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【エッセイ/自伝】あのパラレルワールドを取り戻したい

高校生の頃までは人生が良い感じだった。それなりに勉強をし、スポーツにも打ち込み、友人関係も良好。あんなに急に崩れるとは思わなかった。

学校帰りに交通事故にあった。人生ってちょっとしたきっかけで、それまで積み上げてきたものが音を立てたように崩れるんだって実感した。事故に遭ったって、治ったあとに学校生活に復帰すればいいのだが、僕にはそれができなかった。それまでなまじ人生がうまくいっていた分、入院期間で勉強に遅れをとってしまったこと、ケガの影響で運動部には復帰できなそうなこと、さまざまな要因がからみ、なんだかやる気を失ってしまった。そのまま高校を中退し、実家暮らしのままアルバイトをしたりしなかったり。ちょっとしたきっかけで、人生って崩れてしまう。まあ、自分の能力不足なだけなんだけど。

人生の好調度にグラフがあるとしたら、高校生の頃にガクッと下がり、そのままぐずぐず停滞している感じ。高校までは右肩上がりに進んでいて、そのまま上がっていったはずの幻のグラフが点線になって見えている。あの点線のパラレルワールドが、現実だったらよかったのに。

一度だけ、当時やっていたアルバイトの社員さんに魅力を感じて、連絡先を交換したことがあった。大手企業の社員だったから、もしかしたら僕の本来の人生の運命の人だったかもしれない。そんなことを思った。馬鹿みたいだ。2回目の電話で休日に出掛けることを誘ったが、あっさり断られた。勘違い。恥ずかしい。

ぬるま湯の環境に身を置いて日々を過ごしている。まったく不幸ではないし、このままあと何十年か経って人生を終えるんでも構わないけれど、胸の奥底にどこか納得いかない不快感があって、それを消し去るために、せめて書かなきゃって思って、このnoteを書いています。

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