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覚書

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わたしが消えたくなった夜のための
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#熟成下書き

独白

独白

 あなたに手紙を書けたらいいのに、と思う。

 わたしが時間をかけて書いた文章のほとんどは、誰でも見れる場所に投げ込んでばかりいる、だってこの言葉を、同じくらいの深度で受け止めてくれるひとが、いつ、どこにいるかわからない。たった一人のために丁寧に宛てた言葉をひとに贈っているうち、わたしの熱量を上回って受け取ってもらえることは自分が期待するほどあることではない、と感じることが増えた。だからやっぱり、

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夏、或る質問への答え

夏、或る質問への答え

 逆説的ですが、わたしの解釈としては、つくることは壊すことだと考えております。
それは、今まで信じて疑うことのなかったことを問い改めて、自分の中で固まっていた価値観や考えを崩す姿勢だったり、あるいは自分を形成していると思うもの、周囲が自分に抱いているであろうイメージや自分が自分に抱いてる期待やプライド、それらを壊すことだったり、途中までつくったものに対して何か違和感を感じたときに、ズレを抱えたまま

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十代最後の晩餐

十代最後の晩餐

 このあいだ、もうすぐ二十歳になっちゃうよー、大人になってしまうよー、いやだー、と駄々をこねていたら、「二十歳になったからといって、大人になれるわけではない」と言われた。なるほど、真理だ。しかし、年金の支払いは始まる。

 「十代とかいうたった二文字に未練を残さない、が今年の目標です」と、去年のわたし、元日に言っていた。

 9歳のとき、こどもでいることは特権なのだと気づいてしまった。こどもらしさ

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強者な兵

強者な兵

 たくさんの、傷つきやすくて繊細な人々が、「こんなことで動じないくらい強くなりたい」と言うのを見てきた。だいたいの出来事は、その人がわるいのではない、事故、ただの事故、だけどあまりにも多い、蔓延している負の感情を、ぶつけられては、ぐっとたくさん溜め込んで、自分から連鎖が続かないようにと必死に必死に、静かに浄化しようとしている。排気ガスを酸素に換える、道端の植物みたい。

 かく言うわたしもそのよう

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