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漫画・アニメ感想

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記事一覧

アニメ映画『インサイド・ヘッド2』 懐かしい記憶と共に彩る、未来への希望

 万人に受けるのも納得の質の高さ。アニメ映画『インサイド・ヘッド2』感想です。  2016年に公開され、アカデミー長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサー製作『インサイド・ヘッド』の続編。既に興行収入はこれまでのアニメ作品の記録を塗り替えるほどの大ヒットをして話題となっている作品です。  大ヒットした前作は、当時観ておらず、正直ディズニー&ピクサーのアニメ作品は、面白いと思うものの、ちょっとどこか難癖付けたくなる部分があるので、TV放送された時にたまに観てみるくら

アニメ映画『ルックバック』感想 その背に負う創作の業

 完成度の高い原作を、見事に補強した映像化作品。アニメ映画『ルックバック』感想です。  『チェンソーマン』で知られる藤本タツキさんの短編漫画作品を原作として、アニメーターの押山清高さんが、監督・脚本・キャラクターデザインまで手掛け、劇場用としてアニメ化した作品。  原作漫画は、WEBの「ジャンプ+」で発表された当日に読んで衝撃を受けて、単行本が発売されてからも、何度となく読み返した、令和初期の名作漫画であることことは間違いない作品です。そのアニメ化とあれば注目せざるを得ない

映画『違国日記』感想 その映像では「たりない」実写化

 原作漫画が良すぎるにしても、雑な部分が多い残念作。映画『違国日記』感想です。  ヤマシタトモコさんによる同名漫画作品を原作として、『ジオラマボーイ・パノラマガール』などで知られる瀬田なつき監督が実写化した作品。原作漫画は以前から評判を聞いており、実写映画化の報せがあってから、思い切って全巻購入して読み始めたところ、ドハマりしてしまいました。一気に読むのがあまりにも惜しくて、半年かかって全11巻をようやく読み終えるほど、最高の漫画体験となった作品です。  公開直前で、原作

アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想 幻想的な児童アニメに忍び寄る戦争の足音

 『ほかげ』『鬼太郎誕生』と同時期に公開された意味を考え続けています。アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』感想です。  1981年刊行以来、ベストセラーとなり、今なお名作として読み継がれている、黒柳徹子さんの自伝小説をアニメ映画化した作品。劇場版の『ドラえもん』などを手掛けている八鍬新之介監督によるもので、子ども向けの道徳アニメかと思っていたところ、尋常じゃない評価の高さを目にして、観に行くことにしました。  予告編だけだと、道徳的な雰囲気で、絵柄は昭和の児童書挿絵をモチー

アニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想 蘇る水木しげるのメッセージと、葬りさられる昭和

 継承されるべきは昭和の夢ではなく、水木イズム。アニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』感想です。  戦後昭和を代表する漫画家の1人である水木しげる。その代表作の1つで、何度もアニメ化された『ゲゲゲの鬼太郎』ですが、本作は2018年から放送されていたTVシリーズの第6期をベースとして、その鬼太郎の誕生前、父親となる目玉のおやじ、(作中ではゲゲ郎)を主人公としたオリジナル作品になっています。割とノーマークでしたが、聞こえてくるあまりの評判の高さに観ずにはいられなくなりました。

アニメ映画『火の鳥 エデンの花』感想 永遠の命(名作)を得られなかったアニメ化

 うーん、あんまり誉められる出来ではないと思います。アニメ映画『火の鳥 エデンの花』感想です。  この先も、100年以上は読み継がれるであろう手塚治虫の名作中の名作漫画『火の鳥』の、「望郷編」を原作として、『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』など、数々の漫画原作から名作アニメを生み出した実績あるSTUDIO4℃がアニメ化した作品。監督も『鉄コン筋クリート』の作画を手掛けた西見祥示郎さんによるものです。「ディズニープラス」ではエンディングのみ別バージョンとなる『エデンの宙』も配

映画『オオカミの家』感想 狂ったアートで表現する狂った支配構造

 鑑賞後の恐ろしさも強烈ですが、後日調べたバックグラウンドのおぞましさも強烈。映画『オオカミの家』感想です。  チリの、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの2人組監督によるストップモーションアニメ映画。日本ではアリ・アスター監督が絶賛したという触れ込みで、公開前から話題となっていましたが、本国では既に2018年公開の作品であり、日本に届くまでは結構時間を要したみたいですね。  ストップモーションアニメというと、堀貴秀監督の『JUNK HEAD』が連想されますが、あの

