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2024

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2024年9月の記事一覧

透明な 2024/09/30

透明な 2024/09/30

脚本家になった友達の初仕事である連ドラが開始したので、感想を用意しようと見始めた。物語は、田舎の仲良しグループだった女の子達が大人になり、とある殺人事件によって運命を交錯させる群像劇だった。

ドラマは主に現代パートは渋谷を、高校時代は富山を舞台に描かれる。故郷での幸福な高校時代と東京での擦り切れた現在という対比が想定されているのだろう。けれども、それが物語に活かされていない。

シーン毎に様々な

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困憊 2024/09/29

困憊 2024/09/29

会場近くのベンチで急いで朝ご飯を食べる。コンビニで買ったおにぎりとウィダーを慌ただしく飲み込んだ。マスクを付け直そうとポケットに手を入れると入っておらず、リュックのポケットやコンビニのレジ袋の中を懸命に探してみても出てこない。疲れて注意力が散漫になっていたのか、どこかに落としてしまったに違いない。仕方なく新しいマスクを付け直した。最後に水を飲もうと新しいマスクを下げると、古いマスクが顎にくっついて

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4ピース 2024/09/28

4ピース 2024/09/28

展覧会4日目。入口から作家がぬるっと現れたので、作品の前に案内してあげると、しばらく作品の前で立ち尽くして、それから涙を零し始めた。喜んでもらえることは素直に嬉しいが、さすがに戸惑ってしまった。隣を見ると同僚が笑いを噛み殺していて、それもどうかと思った。

隣の結婚式場では午前と午後に1件ずつ式が挙げられていた。ドレスアップした新郎新婦が通って、マヌケな参列者がぞろぞろ後ろを付いていく。周囲のスタ

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落胆 2024/09/27

落胆 2024/09/27

目を覚ますと昨日以上に疲労感が溢れていた。意識はぼんやりとあるものの身体は起こせず、寝坊の緊張感と闘いながら横に臥せていた。しばらくして、体内を充満していた煙がゆっくり沈んでいくように、少しずつ意識が立ち上がっていくのを感じた。重い瞼を力ずくで開けてシャワーを浴びた。

シャワーを浴びながら先程まで見ていた夢のことを思い出した。いくつかの場面が脈絡なく頭に浮かんだ。そういえば近頃は夢日記をつけるの

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日記をはじめたころ 2024/09/26

日記をはじめたころ 2024/09/26

昨夜、昔の友達から久しぶりのLINEが届いて、いよいよ金の無心かと警戒しながら返信すると、noteを始めたという報告だった。私の投稿を読んで書き始めることにしたらしい。ありがたいことだ。

私が日記を書き始めたのは、池内晶子さんという美術家の個展を訪れて、日々1枚ずつ描かれるドローイングを見たのがきっかけだった。その日記代わりのドローイングには、抽象的な色や形が画用紙に簡単に描かれていた。それを見

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ありがたみ 2024/09/25

ありがたみ 2024/09/25

昨夜は早く寝たものの、身体が重くて起きられなかった。ゆとりを持って会場に向かおうと思っていたが、集合時間ギリギリに到着してしまった。上司に嫌味を言われて、不機嫌になったら、上司が機嫌を取ってきた。

展覧会の当番というのは、客の多寡に関わらず気が休まらない。楽しいわけではないものの、体内でアドレナリンが分泌されているのがわかる。とても疲れた。

イベントを企画して、実現させて、客が来る。いままでは

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ハンマー 2024/09/24

ハンマー 2024/09/24

やっと冷房をつけずに過ごせると窓を全開にして寝たら、寒さで目が覚めた。なかなか布団から出られない。身体の芯が冷えていて、シャワーの後に白湯を飲んだ。長袖のインナーを着て家を出た。

今日は展覧会の前日準備だった。10時頃に会場に到着すると、ギャラリースタッフのTさんが既に腰掛けていた。Tさんの調子のいい自慢話を聞くのも1年ぶりだ。朝食を食べながら相槌を打っていると電話がきて、すぐに作品が到着した。

