先天性無歯症の患者へ歯生え薬を、2030年に実用化。歯周病予防の受診アプリも開発。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは生まれつき歯のない病気、無歯症のことをご存じでしょうか?
現在無歯症の患者の方の為に、『歯生え薬』の開発が加速しています。京都大学発スタートアップである京都府京都市のトレジェムバイオファーマは、『歯生え薬』の開発の加速に向け、臨床試験(治験)の前段階の安全性試験に乗り出しています。このほどベンチャーキャピタルなどを引受先とする第三者割当増資で4億5000万円を調達しました。
今回は無歯症のこと、『歯生え薬』のこと、歯周病を防ぐための受診を促すスマホアプリについてお知らせします。
非症候性部分性無歯症とは?
『歯生え薬』を実用化したいと研究が進む
一度抜いたりして失えば、二度と生えてこない大人の永久歯。現在の治療法は義歯やインプラントしかないですが、京都府京都市左京区にあるベンチャー企業「トレジェムバイオファーマ」は、再び永久歯が生えてくるという夢の『歯生え薬』の開発に励んでいます。乳歯が抜けた後に、永久歯が生え揃わない先天性無歯症の患者さんへ、2030年に『歯生え薬』の販売を掲げています。
京都大学大学院医学研究科の准教授(現客員研究員)男性の提言で2020年5月に、「トレジェムバイオファーマ」を立ち上げました。当時、京都大学大学院医学研究科の研究室で働いていた女性が、「トレジェムバイオファーマ」の社長となりました。
歯が何度でも抜けては生え替わるサメやワニと違い、哺乳類の人間は1度だけしか永久歯は生えません。ですが、人間の細胞の中には、乳歯と永久歯の次に生え出す「歯の芽」が存在していることを、「トレジェムバイオファーマ」の先行研究で判明しました。
「トレジェムバイオファーマ」の社長の女性などは、「歯の芽」を成長させず、2回目の永久歯の生え替わりを抑制するたんぱく質を見つけました。その働きを阻害する抗体をこの度開発しました。先天的に永久歯が生えてこない先天性無歯症や永久歯を失った後でも存在する「歯の芽」の活動を活発化し、歯を生やす効果に期待がもたれます。
その研究成果をベースに、先天性無歯症のマウスで試験すると、『歯生え薬』の効果が得られました。イヌでも『歯生え薬』の注射後4ヵ月で歯が生えてきました。研究は今のところ順調に進み、これから安全性の確認試験や、医薬品の製造・品質の管理基準「GMP」になぞった製剤準備もスタートしていきます。2024年には先天性無歯症の患者を対象に治験を計画中です。
参考:夢の「歯生え薬」開発進む、マウスや犬で成功 先天性無歯症の患者のために 京都新聞 ON BUSINESS(2021年)
先天性無歯症という病気は、成長期のお子さんにとって栄養摂取や成長の妨げにしかなりません。先天性無歯症の治療薬として『歯生え薬』を市場に投入すれば、その後、虫歯や歯周病で歯が失くなった人を対象とする薬の開発も促進できます。
同京都府京都市左京区のベンチャー企業「トレジェムバイオファーマ」の社長の女性は、「歯が失えば気力も落ちてしまう。義歯やインプラントではなく、自分自身の歯でずっと生活可能な薬を開発したいと思います」と語ります。
2024年5月、
京都大学発スタートアップの京都府京都市にあるトレジェムバイオファーマと、大阪府大阪市北区にある医学研究所北野病院などは2024年5月2日、生まれつき永久歯の数が少ない先天性無歯症を治療する、抗体医薬品の『歯生え薬』の臨床試験(治験)を2024年9月に京都府京都市左京区にある京都大学付属病院でスタートさせると明らかにしました。
治験では、虫歯などで歯を一部失った30~64歳の健康な男性30人に『歯生え薬』か偽薬を点滴で投与し、1年程度要して副作用の有無を判断します。安全性が確認できれば、2026年頃に歯が4本以上少ない2~7歳の子ども50人程度を対象に、有効性などを確認するプロジェクトです。
2030年頃の再生治療薬の実用化を掲げていて、実現すれば歯を生やす世界で初めての治療薬になるとします。
将来は虫歯などで歯を失った人の治療も視野に研究を重ね、応用したい考えだと言います。
永久歯は親知らず4本を含め、全て生えると32本になりますが、「先天性無歯症」では一部の歯が生えません。生まれつきの歯の数が通常より6本以上少ない場合は遺伝性とみられ、欠損の本数が多い遺伝性の患者は国内におよそ12万人、全人口のおよそ0.1%が発症すると見受けられます。
