボルギーニやフェラーリはどうだろうか。
車体は巨大なのに2人しか乗れませんが、
数千万円の対価を
支払ってでも欲しがる人が大勢いる。
彼らは「意味的価値」にお金を支払っているのだ。
著者の山口さんは、
これを「近代の終焉」と表現しています。
日本企業の多くは「役に立つ」ことで
評価されてきたのだから、「役に立つ」から
「意味がある」への変化は、決して無視できない、
大きな変化なんです。
2 センスがある人の仕事ぶりとは
仕事において、「直観(センス)」と「論理(スキル)」
のいずれもが重要であることは言うまでもない。
しかし、順番の問題としては、直観が論理に
先行していなければならない。
問題を発見・設定するためには直観が必要だからだ。
「分析(スキル)」と「綜合(センス)」についても
同じようなことが言える。
分析という作業には、
「全体をどういうふうに分けるのか」
という視点があるはずだ。
その分け方にセンスが問われる。
悪さの原因を直感的につかんでいなければ、
「意味のある分け方」はできない。
分析をしても、これといった示唆や洞察が
得られない人は多い。
そういう人には、「スジのいい直観」がないのだ。
もちろん、すべての仕事を一人でできるわけはない。
それを前提として、センスのある人は、
全部を相手にしている。
ビジネスとは、長期利益を求めるものである。
利益とは収入からコストを引いたものであり、
これを増大させるためには収入を上げるか、
コストを下げるか、もしくはその両方の3つしかない。
全体を相手にする人は、一挙手一投足が
これら3つのうちのどれかと明確につながっている。
裏を返せば、つながらないことには手をつけない。
頂点に利益を置いて、それが収入とコスト
という2つの枝に分かれる。
そこからさらに細かく枝葉が分かれて、
一社員の末端の仕事がある。
このような全体の樹形図の中で、
自分の行動が今どこに位置づけられているのか
を常に意識しているのだ。
一方、センスのない人は、全体が見えていない。
そのため活動が局所化・部分化し、優先順位がつけられない。
すべての分野においてセンスがある人はいない。
本当にセンスがある人は、自分のセンスの
「土俵」を理解している。
これが自分の仕事なのか、
そうでないかを直感的に見極めているのだ。
そして、「これは自分の領分ではない」
と思うことには決して手を出さない。
では、どのように「土俵感」を身につけるのか。
それは、初めのうちは迷ったら
とにかくやってみることだ。
打席に立っていろいろな球を打ってみよう。
しばらくすると、自分の得意な球がわかってくる。
そうなると、自分の得意な球だけを狙える。
3 センスがある人になるために
センスある人になるために、
社会人一年目の心得として、
本書では3つのアドバイスが書かれています。
1つ目は「常に機嫌よくしていて挨拶を欠かさない」
ということです。
誰にでも「おはようございます」
「ありがとうございました」と声をかけ、
「はい」と返事をする。
ここまでできていれば、社会に出たばかりの
ビジネスパーソンとして、80点が取れている
と言ってもOKです。
2つ目は「視(み)る」ということ。
「これは!」と思えるような仕事ができる人を
一人決めてずっと視てみよう。
漫然と眺めるのではなく、
自覚的に視ることがポイント。
そして
「なんでこの人はこういうことをこの局面でして、
なんでこういうことはしないのか」
ということを常に考える。
答えが出なくても、考え続ける。
3つ目は、「顧客の視点で考えろ」ということ。
取引先だけではなく、上司や同僚にも
「相手が自分に何をしてもらいたいか」
「あの人は何を欲しているのか」ということを
まず考えてから、それに向けて仕事をする。
これら3つは、いずれもセンスに深くかかわることだ。
エクセルや英語は自然とフィードバックがかかる
ものだから、放っておいてもいずれ取り組むことになるだろう。
ところが、センスはフィードバックがないため、
ない人はずっとないままだ。
センスは後天的に身につけられます。
最も古典的に採用されてきた手法は修行。
一流の料理人になるために、
一流のシェフのもとに弟子入りして
腕を磨くという風習は今でもありますよね。
センスの本来の性質は、きわめて総合的なもの。
つまりセンスというのは、
その人の一挙手一投足のすべてに表れる。
だから、センスのある人が身近にいれば、
その人をよく視ること。
これがもっとも確率度の高い鍛錬法である。
大切なのは「全部視る」ということだ。
メモの取り方、商談相手への質問の仕方、
会議の取り回し方、デスクの配置、
ご飯の食べ方、鞄の中に何が入っているのか
というところまで含めた、そのすべてにセンスが表れる。
だから一緒にいれば、なんでも学びになる。
これを方法化したのが「カバン持ち」
などといったシステムなのだろう。
たとえ短い接触しかかなわなくても、
こちらのアンテナが立っていれば、
その人の「立ち居振る舞い」や行動の判断基準
などから学べるものがたくさんあります。
現在の成功者もメンターや師匠が
いる場合がほとんどです。
元メジャーリーガーの松井秀喜選手は、
長嶋茂雄監督から修行のような
指導を受けています。
ソフトバンクの孫正義さんは
日本マクドナルド創業者藤田田社長から
学んだことも有名な話です。
アメブロ、AbemaTVをヒットさせた
サイバーエージェント藤田社長も
USENの会長宇野康秀さんをメンター
にしています。
独学で技術、知識、センスなどを
習得しようと思ったら習得するまでに
人生が終わってしまいます。
あなたが興味のある分野やビジネスのことなど、
習得している人から修行して学び、
最短最速で習得してより良い人生を
歩むという選択肢はいかがでしょうか?
ということで本書のまとめを終わりにします。
最後におさらいしましょう。
1 仕事ができる人はセンスがある
仕事ができて、センスがある人というのは、
一言で言えば「成果を出せる」人です。
この意味で、仕事の能力は
「あれができる・これができる」というスキル
を超えた「センス」だと言えます。
2 センスがある人の仕事ぶりとは
仕事において、「直観(センス)」と「論理(スキル)」
の両方が重要であることは言うまでもありません。
センスのある人は、仕事の全部を相手にしていて、
自分の土俵を理解して優先順位をつけて
取り組んでいます。
3 センスがある人になるために
センスがある人になるためのアドバイスが
本書では3つ紹介されています。
常に機嫌よくしていて挨拶を欠かさない
仕事ができる人を見ること
顧客の視点で考えること
また、センスがある人の身近にいることで、
高い確率で鍛錬ができます。
著者について 楠木 建
1964年東京都生まれ。89年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋ビジネススクール教授。
専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。
著書に『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)、
『室内生活 スローで過剰な読書論』(晶文社)『すべては「好き嫌い」から始まる
仕事を自由にする思考法』(文藝春秋)など。
著者について 山口 周
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。
独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、
コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発に従事。
現在、株式会社ライプニッツ代表、株式会社中川政七商店、株式会社モバイルファクトリー社外取締役、
一橋大学大学院経営管理研究科非常勤講師。
著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(光文社新書)、
『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(ダイヤモンド社)、
『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(KADOKAWA)など。