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私と、母という人 (4)


今になって

彼女がとってきた言動がわかるような気がしてならない

病気である私の症状によるものにとても近いものがあるから


その頃に気づくことはもちろんできなかったが





*
大人になった「私」
病気と診断された「私」

その「私」の隣にいる「母」

気分の波にのみ込まれ苦しむ「私」

誰よりも必死に私がよくなるようにと
動いてくれたのは「母」だった

「鬱病」と診断され服薬するも
全く改善されない私を心配して
色々な病院を調べ
連れて行ってくれたのは「母」だった

その病院へ毎回同行してくれていたのも「母」だった

動けない私の代わりに娘をお風呂に入れ
娘にご飯を食べさせ
娘を可愛がってくれたのも「母」だった

食事の支度も
私の家の掃除も洗濯も
すべてを「母」がしていてくれてたのだ

そうだ

私はこんなにも「母」に助けられてきた

子供の頃には叶わなかったけれど
大人になって伝えたことが
彼女には伝わってくれていたのかもしれない

けれど私はそれに気づかないふりをした
辛く寂しい思いをしてきたことを根に持って
「母」がそれをすることが当然のように

まるでそれが母への仕返しのように




私が「母」という記憶をなくしていたのは
彼女を忘れることによって
自分を守ろうとしていたからではないだろうか

たくさん傷つけられてきた中で、彼女の中に「私」がいたと思えなくて
それを認めることがこれまでの辛さを否定しなくてはいけなくなってしまうようで怖かったから
だから、そんな自分を守ろうとしていただけだったんだ


今になってそう思う


でも
だからこそ辛い

私がこう思える日が、なぜ「今」だったのだろう


こんなふうに気づけても
今この気持ちを持って向き合いたいと思える彼女は


私の母は、もういない


求めることも
与えてもらうことも


もう、できない


私は本当に大事な人を失ってしまった


あぁ…

なぜもっと早く気づけなかったんだろう




そうだね、ごめんね
やっぱり私は悪い子だったんだ



生きていてくれてるときにもたくさん言ったけど

『ごめんなさい』

生きていてくれてるときに言いたかったけど
「私」を見てくれていたんだね

『ありがとう』








これからもちゃんと生きていくよ



*
過去に書いたものになります

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