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2020年8月17日 03:29
扇風機の風に揺れるカレンダー窓際で太陽を浴び、今にも踊り出しそうな観葉植物ふと床に目を向けると、ダンボールから届いたばかりの雑誌が顔を覗かせて小さいテーブルの上にはネイルが散らばっている読みっぱなしの文庫本、しおりはきちんと挟んだかなメガネはどこに置いたかなベッドの上でパソコンを開いてさて、この後は何をしようかと考える休日の午後、いつもの風景ありふれた贅沢数
2020年11月24日 13:26
あなたへあなたはいつも頑張っていて偉いですあなたはいつも笑っていて偉いですあなたはいつも毎日を必死に生きていて偉いですあなたはいつも全ての人に優しくできて偉いですけれどあなたは生きていく上で必要な嘘のつき方を知らないからダメですあなたは心が泣いているのを隠して作り笑顔をするからダメですあなたは気持ちが萎えて死にたいと思うときにきちんと死にたいと言えないからダメです
2024年2月25日 13:05
夜明けの終わり。カーテンの隙間から差し込む明かりが、あなたの頬にそっと色を乗せる。これから先、私たちは幾度となく、同じようで全く違う、甘くて痛い夜を越えていく。うっすらといびきをかくあなたの、目にかかる前髪をそっとどかし、おでこにゆっくりと口づけをした。それは、とっても甘くて、耐えられないほどに痛かった。私の涙が、うっすらと寝息をもらすあなたの、私の体温が
2021年5月4日 19:13
私が「ただの映画好き」から「映画監督未満」になったのは、今から約1年ほど前の話。普段は一晩のうちに2つ以上必ず夢を見る私が一切夢を見なくなったのも、ちょうどその頃の話。映画を作ってみたいという漠然とした願望に脳内が支配された私は、お風呂に入っているとき、歯を磨いているとき、寝支度を済ませ布団に入ったとき、そんな、日常にありふれた何も考えなくてよい瞬間でさえも、答えの出ない問いを永遠に巡らせていた。
2021年4月1日 11:52
2021年4月1日私は、今後きっと幾度となく、今日という日を思い出すだろう。ぱきっとしたスーツに身を包み、おろしたてのネクタイを締め、ピカピカの靴を履いて、入社式の会場へと向かう。それは、私が経験しなかった、もう一つの日常だ。就活中。満員電車に揉まれながら、説明会の会場に向かうときの気持ちを思い出す。都内を走る電車の広告の大半は転職に関するものばかりで、それ以外は、大体が自己啓
2020年8月28日 23:45
「泣きながら飯を食ったことがある人間は、きっとこの先、どんな困難も乗り越えられる。」高校時代、親しくしていた先生が私に教えてくれた言葉だ。当時の私も、昨日までの私も、きっとそんな日が訪れることなどないだろう。漠然と、そう思っていた。しかし、そんな矢先。「泣きながら飯を食う日」は、唐突に訪れた。そう。まさに今日だ。今日は、初めて泣きながら飯を食った記念日だ。正直、涙の味で