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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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#邦楽

折坂悠太 / 呪文

折坂悠太 / 呪文

日本のシンガーソングライター、折坂悠太の4作目。前作で知ったアーティストです。

前作は日本人離れした感覚、グローバルポップの感覚を感じて耳が惹かれたのですが本作はどうか。

1.2曲目は前作に比べると大分日本的、純邦楽というよりJ-POPの語法に近づいた感覚。悪い意味ではなく、聴きやすく、口ずさみやすくなっています。かなりメロディが推敲されている。耳障り良いけれど陳腐さがない。

三曲目はやや民

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ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

日本のラッパー、ACE COOL。あまりヒップホップには詳しくないのでバイオを聞いてみました。

いろんな人の年間ベストを観ている中でヒップホップ系のものを見つけ、ざっと聴いた中で耳に残って聴いた作品。バックグラウンドや本人のストーリーは知らず、音だけで惹かれた出会いです。

大和田俊之さんと長谷川町蔵さんによる「文化系のためのヒップホップ入門」という本がありまして。

この中でなるほどと思ったの

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人間椅子 / 色即是空

人間椅子 / 色即是空

日本の誇るストーナー/ドゥームメタルバンド、人間椅子の2年ぶり、23枚目のアルバム。1989年のデビュー以来、ほぼ1年か2年おきにアルバムをリリースし続けるという偉業を成し遂げています。継続は力なり。ドラムがナカジマノブ氏に変わった2004年以降、現体制としては12枚目のアルバム。現体制でのアルバムが全カタログの過半数を超えました。不遇の90年代後半~00年代を経てOzzfest Japanへの参

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Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

2010年代を代表するメタルアクト、Babymetalの5年ぶりのニューアルバム「The Other One」がリリースされました。アルバムレビューを書きつつ、このアルバムを現代メタルシーンの中に位置づけていきたいと思います。

Babymetalのメタル史における位置づけについて考察したことがあります(→関連記事)。結論としては「2010年代を代表するメタルアクト」でした。2010年代に出てきた

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Loudness / SUNBURST~我武者羅

Loudness / SUNBURST~我武者羅

総合評価 ★★★★★

今年最後のレビューはこちら。素晴らしい、ジャパニーズメタルの総帥、オリジネイターたる自負と気概を感じる見事な新作。40周年、29作目にして初の2枚組。魂のこもった凄味とどこか未だ粗削りな初期衝動が同居する唯一無二の世界観。これだけベテランなのにコンスタントにアルバムを出し続けるのは日本市場の特異性もあるだろうし、本人たちのストイックさもあるのだろう。コンスタントに出す、とい

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花冷え。/ 乙女革命

花冷え。/ 乙女革命

総合評価 ★★★★★

面白いバンド。ヘドバンVol32で取り上げられていて知ったのだが、ガールズミクスチャーメタル。「メタルアイドル」ではなく、ロックバンドで、ベースとなるサウンドはスーパージャンキーモンキーなどに近い(というか、他に類似を思いつかなかった。かなりユニーク)、かなり本格的なヘヴィネスを奏でつつ、どこかサブカルな空気感も纏っている。90年代のインディーズマガジンとか、ガーリックボー

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Damian Hamada's Creatures / 魔界美術館

Damian Hamada's Creatures / 魔界美術館

聖飢魔Ⅱの創始者にして地獄の皇太子、現在は地獄の大魔王たるダミアン浜田陛下の新プロジェクト、DHC(Damian Hamada’sCreatures)。昨年リリースされたミニアルバム2作から1年を待たず、フルアルバムの登場です。本作は陛下がソロアルバムなどで発表した過去曲をDHCでリレコーディングしたもの。DHCはもともとプログレッシブロックバンドとして活動していた(元人間椅子のDr、後藤マスヒロ

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筋肉少女帯 / 君だけが憶えている映画

筋肉少女帯 / 君だけが憶えている映画

筋肉少女帯。1982年に結成され、日本のインディーズレーベルで存在感を発揮したナゴムレコードからデビュー。先鋭的な音楽性と特異なキャラクターながら80年代後半からのバンドブームに乗ってメジャーデビューし、武道館公演を行うまでのバンドに。ボーカルの大槻ケンヂはお茶の間の人気者となり、各種ラジオパーソナリティや、一時期はTV番組のMCも務めていました。そんな彼らも活動休止~再活動を経て、現在も活発に活

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CHAI / WINK

CHAI / WINK



邦楽ウィーク最終日、今日は6枚目でCHAIの「WINK」を聴いてみます。一応、6枚で今のJ-POPの輪郭が掴めるような盤を選んでみたつもりです。その中で最終日のCHAI(チャイ)は一番海外に活動の軸足を置いているというか、世界で勝負しようとしているバンド。前作「PUNK(2019)」はオルタナティブロック史でも2019年のアルバムの一つに選びました。

2017年のSWSX(アメリカの、インデ

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Official髭男dism / Editorial

Official髭男dism / Editorial



邦楽ウィーク5日目。今を時めくOfficial髭男dism(ヒゲダン)の「Editorial」を聴いてみます。名前は当然知っていますが、きちんと聴くのは初めて。

Official髭男dism(オフィシャルひげだんディズム、英: Official HIGE DANdism)は、日本の4人組バンド。2012年に大学のサークル仲間を中心に結成され、2015年にインディーズデビュー。2018年、イン

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折坂悠太 / 心理

折坂悠太 / 心理



邦楽ウィーク4日目。今日は折坂悠太の「心理」を聴いてみます。折坂 悠太(おりさか ゆうた、1989年9月16日 - )は、鳥取県出身のシンガーソングライターで、2013年から人前で演奏を始め2014年に自主制作盤をリリース。初のワンマンライブ開催やイベントに参加して着実にファンを増やしていき、2018年にリリースしたセカンドアルバム「平成」は第11回CDショップ大賞2019で大賞(青)と、ミュ

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Grapevine / 新しい果実

Grapevine / 新しい果実



邦楽週間3日目はGrapevine(グレイプバイン)。1993年結成、1997年デビューの大阪出身のバンドです。現在のメンバーは3名で、ボーカル・ギター・田中和将、ギター・西川弘剛、ドラムス・亀井亨の3人組。田中と亀井の両名がそれぞれ曲を書く、メインソングライターが2名いるバンドです(西川も作曲に参加することはある)。ドラマーがメインソングライターの一人というのも少し珍しいですね。デビュー当時

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mekakushe / 光みたいにすすみたい

mekakushe / 光みたいにすすみたい



邦楽ウィーク2日目。今日聴くのはmekakushe(メカクシー)の「光みたいにすすみたい」です。mekakusheは1995年7月26日 生まれの日本の女性シンガーソングライター。もともと”ヒロネちゃん”という名前でSoundcloudで楽曲発表をしており、2015年にはヒロネちゃん名義でのデビューアルバム「君の死因になりたいな」をリリース。本作はmekakushe名義で発表される初のフルアル

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betcover!! / 時間

betcover!! / 時間



今週は邦楽強化週間、邦楽を聴いていこうと思います。たまたま「今後聴きたいリスト(集中して聴けるのは1日1枚なので、いいなと思ったアルバムはとりあえずリストに入れています)」を見たら邦楽が溜まっていたので、今週は続けて邦楽を聴いてみることにしました。第一弾はbetcover!!の時間。

betcover!!は1999年生まれ、東京都・多摩地区出身のヤナセジロウのプロジェクトです。本作は3枚目の

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