NEWS 藤原道長

この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 虧たることも なしと思へば
藤原道長(966年 - 1028年)

   ***

 NEWSをお送りします。えー千年前のネタで現代のNEWSを語ろうと試みるスローなペースのワタシ YI STUDIO でございます。

 藤原道長は平安時代の藤原氏の絶頂期を象徴する成功者なので当然京都生まれです。千年後の京都新聞デジタル版などにこんな風に紹介されました。

 平安時代に藤原道長が京の邸宅で「この世をば我(わ)が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」と詠んでから千年の満月を、22日深夜に迎える。
 「京都新聞」【 2018年11月21日 20時20分 】
https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181121000167

 千年の時間の流れをロマンチックにも感じてしまうニュースですね!

◆藤原一族に生まれて

 藤原兼家には子供も沢山いましたが、大昔の事なので、扱いが重んじられた正室との長男は藤原道隆。
 これが一条天皇の中宮定子の父親です。
 藤原道長は道隆やさらに道兼などの弟でしたが、兄達が病気で亡くなってから、政治的に大チャンスを掴むのでした。

 一条天皇と既にいた中宮定子の仲は良かったのですが、後から自分の娘の彰子を皇后にしてしまいます。従姉妹同志の姪と娘を対立させる立場にしてしまうんですよね。
 一条天皇はこうして二人の妻をもつことになります。

 この時系列を把握しておくと、複雑な人間関係や政治力のバランスも把握しやすいわけです。

「枕草子 清少納言が込めた想い」NHK≪視点・論点≫
 山本淳子先生による関係系図
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/264097.html

◆一条天皇の時代より

 娘を次々と立后させる事に成功した道長ですが、特に一条天皇をめぐる人間関係は数々の古典文学でも「当然ご存知の事柄ですが……。」と大前提で進められる事実ですよね。(これって千年後もプレッシャーでございます。)
 中宮定子に仕えた清少納言の『枕草子』でも、皇后になった彰子に仕えた紫式部の『紫式部日記』でも、この一条天皇は登場します。

 大昔の人物は生没年不詳ではっきりしないことも多いのですが、身分の高い人物は記録に残るのでそこから同時代に活躍した人物なら導き出せるというわけです。
 また、清少納言は、百人一首での歌番号では57番の紫式部より後の、62番になりますが、活躍した時系列は、定子付の女房なので少し早い時期というわけです。それだけ平安時代に活躍した歌人や優秀な女房が前後して他にも沢山出た時代だ、ともいえるでしょう。

◆三条天皇の時代から後一条天皇の時代へ

 一条天皇とその後の三条天皇は、共に村上天皇の孫にあたり従兄弟同志でした。

 百人一首に歌番号68番三条院の歌も残っています。譲位の際の歌と伝えられますが、この譲位を迫った人物こそ道長だったのです。三条天皇の皇后も道長の娘妍子です。

 一条天皇と彰子との子である東宮敦成親王は即位して後一条天皇となります。
 この後一条天皇へ入内した道長の娘威子が女御になり、詠まれた時の歌ですから、そりゃもう大喜びですよね。
 自分の孫が天皇になり、娘は三人も皇后になれたのです。威子は後一条天皇の叔母にあたる関係ですし、年上の皇后です。

 日本史でも長く続いた平安時代の安定期で、平安貴族は栄華極まれりという感じが伝わりますね。
 もうストレートに嬉しくってしかたがないというこんな歌を歌っても、そりゃそうだよね……って千年後に生きていてもこれは認めるしかないという気持ちになります。なんだか改めて、当時の道長の勢いの迫力を感じながら、私も千年後の月を眺めたのでした。
 (百人一首にも触れていますがきりがないので、紫式部以降の歌番号でごく狭い範囲に絞ってほんの少しだけここでは取り上げています。藤原道長は『源氏物語』の代表的読者ですものね。)

▼道長も夢中になった『源氏物語』についてはこちら▼
 受験・恋愛・出世に悩む方々へ 生涯学習のお供に
◆使い方ガイド・YI STUDIO の文学散歩『源氏物語』◆
https://note.mu/yistudio/n/ne2e6692f7013
『源氏物語』全話あらすじはやわかり一目でわかるページ
◆「YI STUDIO の文学散歩『源氏物語』」マガジン
https://note.mu/yistudio/m/m2c79a1003aeb
◆百人一首57番にも登場する作者・紫式部
 についても触れています
https://note.mu/yistudio/n/nd17cb08f89f7

◆参照◆

京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/

NHK
http://www.nhk.or.jp/
(以上2018年12月2日)


ご訪問ありがとうございます 今後の活動の支えにさせていただきます これからもよろしくお願いします