平山亜佐子✍

文筆、挿話蒐集。晶文社WEB「夫人小説大全」、Roadsider's Weekly「バンカラ女銘々伝」、中央公論.jp「断髪とパンツ 男装から見る近代史」連載中。『化け込み婦人記者奮闘記』『問題の女 本荘幽蘭伝』『戦前尖端語辞典』『明治大正昭和 不良少女伝』大学図書館勤務。

平山亜佐子✍

文筆、挿話蒐集。晶文社WEB「夫人小説大全」、Roadsider's Weekly「バンカラ女銘々伝」、中央公論.jp「断髪とパンツ 男装から見る近代史」連載中。『化け込み婦人記者奮闘記』『問題の女 本荘幽蘭伝』『戦前尖端語辞典』『明治大正昭和 不良少女伝』大学図書館勤務。

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「スコーピオンズ」とわたし。

今年から5のつく日、つまり5日、15日、25日に思ったことを適当に書く雑文noteを始めようと思う。 なぜ始めようと思ったか。 というのは単純な話で、わたしは今まで文庫を入れて5冊の本を出しているけれど、どれも研究書でもなければエッセイでもない、いわば思いつくまま気の向くままに気になったことを調べて書く勝手な自由研究のような本である。 それはそれでとても楽しいのだが、それっきりというかなんというか仕事の広がりがない。 本が出ればありがたいことに取材をしてもらったり、イベントで

    • 今年の目標

      夜11時。 仕事帰りで死んだ魚の目をしながら家の最寄り駅にたどり着き、セブンイレブンで支払いをしようといつもと違う出口から出たら「インタビューいいですか?」と声をかけられた。 見ると30代くらいの小柄な男性がひとり。 足元にムービーカメラを置いている。 「あ、はい」と言いつつ、なんだろう、選挙も終わったし聞かれるようなことあるかな? と不思議に思う。 と、その瞬間カメラを抱えて撮られ始めた。 え! 撮るの? インタビューはいいけど撮るとは聞いてないと半身逃げ腰になる。 「この

      • 叶っても叶わなくても

        今月も5のつく日が来てしまった。 さあて、何を書こうかとnoteのトップをみると #想像していなかった未来 というハッシュタグがあるらしい。 マイナビとnoteのコラボ企画で「未来に対して不安ではなく期待を抱くようなきっかけになれば」という意図らしい。 どの角度から見ても未来に期待なんてできない時代に何とも大胆なテーマであることだなあと思ったけど、ネタもないのでちょっと考えてみよう。 何かの目標を持つとか夢を持つとかしたことなくはないけれど、その通りにいったことがないのでた

        • 清里の二日目。

          というわけで、たぶん誰も待ってないけど清里旅の後編を書く。 前回は実は前編だった。 ということにしよう。 2日目は、うって変わって清里の大自然と動物に触れる計画を立てた。 とにかく、滝。 そして、森。 あと、牛。 シンプルである。 まず朝ごはんを食べたら、坂を下って清泉寮ジャージーハットへ。 ここは大展望のテラスがあって併設されたパン工房のパンなど軽食が楽しめる。 ごはんを食べたばかりなのになぜ向かったかといえばプレミアムソフトクリーム無料券を4枚ももらったから。 2人で

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        「スコーピオンズ」とわたし。

          80年代、万歳!

          わたしは今、清里にいる。 80年代、清里ブームの頃に来たことがあったように思うので30年ぶりだろうか。 もしかしたら捏造された記憶かもしれない。 それくらい曖昧である。 ブームが去ったあと、清里はメルヘン廃墟として有名になった。 その感じを見に行きたくて何度か速水健朗さんを誘ったものである(実現しなかったけど)。 それが数年前、復興の噂を耳にするようになった。 もっとも大きな動きは清里のシンボル、ポット型のお店「ミルクポット」の復活だろう。 中も外もきれいに塗装し直されて営

          80年代、万歳!

          長年の探索本

          本が好きな人なら誰でも長年の探索本があると思う。 例に漏れずわたしもいくつかあるが、その中で優先順位は高くないが(つまり仕事に関係はないが)思い出しては検索してしまう本に「幼児の頃(70年代初頭)に実家でとっていたセサミストリートの雑誌」というものがある。 セサミストリートといってもお馴染みのキャラクターはあまり出てこず、70年代アメリカ特有のカラフルで素朴なイラストがふんだんに使われていた記憶がある。 また「〇〇してみよう」というページがあったことも覚えている。 というのも

          They're eating the cats.

          9月10日夜、トランプ元大統領は民主党のハリス副大統領とのテレビ討論会で「(オハイオ州)スプリングフィールドの住人(移民)は犬や猫などのペットを食べている」と言った。 ハリスがあきれたように笑っているところも映っている。 さすがにAI動画によるガセ情報かと思ったが本当に言ったらしい。 元ネタはローラ・ルーマーという120万人のフォロワーを持つトランプ支持者のインフルエンサーとのことで、いわゆる陰謀論者である。 この発言、"They're eating the dogs. Th

          They're eating the cats.

