【連続小説3】ツネダくんは、気にする
ツネダくんの職場は、社員数30名の出版社だ。都内ではあるが都心とは言えないエリアにある、少人数の会社なので、独特な風習がある。
営業部と編集部のオフィスは分かれており、出社するとまずは営業部に挨拶に行く。
1階に薬局が入っている雑居ビルを上がり、2階の突き当りが営業部のオフィスだ。防火扉くらい重く感じる扉を開け、「おはようございます。」
ツネダくんは、まずここで中の大くらいの声量で挨拶をする。朝早めに来て作業をしている社員もいるので、びっくりさせないように、かつ、誰か来たとい