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加速主義

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2022年11月の記事一覧

ミシェル・フーコー『臨床医学の誕生』読んだ

ミシェル・フーコー『臨床医学の誕生』読んだ

久々のみすず書房シリーズ。

約1年半積んでいたがようやく読んだ。

2回読んだがよくわからないところも多く、とりあえず現時点での理解を書いておこうって感じだ。

18世紀以降の西ヨーロッパで臨床医学の認識論的転換があったという論旨だが、実際のところそんなわかりやすくは書いていないのだ。

従来は病人は家庭で看護されていたが、いつのまにか医療施設で治療されるべきものに変わった。

その過程で、医師

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國分功一郎『暇と退屈の倫理学』読んだ

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』読んだ

ワールドカップ盛り上がってますね。全く退屈する暇がない。

というわけでこんな本を読んでみた。

私は増補版を読んだけどKindleがない。まあどっちでも変わらんと思う。

もともと移動しまくってたサピエンスは、いつしか定住への移行した。いつも同じところにいると退屈しちゃう生き物らしい。

進化心理学的なことはまあいいとして、まず暇と退屈を区別する。暇とはたんにやることがない状態で、退屈とはおもん

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『無駄だらけの社会保障』読んだ

『無駄だらけの社会保障』読んだ

一部界隈で話題の本を読んでみたよ。

タイトルのとおり、医療などの社会保障にいかにムダが多いかって話が中心であった。

当たり前のことだが、ムダを削ると必要な給付も削られることになる。ここはトレードオフだ。

本書で説明されているムダには、医師でないとできないとされているせいでるものが多い。OTC薬が普及しないのもこのせいである。副作用があるのだから医師の責任の下で処方すべきというわけである。

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島澤諭『シルバー民主主義の政治経済学 世代間対立克服への戦略』読んだ

島澤諭『シルバー民主主義の政治経済学 世代間対立克服への戦略』読んだ

世代間格差についての本を読んだので、その著者がより最近に出版したものも読んでみたのだ。

シルバー民主主義とタイトルにあるが、まえがきでいきなり日本にシルバー民主主義は存在しないと言い切っている。シルバー優遇、シルバーファースト現象はあるが、シルバー民主主義ではないとのことである。これらを厳密に区別する意味はあんまりなさそうなのだが、著者はたびたびこのことに言及している。

しかし著者は、いかに高

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西部邁『蜃気楼の中へ』読んだ

西部邁『蜃気楼の中へ』読んだ

友人に勧められていた西部邁のエッセイを読んだのである。

西部邁を勧めてくる友人がいるなんてのは本当にありがたいことである。

本書は1977年から1978年の2年間、西部がUCバークリーおよびケンブリッジに留学していたさいのエッセイだ。ちょうど私ども団塊ジュニア世代が生まれたころだね。

また西部は30代終盤であり、まだ自裁なんてことは考えていなかったころだと思われる。

アメリカに市海岸といえ

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