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『やらされる事』と『やりたい事』の違い

我が家では金融教育に取り組み始め、すでに1年以上が経過した。金融教育では、金融リテラシーが向上すると将来に対する希望が生まれる?でも触れたように「稼ぐ・使う・貯める・運用する」という4つの学習テーマに取り組む。

またこの4つのテーマの中で「稼ぐ」ことに取り組むと、やる気のからくりも学ぶことになった。

【やる気のからくり】

すでに書いた投稿で何度か触れているが、やる気には「内発的動機付け」と「外発的動機付け」がある。詳しくはこちらを参照:中1男子と5歳児のやる気を引き出す教育法

そして「内発的動機付け」とは例えば本人が元々持っている興味や好奇心、関心、さらには意欲などが作り出すやる気を指し、「外発的動機付け」とは、外部から与えられるやる気の事のようで、例えば子供にとっては「叱られないように」という強制が働くものから、「ほめらる」「ご褒美」というものまであり、大人であれば法律や罰金という強制力が働くものから、「賞与」「評価」「昇給」、さらには「承認欲求」などがあるという事である。

【やりたいこと】

私の息子を例にあげると、彼はほっといても「文房具作りや段ボール工作」などはやる。さらには「歌を覚える」「歌を歌う」という事は一日中暇さえあれば取り組んでいる。そして気が向けば料理が好きなようで次女の朝食も用意してくれたりする。パンを型を使って切り抜くだけだが。また、このほかにも時間が少しでもあれば「バスケの練習」「友達と遊ぶ」という事には取り組もうとする。

また5歳児の長女は「塗り絵」はほっておいてもやる。そして「人形遊び」も1人でやっている。また「絵本」も自分で読んだりする。

次女は音楽がかかると1人で踊っている。これは長男と長女には見られなかった行動である。

このように個人差はあるが、それぞれ「やりたいこと」は誰かに強いられることもなく、1人で勝手に取り組む事が出来ている。

「内発的動機付け」が働いているからだ。

長男は人形遊びやダンスはしない。しかし長女は人形遊びをし、次女はダンスをする。これもまた「内発的動機付け」が個性を伴ってそれぞれの子供に働いているという事になる。

すなわち、人が感じている「やりたいこと」にはこの「内発的動機付け」が強く働いており、そもそも興味や意欲が伴いやすいものを人はやりたいことと感じているように思う。

【やらされること】

ではやらされることはどうだろうか?

子育てをしていてまず思いつくのは「歯ブラシ」である。大人は歯医者の経験もある上、さらには口臭マナーへの気遣いも働き「歯ブラシ」は自ら行動して行える。しかし長女と次女は親に強いられる必要がある。

虫歯になるよと言ったところで能動的に行動する程の「外発的動機付け」は生まれない。次女に至っては泣きながら歯を磨かれている。

着替えはどうだろう。我が家の子供たちを見る限りではこれも「やらされている」事である。

学校の勉強も間違いなく長男は親と先生に「やらされている」ことになる。

しかしどれもやはり子供たちは「外発的動機付け」が働くことで「やりたくないこと」であっても長男は毎日勉強し、長女もお着替えや歯ブラシはやっている。

【やりたい事とやらされる事】

これらの例をあげると、やりたいこととやらされることには「やる気」が関係していることが分かる。

すなわち、やりたいことと感じるものは「内発的動機付け」が働いており、「やらされること」には「内発的動機付け」が働いておらず、「外発的動機付け」が働くことによって「やらされること」に行動が伴うのである。

そして「内発的動機付け」が働いていれば、周りがほっておいても「能動的に取り組む」事ができ、「内発的動機付け」が働かないことに関しては、周りの力を借りて「取り組む」必要が出てくるということだ。

【やらされている事は問題ではない】

よく「やらされているうちは伸びない」というが、子供を育てる家庭では「やらされている」事の中で大切な事は多々ある。

学校に行くことや歯ブラシをすることも「外発的動機付け」が手伝って初めは嫌々やるかもしれない。

しかし学校の楽しさを知ることで学校が好きになり、学校へいく「内発的動機付け」が得られるようになる。そして歯ブラシをした後の爽快感を知ることで歯ブラシに対する「内発的動機付け」が生まれるようになるだろう。

すなわち、人は「外発的動機付け」が働くことで新しいものを知る機会を得る事が多くあるという事である。

「やらされていること」というと聞こえが悪く感じてしまいがちだが、しかし「やらされている」ことは新しいことへの学びの機会であり、将来的に「内発的動機付け」が働き、好きになれる可能性が隠されているかもしれない。

私は健康維持の為に運動を始めたが、「マラソン」は不得意で苦手だった。しかし健康診断の数値が悪化傾向にあるという「外発的動機付け」が強く働いたことでやる気が生まれ、なんだかんだ2年も走っている。

そして今「マラソン」は爽快感があり、体のリフレッシュも得られるため、「内発的動機付け」が働くようになり、走る事への意欲が勝手に生まれてくる実感を持っている。

今の仕事も同じことが言える。英語講師になり、生徒の要望という「外発的動機付け」が働き、全く無知だった金融の世界を学ぶようになった。そして金融の世界の面白さを知り、今は誰にいわれなくても海外の金融市場のニュースを読み、そして自らも子供の金融教育というサービス開発に取り組んでいる。

「やらされているうちは伸びない」はやる気のからくりを通じて言い換えると「やらされることを通して人は新しいことに挑戦する機会を得るが、もしやらされた事に取り組む中で内発的動機付けが働かなければ次を模索するタイミングなのかもしれない」となるような気がしている。

やらされているという事は「外発的動機付け」が働いているということであるが、「外発的動機付け」はいつまでも働いてくれるわけではない。

子どもは親元を離れたら親が与えてくれる「外発的動機付け」を失う。私は生徒を失えば海外の金融市場を学ぶ為の「外発的動機付け」を失う。しかしながら、今でも海外の金融市場を意欲的に学べているのは「内発的動機付け」が働くようになったからだと考えることができる。

もし生徒を失った際に海外の金融市場を学ぶ意欲も失ったのであれば、私が金融教育のサービスを開発することは無かっただろう。

「やらされているうちは伸びない」わけではない。「伸び続ける」事が出来ないのである。

「やらされる」事を極度に否定せず、新しい学びの機会を得たと思い、ぜひ色々な世界を知ってほしいと子供たちには願いを込めるのである。


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