          本を積むということ。

          noteに積読本というテーマがあるらしいので乗っかってみようかな。 と思ったけど、実は積読本という意味があまりよくわからない。 いや、意味はわかる。 買ったけど読まないで積んでおく本。 明治時代からある言葉です(詳しくは拙著『戦前尖端語辞典』参照)。 しかしですね、本は買ったら読むものでしょうか。 いえね、開き直ってるわけじゃないんです。 でもあらためて問いたい。 そんなこと誰が決めたのでしょう、と。 この場合の本というのは、みなさん小説とかエッセイとかをイメージしているのか

          本を積むということ。

          本を出したい人、出版業界に興味がある人に伝えたいこと。

          ライターの速水健朗さん、編集者、ライターの吉川浩満さん、漫画家の山田参助さん諸氏をレギュラー陣として月に3回ライブ配信している番組「平山亜佐子のこちら文献調査局」では月末にわたしが一人で雑談をする回がある。 大抵は、自分のこれまでの経歴だとか、自分が作ってきたZINEの紹介だとか、最近読んだ本や観た映画の感想だとかゆるい内容でやっているが、先週初めてなかなか過激なタイトルで喋ってみた。 曰く「本が出せなかった11年の間にわたしを通り過ぎていったありえない人たち」。 しかも番組

          本を出したい人、出版業界に興味がある人に伝えたいこと。

          ナルシシスト

          以前ネットで、切った髪の毛を美容師が踏んだことに激怒している客の(たぶん再現)動画を見た。 落ちている髪はすべて持ち帰るという。 何を言っているのかわからないだろうが、何度読み返しても同じである。 ちなみに男性客である。 サービス業で自分を蔑ろにされて抗議する気持ちはわかる。 わたしも、注文と違う料理が来たり何かが足りなかったら店員に言うほうだ。 但し美容室では実はあまり言わない。 なんといってもヘアスタイルを人質にされているから。 相手も人間なので、腹が立ったり苛立ったり

          ナルシシスト

          ブスバスガイド

          朝、目が覚めて鏡を見たらブスバスガイドになっていた。 正確には、バスガイドの制服を着たブスが映っていた。 ブスなんて、いまや死語である。 多様性が重んじられる現代においてブスという言葉は大変重いものを持っている。 何をもってブスというのか、ルッキズムを容認するのか、さまざまな問いがあるだろう。 しかし、鏡を見た瞬間ブスという言葉が降ってきたのである。 ブスとしかいいようのない顔が映っていた。 むしろ、自分のなかにブスという語彙があったことをこの瞬間に発見したと言い換えてもいい

          ブスバスガイド

          今さらながらの自己紹介

          プロフィール機能があったので自己紹介します。 平山亜佐子 挿話蒐集家、戦前女性史研究家、文筆業 1970年4月8日生まれ。 兵庫県夙川市に生まれ、3歳で芦屋市に引っ越し、10歳からは東京。 大学でデザインを学び、(有)blancで10年働いたのち独立。 しばしフリーランスのデザイナーをした後、2008年ひょんなことから本を出す。 2003年から唄のユニット「2525稼業」を結成。 2016年から都内の大学図書館に勤務。 2021年より編集者、文筆業の吉川浩満さんと「今思い

          今さらながらの自己紹介

          みんなわたしを好きになれ。

          ことあるごとに11年間本を出せなかった話をしているが、「あれもこれも空白の11年間に考えた企画である」と怪気炎をあげていたところ、そういうことこそnoteに書くべきではとの進言を賜ったので、そういうことを書いてみる。 2008年6月に『20世紀 破天荒セレブ ありえないほど楽しい女の人生カタログ』(国書刊行会)を出し、2009年12月に『明治大正昭和 不良少女伝 莫連女と少女ギャング団』(河出書房新社)を出した。 たまたま2年続いたわけだが、それまで本や雑誌のデザイナーとし

          みんなわたしを好きになれ。

          ”Comin' Through the Rye”と「何日君再来〈ホーリーチンツァイライ〉」

          幼稚園の頃に父と母と3人で歌った”Comin' Through the Rye”と「何日君再来」です。 わたしは自分のことを「あーちゃん」と言っていたらしい。 【本日のスコーピオンズ】 57曲目「Long Tall Sally (Live)(2015 - Remaster)」 5th アルバム『蠍団爆発!! スコーピオンズ・ライヴ Tokyo Tapes(Live)』(1978)より。 これもリトル・リチャードのカバーですね。 ロケンロールタイム! の続き。 やはりハードロックの人もロカビリーが好きなんですね。 楽しそう。 どうしてもビブラートをかけちゃうところが興味深い。 また「sayonara!」って言ってるけど戻ってくるっぽい。 感想は以上です。

          ”Comin' Through the Rye”と「何日君再来〈ホーリーチンツァイライ〉」

          ”Comin' Through the Rye”と「何日君再来〈ホーリーチンツァイライ〉」

          断髪とパンツ

          今回は、久しぶりにはっきりくっきり告知をさせていただきます。 7月1日から(つまり4日前ですね)中央公論.jpにて 「断髪とパンツ 男装に見る近代史」という連載が始まりました!! わーパチパチパチ! 念願の、もっと言えば悲願の連載がいよいよ開始ということで、わたくしかなりコーフンしております。 この連載は遡ること13年前の2011年に北大生の有志が創刊した『girl!』という同人誌に連載していた「本朝異装奇譚〜ヤマトナデシコ⭐︎七変化」がもとになっております。 腐女子文化を

          断髪とパンツ

          まどんな

          先日職場で「フェットチーネグミのベニマドンナ」が美味しいという話を聞いた。 が、ベニマドンナが何かわからない。 果物の品種であろうことは想像がつくが、なんの果物かわからない。 紅だからさくらんぼかなと思ったら、なんとオレンジだった。 オレンジはオレンジ色(橙色)なんだけど……? 後日、コンビニのグミ売り場で見たら「紅まどんな」という表記であることが判明。 うわっとなってしまった。 「まどんな」という表記がなんかもう、かなり苦手。 そもそも「マドンナ」という言葉をカジュアルに使