アニメ映画『君たちはどう生きるか』感想 歪さのない調和よりも、美醜溢れる混沌を

 他作品の感想と同じに、結末を書いているわけではないのでネタバレなしとしていますが、原作『ナウシカ』の結末を知っている方にはネタバレになってしまうかもしれません。アニメ映画『君たちはどう生きるか』感想です。  アニメ界の巨匠・宮﨑駿監督による10年振りとなる劇場版アニメ作品にして、御年から計ると、最後の作品になるかもしれない映画。『THE FIRST SLAM DUNK』のやり方に触発されて、あらすじなどの事前情報は徹底的に明かさないという「広告しない広告」という手法も話題

アニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想 「Nintendo」王国の始まり

 子どもの時に楽しんだゲームの記憶が、こんなにも鮮明によみがえることに驚きました。アニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想です。  「ファミコン」の代表的ゲームであり、ハードが変わった現在でも様々な種類の新作ゲームが創られている任天堂のソフト、『スーパーマリオブラザーズ』を、3Dアニメで映画化した作品。監督はアーロン・ホーバスとマイケル・イェレニックが務め、配給はユニバーサル・ピクチャーズによるものという、任天堂の協力はあるものの、実質的にはアメリカ製作のア

アニメ映画『BLUE GIANT』感想 音楽表現の難しさに飛び込むチャレンジングな作品

 上原ひろみさんによる劇伴が素晴らしいものになっています。アニメ映画『BLUE GIANT』感想です。  石塚真一さんによる漫画作品『BLUE GIANT』を原作とした、立川譲監督による劇場版アニメ作品。原作漫画は、いつか読もうと思いつつもなかなか手を付けられていない作品でしたが、これを機に、真っ新な状態で観るかと、あえて予習なしに観てまいりました。何よりも劇中の音楽を担当しているのが、ジャズ界の怪物級ミュージシャンである上原ひろみさんというので、まずは体感しなければと思っ

アニメ映画『THE FRIST SLAM DUNK』感想 大胆なスピード感と繊細な人間心理を描いた新しい名作

 2022年最後の映画感想にして、度肝を抜かれた大傑作。アニメ映画『THE FRIST SLAM DUNK』感想です。  もう説明を入れるまでもないでしょう。「少年ジャンプ」を代表する名作漫画『スラムダンク』を、作者である漫画家・井上雄彦さんが原作者としてだけでなく、脚本・監督として参加し、長編アニメ映画として製作された作品。公開が決定してから、あらすじなどの情報は一切発表しないプロモーションが賛否を呼んで話題となりました。しかし、公開直後からは絶賛の嵐となり、原作のアニメ

アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』感想 令和に蘇った昭和アニメのメッセージ

 『ガンダム』という作品が一般常識として知られているという前提で作られている作品。そう考えると『ガンダム』は伊達じゃないと感じます。アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』感想です。  『機動戦士ガンダム』のTV版第15話として放送された「ククルス・ドアンの島」をベースに長編アニメ映画としてリメイクした作品。初代ガンダムのキャラクター・デザインも手掛け、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』で監督も務めた漫画家の安彦良和さんが、再び監督を務めています。  

アニメ映画『犬王』感想 時代に遺らなかった魂の声

  予想以上に尖ったアニメ作品でした。映画『犬王』感想です。    古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』を原作として、『デビルマンCRY BABY』『ピンポン』『映像研には手を出すな!』などで知られる湯浅政明監督により劇場アニメ化された作品。  キャラクターデザインは漫画家松本大洋さん、脚本は『アンナチュラル』『MIU404』『罪の声』で知られる野木亜紀子さん、音楽は『あまちゃん』『いだてん』などを担当した大友良英さんという、クリエイター・アベンジャーズといった面々になっ

アニメ映画『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』感想 元版の広告のための劇場版

  元版の全13話が素晴らしいアニメです、という話をしています。アニメ映画『オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』感想です。  『セトウツミ』などで知られる漫画家の此元和津也が脚本を手掛け、テレビ東京系列で2021年に放送、及び配信され、話題となったアニメ『オッドタクシー』を、再編集・新規カットを加えて劇場版映画とした作品。  放送時、スカートとPUNPEEのコラボ曲が主題歌という情報だけで第1話を観たところ、ドハマりしたアニメでした。2020年が『映像研には手を出すな!』なら