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絶対運命ごっこ 2024/09/23

絶対運命ごっこ 2024/09/23

目が覚めると、隣で寝ていたはずの恋人が床で丸まって寝ていた。近頃は私の寝相が悪いのか恋人が避難していることが多くて悲しい。何度も意識が落ちて、恋人に「お疲れですね」と労られた。予定のあった恋人は早々に化粧をして家を発った。

大森靖子が新譜のプロモーションでインストアライブを開いたらしく、Twitterに弾き語りの映像が流れてきた。最近はsugarbeansのピアノ伴奏で歌うことが増えてしまったの

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エアコンクリーニングと焼鳥 2024/09/22

エアコンクリーニングと焼鳥 2024/09/22

目が覚めて、枕元の目覚まし時計を見ると9時だった。頭も身体も疲れ切っていて動けない。エアコンクリーニングの予約の11:30まではまだ時間があったので、そのまま眠ることにした。10時になって、やっと少し元気が湧いてきたのでスマホを手に取った。起きて朝食代わりにお菓子を食べていると業者から電話がかかってきて、前の家が済んだので10分後に行ってよいかという質問だったので、いつでも構わないと答えた。

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飲み比べ 2024/09/21

飲み比べ 2024/09/21

先週忘れてしまった心療内科へ。今日はいつもの先生が不在の日だった。名前を呼ばれていつもの診察室に向かうと、向かいの女性に「3番ですよ」と指摘された。扉を開けると関西弁の少し気障な男性が座っていた。彼は簡単に問診を済ませて、「まあ大丈夫やんな」と言いながら大きく伸びをした。「はい」と答えて、いつも通りの処方箋を受け取った。

そのまま中央線に乗って都美に向かう。金曜日に急に振られた仕事を処理するため

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前輪後輪 2024/09/20

前輪後輪 2024/09/20

昼頃、上司がAmazonで注文していた台車が届いた。急ぎの用途もなかったが、上司は早速ダンボールを開封して組み立てはじめた。組み立てといっても、荷台部分の裏に車輪を取り付けるだけだったけれど、レンチを何度も使用する骨の折れる作業のようだった。私は遅い昼食に西友の親子丼を摂りながら脇で見ていた。

しばらくして、「あれ!?」と上司が声をあげた。どうやら、固定車輪と可動車輪の前後がわからなくなったよう

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ノベンバ 2024/09/19

ノベンバ 2024/09/19

アラームは7時から鳴り始めたが、布団から出たのは8時だった。これでも普段より30分早い。体力ゲージは底を尽きていて、気力だけでシャワーを浴びる。ドトールで少し作業してから出勤した。

営業の合間に、突然「あの件どうなっている?」と身に覚えのない案件を上司に質問された。わからないです、とフリーズすると、上司はみるみる不機嫌になっていく。上司が席を外したときに問い合わせようとメモに控えたが、上司的には

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持ち越せない 2024/09/18

持ち越せない 2024/09/18

21時前まで働いてしまった。けれどもまだ業務は残っている。明日は夜にライブを観に行くので、仕事を持ち越せない。疲れ切っている。

仕事が進む興奮でなんとか身体を保っている。けれど、この状態がいつまでも続かない予感もしている。

定食屋で休憩してから、喫茶店で残務を片付けようかと思っていたが、限界が来てしまった。明日早起きしたいと思うが、できないものはできない。

まえがきが書けない 2024/09/17

まえがきが書けない 2024/09/17

朝、シャワーから出ると、洗濯したパンツがまだ乾いていなかった。代わりに水着を履いたら海水浴に行くような気分になったが、残念ながら行き先は会社だった。今日は東西線が乗り入れしておらず中野乗り換えで出社。

今日は昼過ぎに同僚が出社してきた。3人で分担して業務を処理するはずが、上司と同僚の会話が脱線しはじめた。海外展→出身大学→奨学金→恋人と家族→次の営業企画、と話題が逸れていくのを、私は画歴書を入力

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