2021年4月の記事一覧
わたしの本棚103夜~「空白の天気図」
緻密な調べによる熱量のある本でした。読後、ずっしりと胸に迫るものがあって、読書の幸福感を味わえた本です。
2016年公開の片淵監督「この世界の片隅に」を30分長くした(シーンを増やした)2019年公開の「この世界のさらにいくつもの片隅に」のDVDを借りてみました。そこには、広島原爆のあと、9月17日の枕崎台風による被害も描かれていました。主人公すずさんの住む呉市の北条家も屋根が壊れ、家の浸水
わたしの本棚102夜~「52ヘルツのクジラたち」
2021年本屋大賞受賞作です。今年は、ノミネート作品のなか、宇佐見りん氏『推し、燃ゆ』(河出書房)、加藤シゲアキ氏『オルタネート』(新潮社)、伊坂幸太郎氏『逆ソクラテス』(集英社)を読みました。
3作品とも面白かったのですが(特に『逆ソクラテス』は大好きな作品でした)、それらに比べても、受賞作『52ヘルツのクジラたち』は、一番、感情を揺さぶる内容であり、泣かされました。ラストへの収束は、少し
わたしの本棚101夜~「オルタネート」
直木賞候補、本屋大賞候補、吉川英治文学賞新人賞受賞作です。著者がジャニーズの加藤シゲアキ氏というので、話題が先行しましたが、現代の都会の高校生の青春群像劇として、面白く読みました。
オルタネートという高校生限定のアプリを鍵にし、「ワンポーション」というネットでの調理選手権といった今風の環境のなか、ラスト、文化祭での悲喜こもごもへとの加速は、読後感が爽やでした。
☆オルタネート 加藤シゲアキ
わたしの本棚99夜~「岩下志麻という人生」
著者の立花氏には、女優さんへのインタビュー本が4冊あります。
若尾文子「宿命の女」なればこそ」(ワイズ出版)、吉永小百合「わたしが愛した映画たち」(集英社新書)、香川京子「凛たる人生」(ワイズ出版)。そして、この本です。4冊のなかで、わたしがもっとも好きな本は「岩下志麻という人生」です。生い立ちや「素の私」の考えたことがセキララに語られており、容貌との意外性もあって、好感でした。
☆「岩下