純靄禾

天国に逝く前に、天国を創るのだ。

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    わたしが消えたくなった夜のための

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    18さいのわたしが生きた証

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孤独と芸術

 本当の前置き  これはわたしの高校時代の卒業論文を一部改変し、文章にしたものです。 背景・動機・前置き  美術、音楽、文学...分野に関わらず、歴史に名を残す芸術家たちの生い立ちや生前をみるとき、彼らの描く華やかで麗しい幻想的な世界とは裏腹に、作家自身は凄惨な最期を迎える者が多い。酒・薬漬け、精神疾患、他の人間を信頼できない又は依存する、等。  現代においても創造的な人間は“闇”を抱えている人間が多いように見受けられ、社会全体でもうつ病・あらゆる人格障礙など"病み”と

    • 贅沢な二週間

       歳を重ねるごとに誕生日の過ごし方がわからなくなっている。  毎年の誕生日を“誰かに祝ってもらう”ことが確定しているわけではないわたしみたいな人間は、どうその一日を過ごすかを自分が考えてあげなくちゃ、ただ孤独を感じる一日になって、特別さが薄らいでいく気がする。わたしはいくつになっても自分の誕生日にうきうきしていたいよ。  そんなわけで、今年の誕生日、わたしはずっと念願だった免許合宿に行くことに決めた。実のところこの人生で免許を取るつもりはなかったが、運転手が疲れ切ってると

      • ナンパのテクニック3

         夜、渋谷駅。待ち合わせしている友だちと電話をしながらハチ公前にいたら、駅の方から爽やか〜でいかにも俺モテますって自覚してそうな雰囲気の男性が近寄ってきた。わたしの前で立ち止まるやいなや、そこでいきなりじゃんけんが開始された。 「おねえさん、じゃんけんしましょ!」  こちらが電話していることはお構いなしに話しかけてくるので、最初は当然無視を決め込んでいたが、あまりにも突然の出来事に動揺してしまい、電話口の友だち相手に急に敬語になってしまった。友だちがこれからハチ公に向かう

        • 深淵なんてもんじゃない

           どんな人に出逢っても、どんなに好きなものに囲まれても、ずっとむかしにぽっかり空いた心の穴が塞がらないまんまだって?  おめでとう、それは心の穴なんかじゃない、ブラックホールの赤ちゃんだ。君が発している引力のこと。  ブラックホールは、光すら脱出できないんだって、絶望みたい。でも、ブラックホールに呑み込まれる宇宙の塵たちは、最期の一瞬、あまりの熱と引力に宇宙で最も輝くらしい。もしかするとその光の残像なんかを、わたしたちは有り難がって生きてるんじゃないかと思うんだ。  穴

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        孤独と芸術

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          ナンパのテクニック2

           渋谷でロールケーキをもぐもぐ食べていたら、ナンパに遭ってしまった。 「おねえさん、それなに食べてるんすか?ロールケーキ?美味そー。おれロールケーキだいすきなんですよ。」  げげ。これから知り合いのDJ観に行くってのに足止めに遭ってしまった。 「これからなにするんすか?」 DJを聴きに行きます 「えーなに系の?」 なに系…わからないけど…kawaii future bassとかさっき聴いてました… 「あー!おれそんな詳しくないけど、じゃあ、重低音好き??」 ま

          ナンパのテクニック2

          独白

           あなたに手紙を書けたらいいのに、と思う。  わたしが時間をかけて書いた文章のほとんどは、誰でも見れる場所に投げ込んでばかりいる、だってこの言葉を、同じくらいの深度で受け止めてくれるひとが、いつ、どこにいるかわからない。たった一人のために丁寧に宛てた言葉をひとに贈っているうち、わたしの熱量を上回って受け取ってもらえることは自分が期待するほどあることではない、と感じることが増えた。だからやっぱり、わたしが文章を書くときはこんなような、誰か一人に宛てているわけではない文章なので

          ナンパのテクニック

           一人で渋谷を歩いてたら男性に声を掛けられた。わたしのオーラはサングラスをしていても溢れてしまっているようだ。 「おねえさん!」 反射的に反応してしまった。しまった。 「おねえさんめっちゃ服かっこいいすね!俺そういうの好きっすよー。サングラスもかっこいい。俺にちょっと掛けさせてくださいよ。」 逃げようがなくてこわい。YESともNOとも言わず、目線を合わせず、曖昧な笑顔だけを返す 「それどこで買えるんすか?そんなの売ってるの見たことないですよー。手縫い?まさかおばあち

          ナンパのテクニック

          言いたいことはいっぱいあるが、取り急ぎ

           どんなひとからの言葉も正面切って受け止めたいよ!  なのに、我々の遠くから、我々が作ったものに対して好き勝手言うひとが目に余るから、フィルタリングしなきゃ心がもうもたない。わたしたちのことよく知らない人の言葉だから気にしなくていい、そう思うと自衛できるけど、わたしたちのことを高い純度と熱量で応援してくださる方の言葉も、浸透しにくくなっていく、ような気がする。名が広まるにつれてアーティストが「遠くなってく」と表現することが多いけど、わたしはこの立場でどんどんお客さんのことを

