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イチ書店員が「ほんまる神保町」から学んだこと

JR佐賀駅構内にある「佐賀之書店」が、12月3日で開店1周年を迎えました。

直木賞作家・今村翔吾さんがオーナーを務めるこちらの本屋さん、いつか体験したいです。

彼が神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」には、何度か足を運びました。

「書店が増えれば本を読む人が増えるのでは」という今村さんの見解に賛同します。と同時に、末端とはいえ書店員として「国の支援もいいけど、もっと自分たちにできることがあるのでは?」という変化と工夫のススメを感じました。

「ほんまる」に置かれた本を眺めると、棚主さんの選書に込めたストーリーが伝わってきます。見たことのない書籍も少なくない。この種の新鮮さを、自分の働くチェーン店の棚により反映させたい。

ただ、平積みできるエンド台やフェア台、エントランス付近といった一等地は、どうしても新刊や売れ筋、あとは「大人の事情」で広く展開しないといけない本に占拠されがち。改善できる点は改善したいけど、仕方ない部分もあります。だったら棚差しで他店との違いを見せる。私がいちばん力を入れていることです。

じっくり吟味する時間のあるお客さんばかりではないことは理解しています。「表紙を見せた方が売れる」という法則もある。でもそれらが常に最適解なら、ここまで本屋が苦境に追い込まれることはなかったはず。

積むべき本と差す本。どちらが上でも下でもない。ただ新刊や話題書は面陳するか積めばある程度売れます。棚差しの既刊を買っていただく方が難しい。どんな名著でも客層に合わなければ動きません。かといって「半年売れなければすべて返品」なんてオートマチックな仕事をしていたら、AIに代替されるのは時間の問題です。

この辺りの丁寧な見極めは、実際に本を読み、書店で働く人間にしかできないこと。そこにプロの矜持と生き残る可能性を見出しています。

「ほんまる」近いうちにまた。

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