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「新たなファンの開拓」&「○○○の効用」

11月に発売された↓が売れています。

文芸誌「GOAT」の第1号です。紙を愛してやまないヤギにちなんで名づけたとのこと。公式サイトはこちら。

「自分たちが心の底から読みたい、みんなに読んでほしい小説を集めた文芸誌を作りたい」
「エンタメや純文学といった線引きは一切なしで、もっと小説をカジュアルに」

書かれていたコンセプトに賛同します。小説の読み手にとって重要なのはジャンルではなく、シンプルに作品が「面白い」(必ずしも楽しいや読み易いとイコールではない)かどうかだと思うので。

豪華な執筆陣が集まった526ページ。にもかかわらず「GOAT」の読みに合わせた510円(税込)です。利益が出るのかなと余計な心配をしてしまいました。デアゴスティーニなどのパートワークみたいに2号目から一気に上がるわけでもなさそうだし(上げることをけん制しているわけではないです)。

文芸誌といえば、前にも書いた気がしますが、16号限定で刊行している「スピン」(河出書房新社)もオススメ。12月に第10号が発売されました。176ページでお値段はなんと330円(税込)です。

両誌の内容を見ると「小説の単行本が売れないと嘆くのではなく、新たな文芸ファンを開拓しよう!」という心意気が伝わってきます。価格設定もその一環なのでしょう。

かつて「小説すばる」(集英社)を毎月買っていた身です。その時気づいた「文芸誌の効用」を思い出しました。推し作家の新作を、書籍として刊行される前に読める。様々な書き手の創作やエッセイに触れることで、関心の幅が広がる。新刊情報や書評で知った本が何度も読み返す愛読書になったことも一再ではありません。

面白い小説と出会えるのはたしか。しかし文芸誌がくれるものはそれに留まりません。入り口として「GOAT」や「スピン」をぜひ。

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