哲学の小道
心地の良いナニカだけでは
人は繋がれないのか
遠くに聞こえる葉音を
融かすような誰かの声が
爽籟に攫われるとき
うつ伏せた机の上から
講義終了の鐘を聞く
痺れの切れかけた
腕の端で
人差し指の先が
静かな情動の行方を追う
音のない
風もない
熱もない
色もない
光のない
そんな場所があるならば
鼓動のままに
かの香りを追う
浅い眠りのあとに
水の詩を詠うように
ゆきたい場所へ
ただ向かう
自由
人は何故ゆえに
そんな言葉を創ったのか
憧れの空想の産物
物ではないものに
縛られているからこそ
反比例の曲線美を
恍惚として崇めるのかもしれず
何に続く何処へ届く
入り口の向こうの
白い廊下は
あっけらかんと
単に空間であり
そこをゆくとき
我々を阻むものは
何もないはずで
心地良さの欠片を集めてゆけば
人は真っ直ぐに歩いてゆけるはずで
その先に
君もいるはずで
現は柔らかく
形なき魅力の方向へ導く
なにか温かいもの
本能を呼んでやまないもの
魅力というのか
愛というのか
人は絶え間なく
自らを言葉に当て嵌めたがるけれど
私は
恨めしそうに鳴く
一匹の子猫を
横目に通り過ぎた
あの道を
月桃のような目を
思い出して
一人
ノートを閉じた
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