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覚書

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わたしが消えたくなった夜のための
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#眠れない夜に

深淵なんてもんじゃない

深淵なんてもんじゃない

 どんな人に出逢っても、どんなに好きなものに囲まれても、ずっとむかしにぽっかり空いた心の穴が塞がらないまんまだって?

 おめでとう、それは心の穴なんかじゃない、ブラックホールの赤ちゃんだ。君が発している引力のこと。

 ブラックホールは、光すら脱出できないんだって、絶望みたい。でも、ブラックホールに呑み込まれる宇宙の塵たちは、最期の一瞬、あまりの熱と引力に宇宙で最も輝くらしい。もしかするとその光

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独白

独白

 あなたに手紙を書けたらいいのに、と思う。

 わたしが時間をかけて書いた文章のほとんどは、誰でも見れる場所に投げ込んでばかりいる、だってこの言葉を、同じくらいの深度で受け止めてくれるひとが、いつ、どこにいるかわからない。たった一人のために丁寧に宛てた言葉をひとに贈っているうち、わたしの熱量を上回って受け取ってもらえることは自分が期待するほどあることではない、と感じることが増えた。だからやっぱり、

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しあわせ?ふざけんな

しあわせ?ふざけんな

 自分の暮らしに不満や不自由がない状態や富、名声、絆、才能、美しさ、そういう類のものが有る状態がしあわせだ、と認識されがちだけど、きっとそうではなく、自分が望んでもないのに人生が置き土産にくれた悲しさ寂しさ不条理のすべて、をうっかり開けてしまったときに、それでもまだ自分自身に灯火をともせる心があることを、しあわせだというのだろう 

 ほしいものを手にしていないことが悔しいのであれば、絶対に自分が

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ヘイトを叫べ

ヘイトを叫べ

 なにかに感動したり、ときめいたりすることがめっきり減った。

 以前はどんなものにも心の底から共感したり、自分自身に備わっていないものであれば解ろうと近づいたり、音叉のように心を震わせたり、そうやって好奇心の赴くまま、ひとの心や、それらから生まれたものたちに触れたりしていたのに。

 今はもうなにかを見たり聞いたりしてもへえーすごいねという感じだ。もしかして、ちょっとは五感が肥えたせいかもしれな

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朝寝坊

朝寝坊

 布団から出られなくて魘されるとき、今もわたしは未だ、ずっとなにかと必死に闘っていた頃の自分を思い出す。

 六月は、一年のなかでわたしが二番目に不調になる月だ。この時期は雨や曇りばかりで朝日が差し込まないし低気圧が襲うから目覚めは最悪である。昼まで寝てしまうしそのせいか身体が一日中重くて頭もぼうっとしてやる気も起きない、寝たい、ただ眠りたい、なにもしたくない、そうやって孤独感をすっぽり頭まで被っ

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大変だけど

大変だけど

 "本来感"という言葉にはじめて出会った。

 「自分自身に感じる本当の自分らしさの感覚」という意味らしい。友人の修士論文、本来感にまつわる調査に協力しますと名乗り出て、唐突に突きつけられた質問、「今、あなたは、自分の職業に対して本来感を抱いていますか」。 

 高校を卒業してすぐの頃、個人事業主になるための開業届を出して、自立しなきゃ、はやく自立しなきゃと奔走していた頃を思い出した。主に写真や映

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漂流

漂流

 どういう話の流れだったか、今日、友人といるときに、すごくひさしぶりに、むかしの自分の文章を読んだ。懐かしさを感じながらも、ただ無我夢中に想いをしたためている自分はとうに別人に感じて、わたしから生まれた言葉は、気づけばわたしからずっとはなれた場所に居てただじっとそこに、わたしの生きていた証を静かに示し続けていた。ちゃんとそこに見えているのに、それはもう過去の光だから、今もそこに在るのかどうかわから

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