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*追憶*

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私の過去。ノンフィクション。重たい内容多めです。気をつけてお読みください˚✩*
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#母の死

母への想い

母への想い

ある日仕事から帰宅すると

娘と母から『おかえり』と言われた

楽しそうに
嬉しそうに

疲れて帰ってきてるのに
やめてほしいと思いながらも

『どうしたの?なんかあったの?』

母はうちから車で5分ほどのところに住んでいる
こうやって家にいることも珍しくはない

でも今日は2人で嬉しそうにしていて
疲れている私のテンションでは
煩わしいだけだった

『ママ、わからないの?』

本当に不思議そうな

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心失すとき(5)

心失すとき(5)

母の葬儀の準備は着々と進み

みな、非現実的な物事を進めるように
その状況をいまだ理解できていなかった

振り向けば母は横になって寝ている

もう冷たくなって、硬くなって
それでも寝顔は生きていた時と変わらない

いや

少しずつ変化していたんだろう

後頭部に皮膚は下がり
シワはなくなり
血液が流れないため顔色は白く

その事実を認めたくなくて

『変わらないね』

そう言葉にしていた

葬儀の

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心失すとき(4)

心失すとき(4)

実家へ着くと人がいるにも関わらず

冷たい空気の流れる静かな空間となっていた

泣き声も聞こえない
物音もしない

ただ静かな空間

私と娘は2人で普段と変わらないように
何事も無かったかのように話をして
父も妹も妹の子供も食べたくないという買ってきたお弁当を
普段通りに食べた

よく似るものだ

こういう時に明るくしなくてはいけない
暗くしたくない

そう娘も思い
その結果の行動だろう

それを

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心失すとき(3)

心失すとき(3)

警察が来た

病院以外で倒れて亡くなった場合
事件性を疑い、捜査が必要なのだと言う

『ご遺体を預からせてもらえますか』

聞けば捜査をして、母が家に帰れるのは翌日の日中もしくは夕方だという

『今日中に帰してください』

それは難しいと言う警察

そんな時間まで一人ぼっちにさせるのか?
寂しがり屋で、誰かといないと不安になる
一人をとにかく嫌がった母を
そんな時間まで晒されるのを

私は承諾する

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心失すとき(2)

心失すとき(2)

病院に到着して母のいる場所を探す

何度も来ている病院で
何度も救急の出入口を通ったこともあったはずなのに
なぜかたどり着けずにいた

やっと到着するも守衛の人の呑気な対応に
無性に腹が立つ
『急いでもらえますか!』
大声をだした後に、大声を出していたことに気づく

救急のナースステーションに案内され
そこでも待たされる

なにをやってるんだ?
父と妹はいるはずなのに、なぜ私は行けない?
なんで待

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心失すとき(1)

心失すとき(1)

その日はなんの前触れもなくやってきた

仕事中、電話が鳴る
もちろん出られない

2~3回かかってきて諦めたように鳴らなくなった

また仕事に集中する

しばらくして電話がまた鳴った
今度は鳴り止まない

何度もかけ直しているのか、ずっと鳴ってる

『もしもし』

血の気が引くとはまさにこのことだと思った

母が倒れて救急車で運ばれた
すぐに来て欲しい
妹からの電話だった

仕事中であった私は、そ

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私と、母という人 (4)

私と、母という人 (4)

今になって

彼女がとってきた言動がわかるような気がしてならない

病気である私の症状によるものにとても近いものがあるから

その頃に気づくことはもちろんできなかったが

*
大人になった「私」
病気と診断された「私」

その「私」の隣にいる「母」

気分の波にのみ込まれ苦しむ「私」

誰よりも必死に私がよくなるようにと
動いてくれたのは「母」だった

「鬱病」と診断され服薬するも
全く改善されな

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