冬に取り残された3月の1コマ



うちの猫氏がストーブの前で座っている。

寒がりの彼女は、あの黒い長方形に明かりが灯るのを今か今かと待ちわびているに違いなかった。



こういうとき、彼女はたいてい静かに佇む。
こちらに特段アピールするでもなく、ひたすらストーブを眺めるのだ。

約1m後方からその姿を見つけ、じっと様子を窺う私。お尻の先から後頭部まで、少しも動く気配はない。



……というところで、餃子包みに呼ばれた私は、台所へと向かうのだった。




*****



皮がひっついており、1枚目から破りそうになりながらも、11個包むことに成功した。正直1枚目は2mmくらい破れたが、水を付けて折り込んだのでうまく誤魔化せたはずだ。

手を洗って居間に戻ると、彼女はストーブに程近い椅子の上に、さっきと同じ姿勢で座っていた。そこには薄い低反発クッションが敷いてある。



……さっきよりも寒くなったんだね。



というところで、ストーブ点火。


猫、だけでなく人間にも、安寧のときが訪れようとしていた。
(すぐ点けとけよ)


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三谷乃亜
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