放置するとあごの発達などに影響するので、成長に伴って入れ歯を何度も作り替えたり、成長した後で、人工の歯をあごの骨に直接固定するインプラントなどで対処したりする必要があったといいます。
研究チームはマウスを使った動物実験で、歯の成長を抑制しているたんぱく質「USAG-1」を解明し、この働きを無くす抗体医薬品『歯生え薬』を作製しました。
たんぱく質「USAG-1」の働きを妨げることで、永久歯のもととなる「歯の芽」の成長を促進します。
研究チームによりますと、先天性無歯症のマウスや犬で実施した動物実験では『歯生え薬』の投与によって歯が生えてきました。たんぱく質「USAG-1」によって成長が止まっていた「歯の芽」になる組織から生えたと考えられます。
参考:「歯生え薬」の臨床試験を9月に開始、2030年頃の実用化を目指す…世界初の無歯症の治療薬へ 読売新聞(2024年)
『歯生え薬』での治療にかかる費用は150万円程度を見込んでいます。北野病院の高橋克・歯科口腔外科主任部長は「入れ歯、インプラントに続く第3の選択肢になれる様に、研究を進めていきたいです」と説明しました。
歯周病を防ぐ為に、受診スマホアプリ開発
歯がなくなってしまう大きな原因である歯周病。早期発見・治療が重要となりますが、高校卒業以降歯科健診は義務付けられず、働き盛りの40歳までの世代はほぼ自分の歯の状態をチェックできません。自覚症状が起こらない歯周病の兆候にいち早く気付いて欲しくて、日本歯科医師会が歯周病に関連したスマホアプリを開発しました。2022年秋以降のモデル事業で実証試験を行った後に公開されます。
「歯周病関連疾患はサイレントディジーズ(静かなる病気)と言われていて、自覚症状がまずありません。40代では大半の人が既に歯周病を罹患している世の中です」と日本歯科医師会常務理事の男性は話しますが、その働き盛りの40代の年代に健康診断はあっても努力義務にすぎず、「コストや時間を要するので、企業の健康診断になかなか歯科が導入されません」とも話します。
歯周病菌は心疾患などのリスクを飛躍させ、糖尿病を悪化させ、誤嚥性肺炎の原因になります。このスマホアプリは法定健康診断を受けられない「空白年齢」の人々へ、歯周病の関心や知識を持ってもらいたいと思っています。
スマホアプリは4〜6問の問診形式となっており、「歯が痛んだり、しみませんか?」などの共通質問の以外にも、年代に合わせた設問があります。例を挙げると10〜20代の人は「歯の奥に腫れや痛みは起こっていませんか?」、30〜50代の人は「口臭が気になっていませんか?」、60代以上の人は「食事中急にむせたり噛みにくいことはないですか?」など。回答と照らし合わせて現在の口腔内の状態を評価し、必要であれば歯科の受診を勧めるメッセージが表示されます。
中には熱心に歯科健診に励む健康保険組合もあります。大阪府守口市にあるパナソニック健保組合では、医療費で歯科の占める割合が最多となったことから2012年度から歯科健診をスタート。30歳から65歳までの5歳刻みの節目の年齢の人には自己負担がなく、それに該当しない人には歯科検診の費用の一部を健保組合が助成します。
健康診断では問診と歯科医師の診察、歯科衛生士からの口腔衛生指導と歯の掃除を行います。近年は歯間ブラシなどを使用する人も増え、歯科検診の担当者は「口腔ケアへの関心が高まっています」と手応えを口にします。
画像引用・参考:アプリ「健口(けんこう)チェック」を公開 気軽にお口の状態を確認、健口度に応じたアドバイスも 日本歯科医師会(2023年)
私は銀歯の扱い方が分からない。
私は今は多分虫歯はないですが、昔は歯の磨き方が悪く、虫歯になったり、銀歯を虫歯を治療後被せたりする事が多かったです。
それでよく思うのが、銀歯の扱い方って?私だけかもしれませんが、銀歯を被せている歯に違和感があり、数年前「歯が痛いです」と歯医者に行きましたが、「虫歯もないし、大丈夫ですよ」と言われて、特段治療もなく、帰りました。
銀歯が外れたりとかそういう事はありませんが、「銀歯の消費期限、一度はめた後それに耐えられる年数とは?」とか、よく考えます。
歯生え薬も、無歯症の人にとって良いことだと思います。まだまだ実証化まで時間がかかりそうですが、是非実現して欲しいなと思います。
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