マガジンのカバー画像

世の中・ビジネスの考察

62
戦略コンサルタントの視点も加えながら世の中やビジネスについて考察した記事を集めたマガジンです
運営しているクリエイター

記事一覧

課題を押さえるものが強い時代

課題を押さえるものが強い時代

コンサルティングファーム(業界)とは、つまるところ企業の課題解決を支援する業態・業界です。

経営環境が複雑化する中で、様々な経営課題が噴出し、社内だけでは解決が難しくなってきました。そのため、課題解決のアウトソーシング先として、コンサルティング業界が台頭してきたのです。

今後についてはさまざまな予測がありますが、経営環境の複雑化が一層進むことや、質・量ともに事業会社の人手不足が深刻化することを

もっとみる
組織の学習障害の4類型

組織の学習障害の4類型

最近出版された中土井僚著『ビジョンプロセッシング』に、組織の学習障害に関する整理が紹介されており、非常に興味深かったため、多少アレンジを加えつつ共有します(同書のP394に記載されています)。

まず、組織学習は以下のようなサイクルで進行します。

①見る(起点):組織内で起こる事象を観察する

②思う:観察した事象を自分なりに解釈し、意見を持つ

③言う:その意見を組織内で発言し、周囲に理解を求

もっとみる
コンサルティングファームの稼ぐ力のばらつきの理由とは?

コンサルティングファームの稼ぐ力のばらつきの理由とは?

コンサルティングファームの成長性や収益性はバラバラコンサルティング業務において、クライアントの財務分析は頻繁に行われますが、コンサルティング各社の、そして自社の財務状況を十分に理解していないコンサルタントも少なくありません。

非上場のコンサルティングファームは財務状況を公開していませんが、上場企業のファームでは決算で詳細な財務状況が確認できます。

例えば、ムービンは2022年時点のコンサルティ

もっとみる
「運」の構造化

「運」の構造化

先日、Xでも紹介しましたが、ドン・キホーテの創業者である安田隆夫氏の著書『運』が、運というものについて多角的に掘り下げており、非常に興味深い内容です。

著者は、運を「複雑系科学」と捉えています。
つまり、運というものは非常に複雑で掴みどころがないものの、スピリチュアルなものではなく、ある程度科学的に解釈できるという立場です。

この本では、著者の豊富な経験に基づいて、運を高めるための思考法や実践

もっとみる
生成AIに半生を書かせてみたら凄かった

生成AIに半生を書かせてみたら凄かった

生成AIが活況を呈しています。

最近はアップルも、キャッチアップも兼ねて、業務などで活用しながらその実力を試しています(使っているのはもっぱらChatGPTですが)。

ChatGPTを使ってみて、有効と感じた用途の一つが、文章の添削。冗長になってしまったと思う文章の文字数を圧縮してくれたり、てにをはを整えてくれるのは助かります。

この場合、初稿は人間が書いているため、「人間(生成)→AI(チ

もっとみる
ビザスクの功罪

ビザスクの功罪

数年前からビザスクというサービスが普及し、コンサルティングファームでも多用されるようになりました。

ビザスク|日本最大級のスポットコンサル (visasq.com)

ビザスクとは、インタビューをしたい人とインタビューを受けて小遣いを稼ぎたい人とをマッチングするサービスです(同社はスポットコンサルと呼んでいます)。

コンサルティングでは、外部のエキスパートインタビューをすることがしばしばありま

もっとみる
プロフェッショナル仕事の流儀の言葉群を分析してみてわかったこと

プロフェッショナル仕事の流儀の言葉群を分析してみてわかったこと

プロフェッショナルー仕事の流儀という番組があります。毎回ある分野で卓越した成果を出しているプロフェッショナルに密着取材し、プロフェッショナルの仕事への向き合い方や葛藤を伝えるNHKの番組です。

