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エッセイ

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日常のあれこれについての記事です。 食べ物以外をまとめています。
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#料理

疲れた人に癒やしを届ける本

悩みを抱えた人が食事を通して道を開いていく、というような枠組みの作品を書店でよく見かけるようになって久しい。 大体ハッピーエンドになるのはわかっていながらも、前半の悲しい雰囲気で自分も落ち込んでしまうのでここしばらくそういう本は読んでいなかった。 しかし先日コミックエッセイの棚にふらっと立ち寄った際、とある表紙のおにぎりに惹かれてパラパラとめくってみたところ、お迎えせずにはいられなかったのである。 クマやゴリラといったキャラクターたちが、疲れて体力も気力も失いかけた人間

トラップがスケートリンクになった

新しいフライパンを買ったのだけど、使いやすすぎて興奮しちゃった。 今までのは夫が持っていたのの引き継ぎで、もう加工が剥がれているのか確実にひっつく部分が存在していた。そこを経由しないように努めて炒めてみるのだが、そんなうまくはいかないもの。 卵はこびりつき、お肉はちぎれる。そしてお肉に片栗粉をつけた日には速攻でひっつきトラップに引っかかり、火が通った頃にはお肉はむき出しに、脱がされた衣はそれだけで集結して茶色い「もにょもにょ」という新たな具材に進化(?)するのだった。

大晦日の境目を見て、お正月を迎える

あけましたね。 みなさま、あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 毎年楽しみにしている、紅白とゆく年くる年の境目も無事に見ることができ、幸先の良いスタートである。その時点では年越す15分前だったけど。 ※「境目」……紅白の放送終了間際に銀テがプシュと発射し、華やかな画面が数秒。そこから寺社のカットに切り替わり、厳かさのなか、ゴーンと除夜の鐘が鳴る。このプシュッからゴーンまでの、ほぼ無音の数秒のこと。この静と動のメリハリが、いつしか好きになっていた

クリスマスの足音

気分転換も兼ねて、サブスーパーに行ってまいりました。 商品のラインナップもセール商品もメインスーパーと違って楽しいなあ、とフラフラしていたのだが、惣菜コーナーの近くを通りががったとき、クリスマスソングが聞こえてきた。 店内のBGMもあるので、何の曲かははっきり聞き取れない。しかし、ベルや鈴の音はしっかり耳に飛び込んできていて、たちまち胸が高まっていくのを感じた。買わないと決めていたお惣菜、買っちゃおうかと思うくらいだった。買わなかったけど。 1年のうちで最も好きな時期、

うれしいプレゼント、そして晩ごはん

私のかぼちゃ好きは身内やお友達にも結構知られているのだが、先日、お友達から素敵なプレゼントをいただいた。 かぼちゃモチーフが付いたヘアゴムである。普段お世話になっているのは緑かぼちゃだが、オレンジかぼちゃも華やかさがあって良い……! オレンジかぼちゃはハロウィンシーズンをはじめ、定番お菓子の秋仕様パッケージに使用されることも多い。スーパーのお菓子コーナーにあるオレンジと黒の袋に吸い寄せられるも、味自体は通常と変わらず、「うん、知ってたよ……」と呟くのを繰り返す。そんな季節

台所で揺れる葉、三角コーナーの皮

全く自慢にならないが、私はいわゆる「緑の指」を持っていない。 小学生の頃、進研ゼミで送られてきた栽培キットはことごとく失敗し、急に思い立って庭に蒔いた花の種は雑草に紛れて消えてしまった。 今なら下調べや手入れで改善の余地はあるが、過去の実績を思い出しては『また命を無駄にしてしまうのでは』と後ろ向きになり、時々挑戦したくなるたび二の足を踏み続けている。 しかし、実は頻繁に育てている植物が一つだけある。洗剤の隣で葉を茂らせてくれる、大根の葉だ。 野菜の再生栽培は様々あれど

キャラメルコーンでフーチャンプルーを作りたい

キャラメルコーンの塩キャラメル味を食べてみたのだが、通常バージョンの味を忘れてしまい、どのくらい違うのかよくわからない。 それを夫に言うと、いそいそと自室から赤いパッケージ(増量中)を持ってきて、新しいお皿にバーっと開けた。 これによってめでたく味の違いがわかった(塩キャラメルは味が濃いめ。通常はピーナッツの風味が全体についている)。しかし、全てのキャラメルコーンを食べきることは難しく、更に袋を捨ててしまった通常味はあっという間に湿気ってしまったのである。 ああ、私が食

