【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】風邪の食養生と鍼灸治療
千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。
今年の秋はどこへいってしまったのでしょうか?と思うくらい、毎日暖かい日が続いていますが、朝晩は冷え込みもきつくなり、本格的な冬が近づいてきています。
当院のある千葉でも、朝晩は10℃を下回ることが増えてきており、出かける際にはコートが必需品となっています。
そんな中、新型コロナだけでなく、インフルエンザ流行がニュースとなっています。
当院の患者様からも、子どもの学校で学級閉鎖、学年閉鎖になったなどのお話が聞かれます。
読者の方の中にも、既にインフルエンザにかかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか??
この時季は、インフルエンザではなくても咳・鼻水・咽痛・発熱など、風邪っぽい症状で、体調を崩す方も多いですよね。
そこで 今回は、これからの季節に気を付けたい「風邪(かぜ)」と鍼灸治療、食養生について、東洋医学的にみていくことにしましょう。
1.風邪とは
秋冬に限らず一年を通して、いつでも、どこかで咳き込んだり鼻みずに苦労する方を見かけることがあるように、風邪は最もよくみられる病気のひとつですが、病院で診断される場合には、感冒、鼻風邪、夏風邪、流行性感冒等実に様々な種類があります。
いずれも、鼻や咽など上気道といわれる部位に急性の炎症が起こる感染性の呼吸器疾患で、原因が単一ではないこと、症状がさまざまでその範囲もからだのいろいろな部位に及ぶことから、総称して「風邪症候群」と呼ばれます。
【主な症状】
●くしゃみや鼻水、鼻づまり
●のどの痛み
●発熱や頭痛、全身の倦怠感
●せきやたん
話題のインフルエンザはインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症で、広い意味では風邪症候群の一種です。
ただし、ほかの病原体で起こる風邪とは症状が異なるため、区別されることが多いようです。
『風邪は万病の元』ということわざもあるように、昔から、風邪を放っておくと体に悪影響を及ぼし、それがきっかけでさまざまな病気になってしまうといわれています。
実際に、風邪をこじらせたために肺炎・中耳炎・副鼻腔炎等になることもあります。
少しでもからだの変調を感じたら、まずは無理をせずに体調を整えるようにしましょう。
2.風邪の原因
風邪症状群の原因は、80~90%がウイルスで、それ以外には一般細菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなどが原因となります。
風邪を起こすウイルスにはコロナウイルスやRSウイルス、アデノウイスル、ライノウイルスなど200種類以上あると言われており、原因を特定することは困難ですが、病院での検査を受けるとどのウィルスによるものかを調べることができます。
また、ウイルスは変異するため、一度感染した後に対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪をひいてしまいます。
ここで出てくるコロナウイルスは、従来から、風邪の原因として広く存在をしているもので、多くの人は幼少期までに感染を経験してきています。
近年、厳重な感染対策がとられた新型コロナウイルスは、その変異型で重度の呼吸器疾患を引き起こす原因となり、また世界的な感染拡大であったため、様々な対策がとられ、診断や治療法の開発が進みました。
過去には同じように重度の肺炎を引き起こすウイルスとして、SARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスやMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスなども、話題とされてきました。
3.東洋医学における風邪とは
東洋医学では、からだの陰陽バランスが崩れた状態を病気としています。
その原因としては、外因(からだの外側からくる気候変動など)、内因(からだの内側に発生する病気の原因)、不内外因(外因でも内因でもないもの)の3種があげ寒気られます。
風邪の原因は、外因のひとつである風邪(ふうじゃ)とされています。
風邪(ふうじゃ)は風のように変化しやすく動き回る特徴があり、からだに入ると急性のアレルギー性の病気やじんま疹、急な頭痛などの症状が現れます。また、風邪(ふうじゃ)は寒邪(かんじゃ:寒さの邪気)や熱邪(ねつじゃ:熱性の邪気)と一緒になることが多く、「風寒(ふうかん)の邪」や「風熱(ふうねつ)の邪」によってさまざまな症状が現れます。
3−1.寒けのあるタイプ
風寒の邪によって引き起こされる症状です。
原因は、冬のように気温が低く寒い日のほか、夏場でも冷房や冷たい飲食によって身体が冷えてしまうことなどによるからだの冷えです。
風寒の邪の場合には、身体に冷えがあり、身体の上背部や足腰が冷たくなりがちです。
また寒気を感じてゾクゾクすることもあります。
3−2.熱っぽいタイプ、咽の症状を伴うタイプ
風熱の邪によって引き起こされる症状です。
原因は、主に咽の粘膜から体内に侵入すると考えられ、まず最初に咽の症状が現れることが多いようです。
咽が赤く腫れて痛みが出て、咽が渇き、冷たい水を欲するようになります。
強い頭痛やせきなども伴うこともあります。
4.風邪に対する鍼灸治療
一般的にはあまり知られておらず、筆者の鍼灸院を訪れる患者さんにも案外驚かれることの一つとして、『風邪は鍼灸により治療が可能である!』ということです。