同番組のクライマックスは、スガシカオのProgressがエンディングテーマとして流れる中での、「あなたにとってプロフェッショナルとは?」という問いかけに対するプロフェッショナルの回答です。

久々に同番組

もっとみる
法則を踏まえることの重要性

法則を踏まえることの重要性

戦略コンサルタントのアップルです。
新年あけましておめでとうございます。

今年も頻度はさほど高くないと思いますが、たまに思いついたこと、感じたこと、大事だと思ったことなどを記事にしていきたいと思います。昨年を振り返ると、合計で13本の記事を書いていました。平均すると月1本のペースです。今年もそれくらいのペースでは何かしら書いていこうと思います。

近年はさして高い頻度で記事を書いているわけではあ

もっとみる

コンサル業界の変質とその背景

戦略コンサルタントのアップルです。

私は戦略コンサルティング業界に10年以上いますが、ここ数年でだいぶん業界としての「質」が変わったと感じます。他ファームの人からも、それに類することを耳にすることがあります。

Twitter上でも、コンサルティング業界の中の人によって日々様々なつぶやきが行われていますが、そうした中でも業界の「変質」を示唆するコメントが半ば嘆きとともに踊っているように思います。

もっとみる
ダイバーシティ推進に感じるうさん臭さ

ダイバーシティ推進に感じるうさん臭さ

戦略コンサルタントのアップルです。

最近ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉をよく耳にするようになりました。このD&I。こと上場企業などの大企業においては、「当然大事なことだし、推進すべきだよね」という「暗黙の前提」になりつつあるように思うのですが、(性格がひねくれているためか)個人的にはかねてより「うさん臭さ」を感じています。

なぜうさん臭さを感じるのか?
3つのポイントをお

もっとみる
コンサル業界とパーパス

コンサル業界とパーパス

戦略コンサルタントのアップルです。

最近、コンサル業界においても「パーパス」というものが無視できなくなってきたように感じています。これは、コンサルの飯の種としてパーパスというキーワードが重要になってきたという話ではなく、「コンサルファームとしてもパーパス経営に向き合わないと優秀な人財の流出を食い止められない」というファーム経営の根幹に関わる観点での話です。これはコンサル業界における一つの大きな潮

もっとみる
経営を測る指標と国力を測る指標を対比して思うこと

経営を測る指標と国力を測る指標を対比して思うこと

戦略コンサルタントのアップルです。

ふと、経営を測る指標は多様化が進んでいる一方で国力を測る指標は全然多様化が進んでいない、そのギャップって問題じゃないか?と思ったので、記事にまとめてみました。ちょっと雑な考察かもしれませんが、興味ある方はご覧ください。

経営では、売上市場主義からの脱却が進むこと日本では、企業経営において長らく「売上市場主義」がはびこってきました。売上市場主義とは、「売上の規

もっとみる
退職の挨拶にその人の価値観が見え隠れするという話

退職の挨拶にその人の価値観が見え隠れするという話

戦略コンサルタントのアップルです。

コンサルティング業界は人の出入りが激しい業界です。常に新しい人が入ってくると同時に、一定のペースで卒業していく人がいます。アップルもこれまでにたくさんの人たちの退職の挨拶を聞いてきました。

そんな中で、退職の挨拶というのはとてもその人の人間性や価値観が出ると感じています。今回の記事ではその点について書いてみたいと思います。

退職の挨拶は一つのスピーチの場人

もっとみる
強い障壁をつくるために必要なこと

強い障壁をつくるために必要なこと

戦略コンサルタントのアップルです。

「三位一体の経営」という本が1年ほど前に出版され、ヒットしました。みさき投資代表の中神氏が執筆した本で、投資家の目線から、よい経営とは何かを体系的・理論的に論じています。

色々よいことが書いてあるので、まだ読んでない方にはぜひ読んで頂きたいのですが、久しぶりに読み返してみて「確かにそうだよな」と腹落ちした箇所があったので、アップルの解釈も加えつつ記事にしてお

もっとみる