マガジンのカバー画像

閑話休題

274
いわばエッセー。雑談。ブレイクタイムの茶飲み話です。ということで始まったのですが、他のマガジンで扱えない話題・内容をこのマガジンで扱うようになりました。またそういう経緯で、最近は…
運営しているクリエイター

#エッセイ

<閑話休題>ホームズとポワロの生きた時代

<閑話休題>ホームズとポワロの生きた時代

 シャーロック・ホームズは、この名前自体が既に固有名詞化しているくらいに、世界中に膾炙した私立探偵の活躍を描く短編小説の主人公だが、彼の活躍した19世紀末ロンドンという、虚栄と繁栄が過度に達した世界を舞台にしているところに一番の醍醐味がある。

 また、アガサ・クリスティーが新たに創造した私立探偵エルキュール・ポワロは、ホームズに匹敵する探偵小説の主人公として、その名を世界中に知られている。ポワロ

もっとみる
<閑話休題>四次元世界とタイムスリップ

<閑話休題>四次元世界とタイムスリップ

 タイムスリップ(注:人が別の時空間との間を行き来する意味で使用)は普通に存在していると思う。よく言われることだが、二次元生物がいると仮定すれば、我々三次元生物では普通に存在している「高さ」という概念が認識できない。そのため、例えばある場所から別の場所へ高さを利用して移動する(つまり、またぐ動作)は、二次元生物には認識できないから、まるで魔法のように見える。
 
 同様に、三次元生物にとっては四番

もっとみる
<ラグビー及びエッセイ>『スワーブをきりながら(私とラグビーとの長い旅)』

<ラグビー及びエッセイ>『スワーブをきりながら(私とラグビーとの長い旅)』

 2024年4月4日、『スワーブをきりながら(私とラグビーとの長い旅)』というエッセイを、Amazonの電子書籍及びペーパーバックで出版しました。

 これは、私が大学時代にラグビーに出会ってから、その後社会人(国家公務員)となり、いろいろな海外で勤務をしながら、現地でラグビー、タッチフットなどをしてきたこと、そして息子の(全国大会出場経験のある)高校ラグビーの父兄としての経験など、40年にわたる

もっとみる
<閑話休題>英国由来スポーツが雨でも実施される理由

<閑話休題>英国由来スポーツが雨でも実施される理由

 私の好きなラグビーでは、「英国紳士(ジェントルマン)たる者は、一度決めたことは何があっても約束を守る。だから、雨が降ろうが槍が降ろうが、一度やると決めたラグビーの試合は、何があっても実施する」という、まるで「武士道とは死ぬことと見つけたり」式の戦陣訓のような言葉が信望されている(さすがに、現在ではかなり緩やかになってきているようだが)。

 またこの言葉は、ラグビーを優れたスポーツであることの代

もっとみる
<閑話休題>「雨の日と月曜日は」の次の火曜日は・・・

<閑話休題>「雨の日と月曜日は」の次の火曜日は・・・

 何回か本欄のネタにしている、カーペンターズの名曲「雨の日と月曜日は」。ラヴソングの名曲とされているけれど、ヨーロッパ文化においてLOVEは、男女間の恋愛とは限らない。むしろ、「神の愛」という宗教的な意味合いが強いことが多い。そして、この曲の歌詞を深読みすると、どうも「神の愛」の方が強いのではないかと思う。なぜなら、気持ちが落ち込んでいる人が、そこからの救済を求めているから。

 ところで、10月

もっとみる
短編小説集出版のお知らせ(宣伝です)

短編小説集出版のお知らせ(宣伝です)

 この度、Amazonのkindleストアから、電子書籍として二冊の短編小説集を出版しました。一つは、長年書き溜めてきたクリスマスストーリーから9編を選んだ『クリスマスストーリーズ』。もう一つは、J.D.サリンジャーの『ナインストーリーズ』や中井英夫の『とらんぷ譚』(特に『幻想博物館』)のような作品をイメージした、九つの短編を選んだ『九つの物語』です。 

 これまで、noteでいくつかの作品を投

もっとみる
<閑話休題>万世パーコー麺の思い出

<閑話休題>万世パーコー麺の思い出

 2023年7月12日、有楽町の万世麺店でパーコー麺を食べようと思って、有楽町ビル地下一階に入った。ところが、既に移転している鉄道模型のカツミ模型店の寂しいシャッターに続いて、万世麺店もシャッターが降りていた。近くで、「古いビルだから、改築のため万世も閉めちゃったね・・・」と話している声が聞こえた。
 
