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私のための作品集

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私の好きが詰まった、素敵なクリエイターさんたちの作品ばかりを集めた、私のための作品集。少しずつ入れさせていただきます。シリーズものは、冒頭1話や目次、とりわけお気に入りの作品を追…
運営しているクリエイター

#秋ピリカ応募

銀河

五時限目のチャイムが鳴ると、皆が一斉にテスト用紙を表に返した。 この時間が終われば日常に…

椎名ピザ
1か月前
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【散文】百ミリ記念日 #秋ピリカ応募

七八ミリで僕らの時は止まっていた 三連休を喜ぶ貴女を置きざりに一年が過ぎ 貴女がいなけれ…

ひよこ初心者
1か月前
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重なる。【ショートショート】

 そこに近づくと途端に胸が締め付けられた。暑い夏、蝉は煩いほどに鳴き、私は静かに泣いた。…

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ティアドロップのしらべ

「私のかたつむりはうまく動いてくれないのです」  雨だれが風に乗って聞こえた日。楚々とし…

くま
1か月前
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【秋ピリカ】ことのは

今日は何をかくのですか?  日記? お手紙? ものがたり? 彼は木目が美しい棚から1枚の生…

丸家れい
1か月前
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魔女の誕生日 ~紙のみぞ知る~【#秋ピリカ応募】

 このブレーキ音は郵便ではない。最近ご常連になったあの人だ。  彼女はピンクの自転車でや…

月山六太
1か月前
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明日のためのエール #秋ピリカ応募

 林業は木を切ることだけが仕事ではなく、森や林を育てることも大切な仕事らしい。    紙の原料として育つまでに四十年以上かかる木の苗を植え、苗にちゃんと日が当たるよう間伐をしたり、十メートル以上ある木にロープ一本で登ってチェーンソーで枝を切り落としたり。   「林業のしごとを知ろう」という授業で小学校に招かれた父さんは、 普段山の中でどんなことをしているのか、皆の前で詳しく話してくれた。   「そんな高い所に登って、落ちたりしないの?」と聞くと、 「危ないからこそ、しっかり訓

秋ピリカグランプリ応募作/短編小説/「紙」

小学生を中心に「紙」という都市伝説が話題になっていた。 妖怪。幽霊。宇宙人。はたまた人間…

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【ピリカGP】Who am I

ソノ日ボクハ引キ金ヲヒイタ *** 「絵を描くことは紙を選ぶ時から始まっているの」  歌うよ…

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秋ピリカGP応募作品「はじまりをとじる」

溶かしてしまうそうだ。 壁面いっぱいのファイルに目をやる。 入社して初めに配属されたのが…

高遠菜萌
1か月前
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更紙《ざらがみ》に纏わるあれこれ【秋ピリカグランプリ2024】参加記事

「ピリカグランプリ」初参加です。貼り付け記事以下、参ります。 今更、わら半紙と関わること…

春永睦月
1か月前
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【小説】TIME CAPSULE #秋ピリカGP2024

【高宮市立大栄小学校 開校100周年記念式典】 奥田彩乃は、正門の立看板の前で足を止めた。 …

こーた
1か月前
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【物語】全ては私に託された。(秋ピリカグランプリ2024参加作品)

ビリッバリバリ 透明な壁が破られて、 私たちは世界の空気に触れた。 上品な紙質が自慢の、…

雨と書物

これは、雨に触れたい書物のお話。 私は、古びた家の書棚に住んでいるものです。 隙間風がひゅうと吹き込む家の、縁側に面した座敷に書棚がございます。 私のご主人は月夜のように静かな青年で、お百姓をされています。作物がよく育つという理由から彼は雨がお好きなようで、雨の日は農具の手入れを終えたあと私を読むのが恒例でした。 薄暗い座敷をさーっと雨音が満たすなか、紙でできた私の身体をぱらん、とめくる音が響きます。 その時間は私とご主人だけが遠い世界へ放り出されたような、束の間の永遠