サルトリイバラは「ぼんがら」「がらたて」「がんばら」・・・【食文化継承研修】
7月21日午後1時半から、滋賀県多賀町敏満寺(びんまんじ)にある、胡宮(このみや)神社社務所でYOBISHIプロジェクトメンバー食文化継承研修を実施しました。滋賀県立大学の学生3人と総勢11名の参加でした。
エアコンの無い建物でおくどさんに火をくべるには、厳しい猛暑日となってしまいました。昔ながらの葦葺き屋根の建物は、外よりも格段に涼しいです。首に保冷剤を巻いて扇風機の風に頼り、途中、赤紫蘇ジュースで熱中症予防しながら無事に研修ができました。
ぼんがらとは、サルトリイバラの葉のこと
サンキライと呼ばれたり、地域によって呼び名がいっぱいある植物です。
端午の節句の柏餅と言えば、うどん県出身はこの葉に米粉団子を挟んだものでした。柏の葉がない西日本では、サルトリイバラの葉の餅を柏餅と呼んでスーパーでも出回っていました。
彦根市や隣町の甲良町では、「がらたてもち」「がらたてだんご」という名で和菓子屋さんに並んでいます。粒あんを小麦粉で包んでいます。
多賀町内のサルトリイバラの呼び名
多賀町内のサルトリイバラの呼び名は多様で、材料も多様で驚きます。
多賀町水谷(すいだに)集落では、「がんばら団子」。小豆のつぶあんに小麦粉を水で溶いた生地で包んだもの。
多賀町河内(かわち)集落は、お盆のお供えだから「ぼんがらもち」。
多賀町多賀区は、多賀大社の御田植祭に作る。「がらたて」というのは上品な呼び名だそうです。
犬上川南谷に行くと、小麦粉生地ではなく、米粉の団子になります。
中に包む餡も、小豆以外に、そら豆やエンドウ豆だったり。
この狭い範囲で、サルトリイバラを使ったお菓子が変化に富んでいて驚きます。まだ、情報は氷山の一角だと思います。
その中でも、今回は、小麦粉と米粉、そら豆餡と小豆餡を使った、栗栖(くるす)集落のつくりかた、大杉集落、萱原集落で聞いた作り方で作ってみます。
1 かまどに火を熾します
2 ぼんがらの葉っぱを現地調達
サルトリイバラは、山の日当たりの良い所に生育しています。ツルに棘があるので、葉っぱを採る時、気をつけなければ手に刺さります。
3 そら豆餡
多賀町中川原のKさん作のそら豆を使用したそら豆餡を今回包みます。Kさんにも参加頂きました。
そら豆のタネをうずんどく(蒔く)のは秋。5月半ばにそら豆が実って、カラカラの乾燥そら豆になるのは6月ごろ。畝幅を35㎝か40㎝、たった5㎝違うだけで収量が変わって来るそうです。
多賀町栗栖のぼんがらづくりをNさんから教えていただきました。Nさんにはそら豆餡を作っていただきました。
丁寧にそら豆の皮を取って、てんさい糖で炊いたそら豆餡は上品で口の中で溶けます。
4 今回作ったぼんがらもち・ぼんがらだんご
餡 ・・・ 2種 そら豆(60個)/小豆(28個)
生地・・・ 2種 小麦粉+水/米粉+餅粉+熱湯
葉 ・・・ 2種 生の葉/塩漬け保存の葉
準備
餡を40g弱ずつ小分けにします。
大さじですくって丸めても良いのですが、アイスクリームをとる道具を使います。
5 ぼんがらだんご(米粉 小豆餡)
昔は、ゆりこ(くず米)を粉にして挽いたのを団子にして包んでいました。昔ながらのは、餅粉は贅沢で入らなかったようですが、だんだん餅粉が入った方が美味しいので、餅粉も入れるように変化してきました。今回は餅粉が入ります。
材料
米粉・・・ 約500g(水分調整に足しました)
餅粉・・・ 250g
熱湯・・・ 約500g
小豆餡
作り方
①団子をベニバチでこねます。
耳たぶより緩めに、べたつくくらいにこねます。
②団子を約40gに小分けします
③餡を包み、葉で挟みます
④蒸籠に並べます
⑤約20分蒸します。生地が透き通ってきたら蒸しあがり。
6 ぼんがらもち (小麦粉 そら豆餡)
水で溶いた小麦粉にさっとくぐらせて蒸すので、きんつばのような、薄皮仕上がりです。ぼんがらは餡子を楽しむもんや!と栗栖集落のNさんが子どもの頃から慣れ親しんだぼんがらを作ります。
材料
小麦粉:水=2:3
そら豆餡
作り方
①ベニバチに小麦粉と水を入れてお箸でさっと混ぜます。天ぷらの衣の要領です。
②小麦粉に餡をくぐらせて、葉の上に置きます。少し小麦粉を垂らします。
③蒸籠に並べます。下に蒸し布を敷いておくと、垂れて固まった小麦粉をあとで掃除しやすいです。
④約5分蒸します。葉の柄、軸が緑から茶色く変色したら蒸しあがり
蒸しあがったものを取りだします。葉先と軸を持って取りだします
『ぼんがら』マガジンを作りました。↓
今、聴いている情報はほんの一部で、まだまだいろいろありそうなので、マガジンに情報を集めることにしました。