Kuwayama Daisuke

マンガ・映画・音楽・本が好き。主に映画感想を書きます。 twitter : @afxyama

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映画タイトル50音順インデックス

 映画感想もたまってきたので、どこからも来ていない要望にお応えしてタイトル50音順索引付けました。過去作の感想も読んでみてください。随時追加していきます。 あ行 映画『愛なのに』感想 ピンク映画手法の純愛コメディ 映画『愛にイナズマ』感想 現実をブッ飛ばす家族愛 映画『アイリッシュマン』感想 映画『茜色に焼かれる』感想 このクソみたいな世界の片隅に 映画『Arc アーク』感想 SF感表現の難しさ 映画『悪なき殺人』感想 偶然が隠す哀しい滑稽さ 映画『悪人伝』感

    • 映画『若き見知らぬ者たち』感想 行き場のないしんどさだけが残る

       この辛さがどこから来たものか、今一つ判然としませんでした。映画『若き見知らぬ者たち』感想です。  『佐々木、イン、マイマイン』で一気に高評価を得た内山拓也監督による商業長編デビュー作品。2020年の『佐々木、イン、マイマイン』は、その年のベスト作の1つであり、今でも思い出しては涙が浮かぶほどの名作であったので、内山監督の新作とあらば観ない手はありませんでした。  ということで、喜び勇んで臨んだのですが、ちょっと予想以上に重たいテーマというか、しんどい展開の連続にぐったりし

      • 映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想 起こり得る大国の「自殺」

         可能な限りのリアリティで「IF」を描いた作品ですが、現実が引っ張られているような大統領選の結果が出てしまいました。映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想です。  小説家、脚本家、映画監督と多才な顔を持つアレックス・ガーランドによる最新監督作品。製作会社はA24で、A24作品史上で最も製作費を投じられた大作戦争映画となっています。  莫大な製作費だからといっても、A24製作ということは、もちろん派手なドンパチ痛快映画では全くない訳で、社会世相を反映させた硬派な戦争映画

        • 映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』感想 幼年期の終わり(の始まり)

           感想書き始めたときに、髙石あかりさんがNHK朝ドラ『ばけばけ』のヒロインに抜擢されたとのニュース。何とめでたいことか。それも納得のシリーズ最高傑作でした。映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』感想です。  阪元裕吾監督の出世作であり、邦画アクションの最高地点を上げた『ベビわる』シリーズの最新作。『ベイビーわるきゅーれ』『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』に続く第3弾で、公開と同時期にテレ東深夜枠で『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ』も放送されており、その人気は大きく広

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        • 2021年映画感想
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          映画『憐れみの3章』感想 漆黒のブラックユーモアで描く支配構造

           ジョークとしては不謹慎過ぎる感じがするけれど、メッセージとしては誠実な気もするオムニバス。映画『憐れみの3章』感想です。  『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』など、アカデミー賞に名を連ねることも多いヨルゴス・ランティモスによる最新監督作品。『哀れなるものたち』が、日本では今年公開されたばかりだったので、あまり間を置かずに新作が届けられた印象があります。  作品は、3つの物語からなるオムニバス形式になっており、それぞれで全く別個のストーリーになってはいますが、エ

          映画『憐れみの3章』感想 漆黒のブラックユーモアで描く支配構造

          映画『犯罪都市 PUNISHMENT』感想 決まり切った型でも、まだまだ面白い! 

           「マンネリ」という言葉の意味合いを変質させてしまう傑作シリーズ。映画『犯罪都市 PUNISHMENT』感想です。  もはや、紹介することもないでしょう。マ・ドンソクの人気を決定づけた『犯罪都市』シリーズの4作目となる最新作です。今年3作目に当たる『NO WAY OUT』が公開されたばかりですが、早くも新作が公開されるというのも凄いし、また今作も大ヒットをしているというから、シリーズものとしての人気も盤石なものになっているようです。    マブリーことマ・ドンソクが演じるソ

          映画『犯罪都市 PUNISHMENT』感想 決まり切った型でも、まだまだ面白い! 

          映画『ぼくのお日さま』感想 人生にある穏やかな奇跡【ネタバレあり】

           ちょっと終盤が不自然でしたが、穏やかで良い作品。ネタバレとしてますが、知っていて観ても問題ないタイプの作品だと思います。映画『ぼくのお日さま』感想です。  奥山大史監督による商業映画デビューとなる作品で、先日の山中瑤子監督『ナミビアの砂漠』と共にカンヌ国際映画祭に出品され、海外でも注目を集めた作品です。『ナミビアの砂漠』が非常に捻くれた皮肉的視点で描かれた作品だったのに対して、その真逆に位置する、とても真っ直ぐな視点で美しさを捉えた作品になっている印象でした。  まず、

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          映画『ナミビアの砂漠』感想 心に広がる人生の砂漠

           観ている最中よりも、観た後に考えることで深みにはまる作品でした。映画『ナミビアの砂漠』感想です。   初監督作品『あみこ』でベルリン映画祭に史上最年少で招待された山中瑤子監督の最新作。主演は『あんのこと』『ルックバック』で既に今年を制した感がある河合優実さんですが、元々この『あみこ』という映画を高校生時代に観たことに衝撃を受けて、山中監督に「いつか出演したい」と手紙を出して役者を志したそうで、念願の出演となった作品だそうです。  今作も、今年のカンヌ映画祭に出品され国際批

