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書店における「セオリー」の話

「セオリー」ってありますよね。

このnoteでは「定番」とか「広く一般的に受け入れられている考え方」という意味で使います。

本屋の仕事にも存在します。新刊はなるべく平積みか面陳、大量に積む際は五冊ごとに向きを変える、棚へパンパンに詰めず指一本入るようにする、並びに意味を持たせるなど。

売れた本の注文数を決める方法に関しても、計算の仕方があります。使っている人は多くないかもしれませんが。

何でもそうだと思いますが、まずは「セオリー」に従うことから始めます。「守破離」じゃないけど、先人の知恵に敬意を払い、教えを素直に守る。アレンジを利かせるのはその後です。

同じ書店業でも「セオリー」は会社ごとに様々です。お店によっても運用する際の細かい規則が変わってくる。

いくつかの本屋で働いてきました。

すべてに共通する「セオリー」もあるし、ほとんど真逆なものも存在します。基本はいまの職場のそれを守る。しかし明らかにおかしいと感じたらこっそり自分流や他の書店のやり方へ変えています。より正確に書くと「お客さん目線で望ましいのは?」が判断基準です。

具体例をひとつ。

ある書店チェーンでは、本を隙間なく積むように指導されます。たしかに見栄えはいいけど、時々取るのが難しい。無理にやるとカバーが外れたり帯が破れたりする。だから状況に応じて横だけ合わせ、上に少し隙間を設けるようにしています。本部から視察する人が来ても無視。減点されてもいい。連中とお客さん、どちらに満足してもらうために働くかって話です。

まとめると「セオリー」は知っておいた方がいい。最初はとにかく守る。でも絶対ではない。より大事な何かのためなら従わなくていい。そう考えています。

いま逆らいたい「セオリー」は「この時期になったら年賀状素材集をフェア台へ展開」でしょうか。あんなに置かなくていい。せっかくのスペースだから、もっと面白い企画に使いたいです。

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