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わたしの本棚

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2021年4月の記事一覧

わたしの本棚104夜~「名歌、名句の美」

わたしの本棚104夜~「名歌、名句の美」

 俳句の「船団」が散在して、1年になります。そんな中、この春、元船団の会の先輩から本をご恵贈いただきました。とてもわかりやすい本で、和歌や俳句に使われている言葉さばきを読みとき、作品鑑賞した本です。カバーの装画も著者だそうで、美しい赤い花(アンスリウム)の画です。

☆「名歌、名句の美」武馬久仁著 黎明書房 1980円

名歌の美では、大伯皇女から吉井勇まで23人の名歌を鑑賞、人となりのエピソード

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わたしの本棚103夜~「空白の天気図」

わたしの本棚103夜~「空白の天気図」

 緻密な調べによる熱量のある本でした。読後、ずっしりと胸に迫るものがあって、読書の幸福感を味わえた本です。

 2016年公開の片淵監督「この世界の片隅に」を30分長くした(シーンを増やした)2019年公開の「この世界のさらにいくつもの片隅に」のDVDを借りてみました。そこには、広島原爆のあと、9月17日の枕崎台風による被害も描かれていました。主人公すずさんの住む呉市の北条家も屋根が壊れ、家の浸水

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わたしの本棚102夜~「52ヘルツのクジラたち」

わたしの本棚102夜~「52ヘルツのクジラたち」

 2021年本屋大賞受賞作です。今年は、ノミネート作品のなか、宇佐見りん氏『推し、燃ゆ』(河出書房)、加藤シゲアキ氏『オルタネート』(新潮社)、伊坂幸太郎氏『逆ソクラテス』(集英社)を読みました。

 3作品とも面白かったのですが(特に『逆ソクラテス』は大好きな作品でした)、それらに比べても、受賞作『52ヘルツのクジラたち』は、一番、感情を揺さぶる内容であり、泣かされました。ラストへの収束は、少し

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わたしの本棚101夜~「オルタネート」

わたしの本棚101夜~「オルタネート」

 直木賞候補、本屋大賞候補、吉川英治文学賞新人賞受賞作です。著者がジャニーズの加藤シゲアキ氏というので、話題が先行しましたが、現代の都会の高校生の青春群像劇として、面白く読みました。

 オルタネートという高校生限定のアプリを鍵にし、「ワンポーション」というネットでの調理選手権といった今風の環境のなか、ラスト、文化祭での悲喜こもごもへとの加速は、読後感が爽やでした。

☆オルタネート 加藤シゲアキ

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わたしの本棚100夜~「愛する源氏物語」

わたしの本棚100夜~「愛する源氏物語」

 コロナウイルスに慣れてしまって危機感が少なくなったけれど、大阪を始め関西地方大変な状況です。大阪府に16ある「三次救急病院」のうち、2か所がコロナ患者受け入れで、他の病気の患者さん受け入れやめるというニュース。幸い、気候が良くなり、ワクチン接種も浸透しだし始めましたが、変異型の猛威、とても怖いです。

 この春から、少し学ぼうと思って始めた、源氏物語の和歌を読んでいくのも、今日、6首終わりました

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わたしの本棚99夜~「岩下志麻という人生」

わたしの本棚99夜~「岩下志麻という人生」

 著者の立花氏には、女優さんへのインタビュー本が4冊あります。

 若尾文子「宿命の女」なればこそ」(ワイズ出版)、吉永小百合「わたしが愛した映画たち」(集英社新書)、香川京子「凛たる人生」(ワイズ出版)。そして、この本です。4冊のなかで、わたしがもっとも好きな本は「岩下志麻という人生」です。生い立ちや「素の私」の考えたことがセキララに語られており、容貌との意外性もあって、好感でした。

☆「岩下

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