 仕方なく、同じフロアの万世と同じころからある、日本蕎麦の竹村に入った。そこでまた、さっき万世

もっとみる
<芸術一般・エッセイ>関係の哲学

<芸術一般・エッセイ>関係の哲学

 哲学というほどのたいそうなものではないが、この世の人と人とのコミュニケーションとか、人がどう生きているのかとか、なぜ私がここにいるのかなどの、いわゆる根源的な疑問・テーマについて考えることは、昔から哲学という名称を持っていたので、私もそのまま表題に使わせてもらう。

 また、表題にある< >内の言葉は、noteマガジンの項目分けなのだが、そもそも<哲学>というマガジンを作っていない上に、私として

もっとみる
<閑話休題>天邪鬼と付和雷同

<閑話休題>天邪鬼と付和雷同

 私は、子供のころから天邪鬼で付和雷同の性格だったから、よく母親や先生に「協調性がない!」、「なぜ、みんなと同じにできないの!」と叱られていた。そのたびに、「みんなって、クラスの何人?何%なの?」という反論をして、「おまえは、本当に屁理屈が多いねえ!」とさらに叱られていた。その、今流行りの軽薄な言葉で言えば(つまり、マスコミに踊らされて使用しているだけで、実際は専門の精神科医でなければ使用する意味

もっとみる
<閑話休題>円環的時間を語るための、ひとつのイメージ(一種の文学的断章)

<閑話休題>円環的時間を語るための、ひとつのイメージ(一種の文学的断章)

 (スティーヴン・ホーキングの語る虚時間とは、虚数によって表される時間であり、虚数は英語ではimaginary time であり、その説明は、Time measured using imaginary numbers. ⦅虚数によって測られる時間⦆となる。だから虚時間とは、正確には、想像数<または想数>によって、測られる想像時間<または想時間>、カタカナを使えば、イメージ時間となるのだ。つまり、イ

もっとみる
<閑話休題>正義の味方はなぜ走るのか?―走るスポーツと走らないスポーツとの比較―

<閑話休題>正義の味方はなぜ走るのか?―走るスポーツと走らないスポーツとの比較―

 20世紀に入ってから、コミックや映画などに描かれた正義の味方は、みな常に走っている場面が多い。なぜ走っているのかと考えた場合、正義を実践するために叩きのめさなくてはならない悪は、いつも逃げ足が速くしかも逃げ切っているからだ。たとえば、ゆっくりと逃げる悪や、逃げないですぐに捕まる悪は存在しないし、また走れない悪や走れない正義も同時にキャラクターとして造形できない。

 こうした世界では、常に肉体的

もっとみる
<閑話休題>東京人の憩い

<閑話休題>東京人の憩い

 東京が年に一度だけ、息抜きをする時期がある。それは8月の帰省の頃だ。帰省する人たちの列車、車、飛行機はひどい混雑だけど、なかば日本のバカンスと呼べるこの「旅行」とは無縁な、東京に居残っている私などは、文字通り誰もいなくなった街並みを見て、ほ―と大きく深呼吸してしまうのだ。

 この得も言われぬ快感は、東京にいても帰省してしまう人たちには味わえぬもので、いわば「レジャー」もできぬ少数派である私など

もっとみる
<閑話休題>シアワセニナリタイ

<閑話休題>シアワセニナリタイ

 「幸福になる」という願望は、二種類のものに分けられると思う。ひとつは、他の人から「あなたって幸福ね」と皮肉でなくて、純粋に羨ましがられる生活状態・環境に自分が恒常的にいること。もうひとつは、自分自身が「幸福だなあ」という感情に常時いられることである。

 最初に述べた生活状態・環境を即自的に幸福だと感じられるタイプの人は、幸福になるのはそんなに困難ではないと思う。なぜなら、それは他人から見て簡単

もっとみる
<閑話休題>腕時計の話

<閑話休題>腕時計の話

(前回、昔NZでラグビーをしたときの詩を掲載したのですが、そのつながりとなる話です。)

 僕が高校入学したときのお祝いにと、父が新小岩商店街の時計屋で腕時計を買ってくれた。1974年の話だが、当時の最新式ではなく、買ってくれたのは1968年から発売しているセイコーのロードマチックという自動巻きだった。

 本当は、地味系が好きな僕としては、白い文字盤に黒い針があるオーソドクスなものが良かったけど

もっとみる