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心に残るような幸せの景色
町田そのこさんの「あなたはここにいなくとも」
『あなたは、どう思うん?』
『あなたが、そうしたいん?』
子どものときのあの問い。
そして意思をきちんと確認されるたびに、自分の考えを振り返らざるをえなくなり、考えの甘えや浅さを見透かされ指摘された気がして、居心地が悪かった。
あのときの私は枠の中にいることを当たり前だと信じて生きていたから剥き出されることに恐怖を覚えてしまったけれど、しかしいまなら分かる。
あのひとはただ、私をひとりの人間として見て、ひとりの人間として扱っていただけだった 。
ああ、問うてほしい。『あなたは、どうしたいん?』と。そうしたら、私は私のこれからを考え、己が何を願うのか分かった気がするのに。
自分自身で、自分に聞いてあげなければいけない。
『あなたは、どう思うん?』
『あなたが、そうしたいん?』
『あなたは、どうしたいん?』
自分が何を願っていて、
どう行動していくのか。
リセット症で、全てをリセットして捨ててきたおばあちゃん。
だけど、捨てずに持っていたものがあった。
捨てることのできない思い出の景色。
故郷の景色や日々の風景。
それらが、ちぎり絵になって、スケッチブックに貼られていた。
「捨てても捨てられなかったもの、か。
よく考えればあたし、大事に残したい彼との思い出の景色なんて、ない。
ちゃんとあったはずなんやけど、妬みとか執着に塗れて、どっかに消え失せとる。
しばらく沈黙のあと、芽衣子がぽとりと言葉を落とした。
藤江さんがこれを残してくれていて、よかった。こんなに幸せそうな記憶を残してくれたことで、あたしは救われた気がする。
何を捨てても、幸福の記憶は消えない。
あたしもずっと心に残るよ うな幸せな景色を抱えて生きていきたい。
「このスケッチブックの扱いに困ることもあるかもしれない。他人の思い出が邪魔にならない可能性なんて、ないじゃない」
芽衣子が手を止めて、不思議そうに私とスケッチブックを見る。 それから、捨てられんよ、当たり前の口調で言った。
「もしかしたら形としては、いつか捨てる日も来るかもしれん。でも、ほんとうに捨てるってことはできん。ずっと大事にしたい、抱えて生きたいものってどうやっても捨てられんのよ。心の中でかたちを変えて、自分と折り合いをつけて存在していくだけ。 いま、教わったばかりでしょうが」
心に残るような幸せの景色。
私はいくつあるだろうか。
その数だけ、幸せといえるかもしれない。
"幸せの景色"のためなら、
お金や時間は無駄ではないのかもしれない。
今現在も、そんな、景色をつくっている最中だ。
" 心の中でかたちを変えて、自分と折り合いをつけて存在していくだけ。"
というのも、よかった。
幸せなことも、つらいことも、
自分と折り合いをつけながら、心のなかに存在していくのだ。
だんだん、折り合いがついていくものなのかもしれない。
きっと、時間が解決してくれる。
心に残るような幸せの景色を、私も心のカメラで撮っていきたい。
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