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名作マンガで「贅沢な二律背反」を

なんと。

8月23日に発売された「芸術新潮」9月号で、萩尾望都さんのスケッチ画が見られるそうです。

↑いわく「デビュー前から近年に至るまで作品のアイディアを書きためてきた、200冊に上るスケッチブック/クロッキーブックのなかから厳選した約80点の画を紹介します」とのこと。

「ポーの一族」「トーマの心臓」「スター・レッド」「11人いる!」「半神」「モザイク・ラセン」など数々の名作を読んできました。前にも書きましたが、最初に接した萩尾さんの作品は「半神」です。野田秀樹さんの劇団「NODA・NAP」が1999年におこなった公演を渋谷のシアターコクーンで見ました。

次も舞台でした。演劇集団キャラメルボックスによる「トーマの心臓」をケーブルTVで視聴したのです。

いずれも惹き込まれました。未知の世界観&初めて触れる価値観。原作を買わねばと思ったのを覚えています。

しかし両作品を読んだのは10年以上も経ってから。いま振り返ると、男性である自分が「少女コミック」を購入することに躊躇いを覚えたのかもしれない。家庭環境が保守的だったし、一種の刷り込みが働いた気がします。

そんなわけで、社会人になってから「半神」と「トーマの心臓」を手に取りました。あの衝撃を言語化するのは不可能です。神の領域、すなわち「全神」かと。

主題、キャラクター、セリフ、物語、そして絵。すべてが完璧と映りました。すぐには答えが出ない哲学的命題を投げ掛けつつ、理屈抜きの美で魅了してくる。「未来を見据えよ」と「いまがすべて」さらに「考えろ」と「感じろ」が超高度の次元で共存。なんて贅沢な二律背反なのか。

「半神」は短編集なので入り口にオススメです。「芸術新潮」と併せてぜひ。お求めはお近くの書店にて。

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