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          アニメ映画『インサイド・ヘッド2』 懐かしい記憶と共に彩る、未来への希望

           万人に受けるのも納得の質の高さ。アニメ映画『インサイド・ヘッド2』感想です。  2016年に公開され、アカデミー長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサー製作『インサイド・ヘッド』の続編。既に興行収入はこれまでのアニメ作品の記録を塗り替えるほどの大ヒットをして話題となっている作品です。  大ヒットした前作は、当時観ておらず、正直ディズニー&ピクサーのアニメ作品は、面白いと思うものの、ちょっとどこか難癖付けたくなる部分があるので、TV放送された時にたまに観てみるくら

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          映画『ラストマイル』感想 物流が繋ぐ人々の絆と欲望

           社会派メッセージとエンタメの高度な結実を実現した傑作。映画『ラストマイル』感想です。  TVドラマ『アンナチュラル』『MIU404』を手掛けた塚原あゆ子監督と、同ドラマの脚本家・野木亜紀子さんがタッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きる事件を描いた作品。両シリーズのキャラクターも端役で出演しているのがドラマのファンにとっても大きな売り文句になっています。  このドラマ2作品とも好きな作品だったというのもありますが、何よりも野木亜紀子さんの脚本作品は、現在のトップに位置す

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          映画『サユリ』感想 心霊に対するカウンターホラー

           心霊ものの理不尽さをブッ飛ばす作品。けど、もっと別の方法で殴って欲しかった。映画『サユリ』感想です。  押切蓮介さんのホラー漫画を原作として、『ノロイ』『ある優しき殺人者の記録』などで知られる白石晃士監督が実写映画化した作品。白石監督といえば、ホラーモキュメンタリーの第一人者であり、グロ描写にも容赦がないアングラ監督でありつつ、近年では『貞子VS伽椰子』などのメジャー作品を手掛けるなど、ホラー監督として幅を広げている監督。原作は未読ですが、かなりのホラーながらも、勢いある

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          映画『箱男』感想 理解不能な世界の完全再現

           この理解出来ない不安感による快感、完全に安部公房作品でした。映画『箱男』感想です。  安部公房による1973年の同名小説を原作として、『狂い咲きサンダーロード』『逆噴射家族』などの石井岳龍監督が映像化した作品。27年前、石井監督が石井聰亙の名義で活動していた時代に、日独共同製作予定されていたのが、クランクイン前日に中止となってしまった映画企画だったそうです。そのお蔵入りとなっていた企画が、安部公房生誕百周年となる2024年に公開されるという、非常にドラマティックな作品の状

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          映画『ソウルの春』感想 負の歴史を自己反省する傑作

           国としてのマイナス面を描きつつ、しっかりとエンタメに仕立て上げているのは称賛に値します。映画『ソウルの春』感想です。  『アシュラ』などで知られるキム・ソンス監督の最新映画作品。韓国では歴代級の大ヒットとなっているそうで、地味そうな内容だけど予告編で何となく気になる作品ではありました。特にファン・ジョンミンが出演しているということが観る決め手になりましたね。『新しき世界』『哭声/コクソン』『ただ悪より救いたまえ』、どれも印象に残る演技で、大好きな俳優です。  題材は、韓

          映画『ソウルの春』感想 負の歴史を自己反省する傑作

          映画『ニューノーマル』感想 生産性のないスリラー映画

           もう少し下調べして作品を選ぶべきでした。映画『ニューノーマル』感想です。  『コンジアム』で韓国ホラーの名手となったチョン・ボムシク監督によるオムニバス・スリラー映画。韓流ドラマブームの火付け役となった『冬のソナタ』で有名なチェ・ジウが7年振りに映画出演したというのも話題になっています。  どうも観たい映画が見当たらない、スケジュールが合わないというところに公開されたタイミングだったので、よく調べずに飛び込みで観てみました。韓国映画ならハズレがないだろうと踏んでいたのです

          映画『ニューノーマル』感想 生産性のないスリラー映画

          映画『密輸1970』感想 痛快シスターフッド・アクション・サメ映画

           鑑賞中、隣に座ったおばあさんが、「うん、うん」と全シーン声に出して相槌を打ち、要所要所で独り言を呟くので、さすがにうるさかったです。ババア、映画館ではもう少し静かにして、長生きしろよ‥。映画『密輸1970』感想です。  『モガディッシュ 脱出までの14日間』などで知られるリュ・スンワン監督によるクライムアクション映画。公開直後は全くノーマークだったのですが、相当面白いと評判になっていて、監督や役者陣を調べることなく、フラットな気持ちで観てまいりました。  クライムアクシ

          映画『密輸1970』感想 痛快シスターフッド・アクション・サメ映画

          映画『お母さんが一緒』感想 血筋=呪いの和製『ヘレディタリー』

           ホームコメディではなく、ホラーなのでは? という疑問が離れませんでした。映画『お母さんが一緒』感想です。  劇作家であるペヤンヌマキさんの同名演劇を原作として、『ぐるりのこと』『恋人たち』で知られる橋口亮輔監督が映画化した作品。CSチャンネルが製作したドラマシリーズを、再編集して長編映画としたものらしいです。  傑作だった『恋人たち』から9年振りの橋口監督作品ということで、もっと話題になってもいいのではと思っていたんですけど、やはりドラマの再編集だからなのか、ひっそりとし

          映画『お母さんが一緒』感想 血筋=呪いの和製『ヘレディタリー』