風邪をひいた時の諸症状、
寒気、関節痛、咽痛、咳、痰、発熱、頭痛、肩こり、鼻水、腹痛、下痢など
に対しても鍼灸治療は有効なのです。
その方法は、お身体やツボの状態をみて診断を行い、身体に入りこんだ寒邪(冷え)や熱の邪気を、身体の外へ早く追い出すことができるように、鍼灸治療を行います。
桂枝湯、麻黄湯、葛根湯などは、ドラッグストアで手に入る、風邪症状に対する漢方薬として知られていますが、漢方と鍼灸は東洋医学の同じ仲間であり、同様の治療を鍼灸によって行うことができるのです。
普段から鍼灸院に通っている患者さんは、風邪をひいたと思ったときは来院を控えて家で休息をするのも良いのですが、ぜひ、診療時に風邪をひいているということと、その症状を鍼灸の先生に伝えてみてください。
治療の際には、それらの風邪症状を考慮して鍼灸施術を行ってもらえることがあり、風邪を悪化させずに、早期に体調を改善させることに役立ちます。また、年間を通して風邪をひきやすい、月経前に風邪をひきやすい、季節の変わり目に風邪をひきやすいなど、風邪をひきやすくて困っている人の場合、身体を外邪から守るバリア機能が弱っていると考えられます。
これも、鍼灸治療により体質を改善をしていくことで、風邪をひきにくい身体づくりをすることができます。
興味をもたれたら、ぜひ、一度、近くの鍼灸院に相談をしてみてください。
5.風邪と食養生
昭和の時代から伝わる、風邪をひいた時の食べ物といえば、すりおろしたリンゴやたまご粥、たまご酒でしょうか。
この頃は、今のように、市販の風邪薬を手軽に購入することができなかったため、家庭にある食べ物を薬の代用として使用することが多かったようです。
リンゴには炎症を抑えたり疲労回復、去痰作用、消炎作用などの効果がが期待できます。
すりおろすことでのどを通りやすくし、咽の乾きをいやしたり、肺を潤したりする効果もあるといわれています。
また、たまご粥やたまご酒に使われるたまごには高い栄養価があり、からだを温められるため体力の回復に効果があります。
いずれも風邪の症状を改善する効果が期待できますが、風邪のタイプによってさらに適切な食材を選ぶことができます。
5-1.寒けのあるタイプ
からだの冷えを解消するために、辛・温性の食材を積極的に取り入れて、からだを温め、風乾の邪を発散します。
①食べるとよいもの:しょうが、ねぎ、にんにく、シャンツァイ、だいこん
●しょうが、ねぎ、にんにく、シャンツァイはいずれも温~微温、辛性の性質を持っています。(シャンツァイはパクチーとしておなじみの香味野菜です。)
●大根は涼・辛性で体を冷やす食べ物とされていますが、天日干しにして切干し大根にすることでからだを温める食材にかわります。
②避けた方がよいもの:魚類、もち米、揚げ物、柿、白きくらげ、冷物、下剤
●魚類、もち米、柿、白きくらげはいずれも甘性の性質を持つ食材です。甘味の食べ過ぎは湿を生み症状を悪化させることがあるため控えた方がよいでしょう。
●刺身などの生魚や冷物はからだを冷やす作用があるため風乾の邪を生じたからだには逆効果です。
5-2.熱っぽいタイプ、のどの症状を伴うタイプ
咽が渇いて熱っぽかったり、熱から来る頭痛がある場合には、しょうがやネギは逆効果です!涼性の食材を積極的に取り入れ、からだの熱や炎症を鎮めましょう。
①食べるとよいもの:新鮮な汁、なし、スイカ、牛乳、豆乳
●なし、スイカのほかくだものの多くは涼性の性質を持っており、体内の熱を冷ます効果があります。果
●牛乳、豆乳など色の白い飲み物は体を冷やすと言われており、くだものと同様に体内の熱を冷ます効果が期待できます。
②避けた方がよいもの:とうがらし、からし、カレー、酒、甘いもの
●とうがらし、からし、カレーなど香辛料はいずれも熱性の性質を持つ食材のため、熱を持つからだには逆効果です。
●酒や甘いもの飲み過ぎ・食べ過ぎは、カラダに余分な水分をためて湿をみ症状を悪化させることがあるため控えた方がよいでしょう。
6.日常生活の中の風邪予防
風邪は普段から予防につとめるのが一番です。
軽い風邪であれば数日で治りますが、こじらせると別のウイルスや細菌に感染したり、合併症を引き起こすこともあります。
普段から感染への備えを習慣づけるなどして、予防につとめることが大切です。
【日常でできる風邪の予防法】
①うがい、手洗い
②マスク:身近にせき・くしゃみをしている人がいる場合、マスクをつけるのも予防対策になります。
③こまめな水分補給や室内の加湿
加湿器などを利用したり、こまめにお茶や水を摂るようにすることも、風邪の予防策として有効です。
④運動・食事などの日常生活に気をつける
⑤衣類:朝晩の寒暖の差など体温調節機能がうまく追いつかないときは衣類でこまめに体温を調節しましょう。
⑥睡眠・休憩:日ごろから睡眠を十分にとり、日中に溜まった疲れを解消しましょう。少しでも体調が悪い時には安静に努めることが一番です。
⑦鍼灸治療:治未病の考え方により、心身ともにバランスのよい状態に身体を整えておくことで、風邪をひきにくい身体づくりができます。
7.まとめ
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
風邪に対しても鍼灸治療が有効であること、風邪に対する食養生としてどんな食べ物をとるとよいか、ご理解いただけましたでしょうか。
今回はここまでとなります。
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
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参考資料:WEB版 MSD マニュアル(家庭版)