大江健三郎の「親密な手紙」は、これからも続く。
岩波新書から2023年の10月に発売された、大江健三郎の「親密な手紙」を読んでいる。読んでいると表現したのは、過去形にしたくない気持ちがまだどこかに存在するからだ。
大江健三郎は、私の読書の核にいて生涯追い求めたい遥か先にいる。あらゆる角度から事象を表現し、本当の救済を訴える。
初期の短編からの変遷を辿ると、文体の大きな変化、革命に近いものに気付く。大江健三郎から私が得た「小説」という形は、「事実」として捉えても構わない、そこの線引きは必要ないことだと、それよりも、声が届