二年間は旅のようなものだった
短編の連作を終えた。
タイトルを、「長夜の長兵衛」という。時代劇、ではない。どうか、色眼鏡なしでのぞいてみていただけると、嬉しい。お話の舞台がいつで、どこにあるのか、作中で具体的に明かしたことはない。ついでに言うなら、長兵衛が人間であると書いたこともない。舞台設定を超えたところに、ただ淡々とした日常と非日常とを、主人公たちの力を借りて切り取っていきたいと思った。
とは言え、江戸時代の人情ものであるかのように描いてしまったことは否めない。風景とか、細やかな情とか、どこかに