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小説

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小説のまとめ。短いものが多いです。
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#短編小説

余地/遠さ

余地  死んだら、溶けて消えちゃうんやって。  雪じゃん。ほとんど。  私もそうなりたいな…

橘 春
4か月前
14

きみの未来に私はいない

LIKE A FULL MOON  重い木の扉を押すと、頭上から涼しげな鈴の音がした。レジの奥はキッ…

橘 春
5か月前
4

 それが世界の果てだと思っていたから、あの夜の痛みのことを、僕は未だに忘れられずにいる。…

橘 春
6か月前
10

なにもしない日

 湿った部屋の隅で、私は決心する。ベッドの下には酒缶が転がっていて、それから流れ出た甘っ…

橘 春
4年前
12

スイカと好きな子と僕

 ざく、ざく、とスイカの種をほじくっている夏海に、ふと、思いつきで僕は問いかけた。 「こ…

橘 春
4年前
6

それが落ちたら

 それが落ちたら、と佑真は切り出した。風もないのに「それ」はゆらゆら揺れている。心臓から…

橘 春
4年前
10

君の背中が好きだった

 ふたりで城をつくった公園、帰り道に寄ったコンビニ、何度も砂を蹴ったグラウンド。どうして人は、失わないとその大切さに気付けないのだろう。  私は今日、この町を出て行く。  保育園からの幼馴染である中谷航は、小学生からずっと野球に打ち込んできた。クリスマスプレゼントで、野球ファンの伯父からボールとグローブをもらったことがきっかけらしい。航と航のお父さんと私の三人で、グラウンドがある近所の公園に行っては、毎日のようにキャッチボールをしていた夏を覚えている。  中学生になって、

三月下旬の所沢

 どうして人は、失わないとその大切さに気付けないのだろう。 「梨々香、久しぶり」 「………

橘 春
4年前
7

破壊された月

「速報です」  リモコンに触れてすらいないのに、バラエティ番組がニュースに切り替わった。…

橘 春
4年前
1

苗字が変わるかもしれない

 私の苗字が変わるかもしれない。  それは好きな人からの将来の約束でもなんでもなく、なん…

橘 春
4年前
7

また明日と笑ってください

 明日、私は、退部届を出す。  去年の春、高校に入学して間もない頃、家が隣の幼馴染である…

橘 春
4年前
9

香水

 暗い。  切れかかっている電球の真下が、この部屋でのわたしの定位置だ。灰色の敷き布団の…

橘 春
5年前
6

忘却

 私たちは忘れることを知っている。忘れられることも知っている。忘却は罪であり、救いでもあ…

橘 春
5年前
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