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白梅を想う
お昼時に抜けて役所と銀行に行く。銀行とは13時にアポイントなので、役所で印鑑登録証明書を取ったあと、やや急ぎ足で向かった。冬晴れで白い陽射しに街も明るい。けれど、空気はとてもつめたくて、アイスグレーのたっぷりしたシャギーニットマフラーに顔をうずめて歩く。
お待ちしておりましたと、恭しく、奥のすりガラスで囲まれた小部屋に案内された。お飲み物は、と聞かれたので日本茶を所望した。担当者を待つわずかな間に、銀行で働くというのはどういう気分であろうか、と想像を巡らす。
何かにつけ、手続きなどの対応が首尾よく済むと、ほっとして小さな開放感が胸に広がる。ひとつひとつ荷物を下ろして、身軽になってゆく。私は自由なのだと思う。外の冷涼な空気を肺にいっぱいに吸い込む。とても自由なはずなのに、ときどき自分に言い聞かせないと自由であることを忘れてしまう。
夕方、スーパーマーケットに出かけて菜の花と浅利とベーコン、ライ麦パンを買った。日が暮れてしまうといっそう風が寒々しいが、夕食は少しだけ春めくだろう。そろそろ梅を賞めに行く計画を立てようと思った。叶うかどうかはわからないけれど…
『去年(こぞ)の梅』