          言いたいことはいっぱいあるが、取り急ぎ

          戻らないから

          ⠀  ジャネーの法則には争えているのでしょうか、わたくし  今年ははじめて、一人で大晦日の夜を過ごしている。今までの大晦日で、ひとり旅をすることはあったけど、それでも旅先の宿で出逢った人と話して年越しをしていたから、一人じゃなかった。本当なら横浜の祖母の家で過ごしたって、すこし遠くの片田舎へ移った親の元へ行ったって良かったのだけれど、ひとりで過ごしてみたかった。だって、2022年にタイトルをつけるとするなら自立だから  それで、一ヶ月とちょっとしか過ごしていないほとんどな

          戻らないから

          しあわせ?ふざけんな

           自分の暮らしに不満や不自由がない状態や富、名声、絆、才能、美しさ、そういう類のものが有る状態がしあわせだ、と認識されがちだけど、きっとそうではなく、自分が望んでもないのに人生が置き土産にくれた悲しさ寂しさ不条理のすべて、をうっかり開けてしまったときに、それでもまだ自分自身に灯火をともせる心があることを、しあわせだというのだろう   ほしいものを手にしていないことが悔しいのであれば、絶対に自分が自分にこれを贈ろうと思えること、自分の才能や内面や外見に満足してないなら磨いてや

          しあわせ?ふざけんな

          ヘイトを叫べ

           なにかに感動したり、ときめいたりすることがめっきり減った。  以前はどんなものにも心の底から共感したり、自分自身に備わっていないものであれば解ろうと近づいたり、音叉のように心を震わせたり、そうやって好奇心の赴くまま、ひとの心や、それらから生まれたものたちに触れたりしていたのに。  今はもうなにかを見たり聞いたりしてもへえーすごいねという感じだ。もしかして、ちょっとは五感が肥えたせいかもしれない。  一通り自分の姿を着替えてどんなふうになるか知ったから、なってみたい自分

          ヘイトを叫べ

          原風景、抽象の過程

           引越しの荷造りで部屋を片したとき、幼稚園や小学校で使っていた色鉛筆やクレパスが出てきて、懐かしくなってぜんぶ広げてみたらどれもみずいろだけがいちばん短くなっていた。  このあいだ、初めてお会いした方に、会って早々に「水色が好きなんですか?」と訊かれて、(え!なんでだろう、ジャケ写の印象?)と思っていたら、もちものに水色が多いから、と言われた。バレてる。  引っ張り出した画材を並べて眺めていると、迷いなくみずいろを手にとっていただろう幼い手と、水色の写真ばかり切り取るいま

          原風景、抽象の過程

          本音

           血を流す覚悟がある奴だけが見ろ  ステータス代わりに引っ提げた淡いピンクや白、黒の高級ブランドの鞄、に見合わない激安通販で買ったどっかのモデルが着てたブランドのパクリ服を着てペラッペラなのに高見え♡とか言ってるおまえの感性が死ぬほど嫌い  楽天RoomやニトリやFrancfranc、 IKEA、以前と比べてデザイン格段にブラッシュアップされてるし持ち良いしコスパすごいし企業として心からすごいとおもうけど、インテリアにつ いてリサーチすると大体みんな同じようなライトとテー

          朝寝坊

           布団から出られなくて魘されるとき、今もわたしは未だ、ずっとなにかと必死に闘っていた頃の自分を思い出す。  六月は、一年のなかでわたしが二番目に不調になる月だ。この時期は雨や曇りばかりで朝日が差し込まないし低気圧が襲うから目覚めは最悪である。昼まで寝てしまうしそのせいか身体が一日中重くて頭もぼうっとしてやる気も起きない、寝たい、ただ眠りたい、なにもしたくない、そうやって孤独感をすっぽり頭まで被って包まっていると、全然身体が動かない代わりに頭の中ではなにかがいつもぐるぐるして

          好きとかもうやめてほしい

           わたしは今まで、本当は心底好きだとおもってるものたちを「気に入ったから自分の側に置いておいてるもの」だと脳内解釈していたらしい!  たぶんいつも、自分の選択で側に置いてる、って主導権を握っていたいから認めたくなかったんだ。いやだー!好きなものが忽然と姿を消したり変えたりでもしたらわたしはきっと発狂する、なにかに心を掻き乱されること、そんなのみっともないって何処かで思ってるから、わたしが自分で選んで側に置いてやってる、みたいなスタンスなんだ。だって好き、は決して対等じゃない

          好きとかもうやめてほしい

          視界

           春を迎えたら、わたしの祖父母が目の手術を受けることになった。  自分でもわからないうちに視界がすこしずつ、白く濁っていくらしい。わたしの人生にカメラをくれた祖父は「ただのレンズ交換だよ」と言って、わたしをなだめる。    彼らの見ている世界を、わたしには何十年先まできっとわからないままだ。もし、同じように見える日が来たとしても、すこしの変化が重なってゆくだけなら、慣れてしまって気づかないんじゃないかとわたしはひどくこわくなってしまった。弱っていく自分の視力、歳を重ねたらい