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ショートショート小説

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1話完結の、ショートショート小説を集めました。現代小説からファンタジー、ミステリーやホラーまで、幅広いジャンルを揃えています。
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2020年6月の記事一覧

ショートショート 最後で最初の希望

「空が落ちてくる」  頭上を見上げ、彼が言った。そして、落ちてくるはずの空に向かって、真…

草方良月
4年前
5

ショートショート 歪んだ真の愛情

 憧れていた、大好きだった人の凋落を見たい――。  そう思う私は、歪んでいるのだろうか? …

草方良月
4年前
5

ショートショート 忍法 『俺なら出来る!』

 私の弟は、とびきり優秀なのにどこか抜けている。  忍術学校に在学中は、抜群の成績で周囲…

草方良月
4年前
7

ショートショート 盗賊たちの絆

 熊谷浩平がアジトに戻ったとき、そこはすでにもぬけの殻だった。かわりに、突如ドアが音を立…

草方良月
4年前
3

ショートショート あなたがいてくれたから

 これからお話するのは、ある女性の話です。  初めて彼女に出会ったのは、彼女がまだ、小学…

草方良月
4年前
8

超ショートショート 引き継がれた記憶

 一番星が弾けた。  砕けた破片が二番星にあたって、火山が噴火。そうして発生した溶岩がミ…

草方良月
4年前
4

ショートショート 紅と蒼

 路上や街中で、ふと猫を目にしたとき――。  紅を思い出すことがある。  幼い頃の私を救ってくれた、あの勇敢な猫のことを。  わずかに赤みがかった身体の色から、紅、と近所の人には呼ばれていた。 「紅、また来たんかい?」 「ほら、紅。エサだよ」  近所に住む人たちに、その猫は共通の名前で呼ばれていた。  ある時は、ミャーオと鳴いてすり寄っていくかと思えば、またある時は、ぷいっと知らんぷりしてそのままどこかへ行ってしまう。  不思議な猫だった。  猫らしいふてぶてしさと愛嬌が

ショートショート ルビー色の思い出

「長い間、ほんとうにご苦労さま」  そう言って、絹代は私の肩に手を置いた。ともに歩んだ30…

草方良月
4年前
3

ショートショート その男を見てはいけない

 初めてそれを見たのは、ある金曜の夜だった。  明日から休日。気持ちが弾んで、いつもとは…

草方良月
4年前
5

ショートショート マスクの下で、ときめいて

 通学路を歩く他の生徒の数が増えるにしたがって、私の胸もどきどきしてきた。  長期間の休…

草方良月
4年前
5

ショートショート 光と音の恐演

 佐奈には、今のマンションでどうしても苦手な場所があった。  それは、1階にあるごみ捨て場…

草方良月
4年前
6

ショートショート トートーさんの由来

 トートーさん。  それが、彼のあだ名だった。  理由は分からない。でも、みんなが彼をト…

草方良月
4年前
2

ショートショート 誠くんの失敗……?

 眩しい朝日が差し込むオフィスの中、誠は、パソコンの前で呆然自失としていた。  ああ、ま…

草方良月
4年前

ショートショート 百発百中の真相

 (念のため……)とその傘を持って出かけると、必ず雨が降った。  パラパラとした小雨や時雨から、横なぶりの風が吹きつける豪雨まで。  さすがに変だと思った宮園優花は、友達の北野朋美に相談した。 「たまたまじゃない……? ていうか優花、あんたが雨女だったりして?」  冗談半分にネタにされ、朋美の答えはつれない。「あー! でも、彼氏とアイアイ傘するにはいいかも」と、楽しそうにケラケラ笑っている。  そんな朋美に、優花は曖昧に微笑んだ。 「そうかもね。……私も、早く彼氏欲しいなあ