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認知症グループホームのはなし

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認知症の方への支援の記事をまとめています。
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#私の仕事

家族との共感の話し ピアサポートからの考察

家族との共感の話し ピアサポートからの考察

グループホームにおける認知症ケアにおいても、ピアサポートはとても大切だと思っています。

介護者と利用者はどうしても「支援する側」と「支援される側」になりがちで、「専門性」は時に人を傷つける事があると思っています。
介護者がどれだけ意識しても、利用者本人が息苦しく感じてしまう事もあるんじゃないかとも思います。
それなので、グループホームにおいても、認知症の方同士の関係性を大切にして、仲間同士が支え

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新入職員教育

新入職員教育

9月1日から新しく中途で職員を採用した。
人事異動による欠員で、約2年ぶりの職員採用。
久しぶりの新入職員教育。

入職してくれた方は、去る2ヵ月前の7月にホームを職場体験して、ホームのケアに共感してうちに決めてくれた。

初日はオリエンテーションを行い、ホームの認知症ケアの考え方等をお話しし、2日目からはOJTを行っている。

私が現場で新しい職員を教育するにあたり、業務については優先順位が低い

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ホームの会議                                    認知症の方に合わせるホームを作るには

ホームの会議  認知症の方に合わせるホームを作るには

前回、
認知症の方に合わせてホーム環境を変える
というお話しをさせてもらいました。

簡単にまとめると

認知症の方でも

できなくなった生活行為によって本人は困っている筈なので、困っている原因を探す

困っているのだから、ホームの環境自体を認知症の方に合わせる

ホームの環境次第で、生活行為を継続できる事がある

というお話しでした。

介護の現場で働いている読者の方は
理想はそうだけれども

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職場の心理的安全性を高める

職場の心理的安全性を高める

前回、ホームの会議について書きました。

今回は会議の継続についてです。
会議を活性化する為に取り組んだ方策をお話しようと思います。
と思ったら、一年前に書いたホーム機関紙での記事があったので、それを、そのまま紹介する事にします。

認知症の方に合わせてホームの環境を変える

認知症の方に合わせてホームの環境を変える

ホームの環境は認知症の方に合わせて変えなければいけません。

認知症の方は今までわかっていた事がわからなくなったり
環境に合わせる事が難しくなっているから認知症なのです。
それなので、ホーム側が認知症の方に合わせなければなりません。

以前、トイレにおいて
手を拭く為のペーパータオルでお尻を拭いてしまう方がいました。
それは、認知症で物の区別が付かないのに、
おしりを拭く紙

手を拭く紙
の 2

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大分弁を学ぶ!と決めた話し

大分弁を学ぶ!と決めた話し

新しい利用者さんが近いうちに入ります。
その方は大分の方です。

生まれも育ちもずっと大分で
今まで独りで暮らしていました。

結婚して、2人の息子を育て
現在、2人の息子は東京と大阪で家庭を持って生活しています。

ホームに入る経緯介護認定は要介護度1という事で
一旦サービスを入れましたが、
ホームヘルパーさんも
ケアマネジャーさんも
断ってしまい
現在、何のサービスも使っていません。
医師も本

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別府に帰りたい…

別府に帰りたい…

大分からグループホームに入居された利用者さんが帰ろうとします。

先日、大分県別府市から飛行機とタクシーを乗り継いで利用者さんが入居しました。
ご家族は、絶対家を離れないというご本人をなだめたりすかしたりして連れてきました。
飛行機を1便乗り過ごしホームに到着したのは、予定より5時間遅れて17時30分。

夕飯はお寿司とお酒を用意して、
ご家族を交えおもてなしの宴会です。

ご本人は、楽しかったら

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嘘はつかない方が良い。

嘘はつかない方が良い。

別府から入居した利用者さんが少しづつホームに溶け込んでいる様に感じます。
来てすぐの数日はホームを「大分」と偽ってホームに居てもらいましたが、先日、
「ここは東京」と告げた事で
ホームを信頼してくれた
本人が前向きになった
様子が見られているので、その経緯をお伝えしようと思います。

来た経緯認知症で介護度1

別府で一人暮らし

医療・介護サービスは拒否して、医者も薬を出せず

お金や物をあげた

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そりゃ帰るよね〜② 地域支援事業で在宅支援

そりゃ帰るよね〜② 地域支援事業で在宅支援

家族から週末だけお泊りの希望があった近所にお住いの方。
土曜日の夕方に来たのですが、
本人にしたら、家は目の前だし、泊まる理由もなく
結局、夕食後に家に帰る事になりました。
次の日の日中までホームに居る予定だったので、明日の日中にホームに来るお約束をし、家まで送りお別れしました。

さて、次の日の朝。
お約束は10時。
迎えに行くと
しっかりと昨日のお約束と私の事を覚えていてくれ(メモ書きと名刺を

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そりゃ帰るよね〜 地域支援事業

そりゃ帰るよね〜 地域支援事業

週末だけお泊まりの希望がありました。
土曜日の夕方に来て日曜日の夕方に帰る
と言う内容です。

ホームには4畳位の空き部屋があり、地域で本当に困っている人だけに自費で利用してもらっています。
去年の夏に自宅で脱水の危険がある方に利用してもらう為に作りました。

今回も、在宅で独りで生活している方なのですが、家族が週末の支援が入らない日が心配で利用する事になりました。

先週は本人が「行きたくない」

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生活動作の支援

生活動作の支援

グループホームの支援は認知症に対する支援がメインではあるのですが、生活動作の支援が必要な方もいらっしゃいます。
入居の時点で歩いていた方も年月の経過と共にどうしても生活動作は低下してしまいます。
そこで、認知症グループホームでの生活動作の支援をお伝えしようと思います。

結論から言うと、認知症のケアでも生活動作のケアでも、基本的な考え方は同じで、
出来ないところは助けて、できる事は最大限に使えるよ

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LIVE配信。

LIVE配信。

ユーチューブでお話させて頂きました。

私の上司である総合ケアセンター駒場苑の苑長
坂野悠己さんが主宰している
YouTubeチャンネル
「介護噺」
にゲスト出演させて頂きました!

介護噺とはこのチャンネルは、
介護現場の生の声を届けたい!
というコンセプトで(多分…)
介護界の旬の人たちが
介護現場の事や介護への考え・想いを15分程の小噺スタイルで伝える内容です。

今までのゲストは
介護界の

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「或る方」一人の為に 2話

「或る方」一人の為に 2話

自宅のように娘さんには
家具は何でも持って来て下さいね
とお伝えしています。

「或る方」がお部屋で目を覚ました時に、
自分の家具や馴染みの物があれば、
自分の場所だと思ってくれると思うからです。

3人娘の長女で、お母様想いの娘さんは
「これも良いですか。あれも良いですか。」
と私に聞き、
何度も寸法を測ったりして、
タンス、鏡台、キッチンにあったポットとお茶台、チャブ台、ソファ、カーテンなど

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「或る方」一人のために 1話

「或る方」一人のために 1話

お別れ1週間後に、「或る方」は
6年間生活したグループホームを退去して
特別養護老人ホームにお引越しをします。

わたしは、何年間も
その「或る方」一人の為だけに仕事をしていました
そう言っても言い過ぎではないと思います。
ちょっとキモいのですが…

出会った頃、「或る方」は自分の意にそぐわない事があると
気絶してしまう癖がありました。
理由はわかりません。
でも気を失ってしまうのです。
演技でも

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