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記事一覧
洞窟 : short story
裕也は、玄関前で待っていて、俺の車を見つけると車の前に駆け出して来た。
「轢かれるから玄関に戻って。」
裕也は自分で安全確保するのがちょっと危うい。
車を車止めに停めて、玄関先に移動した裕也と、ハイタッチ、ロウタッチ、グータッチした。
僅かだけどビリビリとした感じ。
「裕也くんこんにちは。」
「うふふ。」
裕也が玄関を開け、リビングまで入って行く。
リビングにいた母親と、兄の蓮くん
廉さん : short story
「世界を現すのには、言葉は少なすぎるのですよ。」
と、廉さんは言った。
果てのない壮大なものから、小さな波から細波まで現すには、言葉は少なそうだ。
それを現そうと、言葉を尽くせば尽くすほど離れていく。
言葉である形を作り出すと、似ているけれど、どこかもやっとする別の形が現れてしまう。
それは「嘘」と言っていい程離れてしまうこともある。
私が深く納得すると、
「ただの戯言ですよ。」
と、微
おもい。 ( 短編 : 5894文字 )
SNSの記事を読んでいたら、雲を消す方法が載っていた。「強く念じずに軽い感じで雲と一体化して消したい雲を消しゴムで消すイメージ消す」って、書いてあった。
雲を見ていたらそれを思い出して、消したい雲をジッと見て、
「青空が見たいからごめんね。消えてくれる?」
と、雲に言って、消えるイメージをした。
そしたら、アハ体験みたいに、ゆっくり静かに消えて、雲の切れ間から青空が覗いた。
「こんな簡単に出来るの
夏の雨雲 : short story
一昨日、
「もう、消えてしまいたい。」
と言うくらい、
どーしようもない出来事があった。
聞こえちゃったんだよね。
心の声…。
「あら、来たの。」
と、冷たいトーンで…。
聞こえてしまったものは、
仕方ない。
聞こえちゃったんだから…。
もう、話す勇気なんかないから、
車に戻り、
「このままじゃいけない。」
と思い、
スーパーに併設された本屋に行った。
本屋は魔法の宝庫だ。
あっという