鶏胸肉をパリパリに焼きたかった

我が家の重要なタンパク源、鶏胸肉。 下ごしらえが楽だし何よりも安いという理由でかなり打席に立ってもらっているのだが、未だに加熱の加減が心もとない。 薄切り肉と異なり、そぎ切りをしてもある程度の厚みが生じる。食中毒回避は絶対。それに加え、痛くは無いけどなんか胃の調子がいつもと違うかな? みたいなことは(私のみ)過去に何度かあり、関係ないのかもしれないが用心するに越したことはない。 しかし、焼きすぎて固くなるのも困る。もも肉と違って脂がほぼ無いため、パサパサになるとどこまで

文章の悩みとハンバーグ

先日食べた和菓子のことを書こうとして、2〜3段落ほど書いたとき、手が止まった。 この進行方法、今までのと同じなのでは…… そう思ったから。 もちろん、同じ構成で毎回面白い記事を書く人もいる。しかし、私のそれは自分で面白いと思えなかった。面白いと決めるのは自分だけじゃないのはわかっているが、それでも、これは違うよなあ、と下書き保存を押してパソコンをとじたのだった。 私は食べ物、特にスイーツ類を取り上げることが多い。さらに、その多くが自分にとって目新しいもので、驚きや喜び

美味しい素揚げを作るには

先日の夕食は、スープカレーだった。外食ではなく、スープカレーの素を用いたもので、値引きされていたので久々に作ってみたとのこと。 私が帰宅したときには既に9割完成していたが、母は玉子焼き用のフライパンを熱し始めていた。聞くと、かぼちゃを素揚げしてみようと試みているところだった。スープカレーだと知っただけでも「おお!」と体温が上昇していたのだが、かぼちゃのトッピングが加わるとなると、それはもう大変な騒ぎである(?)。 スープカレーにおいて、かぼちゃは切っても切り離せないもの。

冬に取り残された3月の1コマ

うちの猫氏がストーブの前で座っている。 寒がりの彼女は、あの黒い長方形に明かりが灯るのを今か今かと待ちわびているに違いなかった。 こういうとき、彼女はたいてい静かに佇む。 こちらに特段アピールするでもなく、ひたすらストーブを眺めるのだ。 約1m後方からその姿を見つけ、じっと様子を窺う私。お尻の先から後頭部まで、少しも動く気配はない。 ……というところで、餃子包みに呼ばれた私は、台所へと向かうのだった。 ***** 皮がひっついており、1枚目から破りそうになりながら

私が求めていたエビじゃない……?

冬になると、スーパーで散見されるものの1つが鍋の素(液体)である。寄せ鍋、キムチ鍋、豆乳鍋、さらにはチーズ鍋など、一から作るのが大変そうなものも、具材さえ用意すれば簡単にできるのがありがたい。 先日、今まで見たことがない商品を見つけた。まだまだ雪は溶けそうにない季節、鍋の出演機会は確実にある。どれどれ、これは何鍋かなと近づいてみると、エビがメインの鍋だった。 私と母は、こういうエビ出汁を使った料理が好きである。エビ本体も好きだが、天ザルならエビ2本よりも、エビ1・シシトウ

新入りのハチミツです

食卓テーブルに見慣れないハチミツが置いてあった。父がコンビニで買って来たらしい。 父は料理を滅多にしないが、たまに食パンでフレンチトーストを作ることがある。私も、ものすごい昔に作ってもらったことがある気がするが、確か美味しかったはず。滅多にないのにその記憶の保持ってどうなのよ、とさらに深掘りをしてみたが、むしろ作ってもらったことすら本当だったか不安になってきてしまったので中断することにする。とりあえず、今回のハチミツはフレンチトースト用であることは確実なのでそこは安心してほ

いつもと違う姿

黒胡椒がペーストになっていたなんて知らなんだ。 夕食時、突如テーブルに出てきたのは「禁断の黒胡椒(ハウス)」でした。商品名の横には「やみつきの旨さと辛さ!!」という補足(?)付。エクスクラメーションマーク×2が勢いを感じさせます。 その上に写るのは、黒胡椒が塗られた焼肉。こちらの商品は「焼いたお肉にそのままつけ」よと使い方に書いてあります。胡椒だけど用途特化型……焼肉のタレと同じカテゴリと考えればよいのかもしれません。 (一方、焼肉のタレはそれ以外の料理でも大活躍する万