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#エッセイ集

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趣味や興味のあることと、自分との間に発生する大切なもの。それを言葉にしたエッセイ集。
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2020年7月の記事一覧

時間の経過を楽しむ。

時間の経過を楽しむ。

自分に起こった出来事が、自分の中に染み込んで、じんわりとゆっくり発酵することで形を変えていく。そのようなプロセス無しには受け止められないこと、意味の分からないことがある。

「気付く」「分かる」というのはきっとそのような時間の経過を必要としていて、それは「生きる」ことと丁度同じことだと思う。

人生で発生する様々な出来事の価値、自分にとっての意味というものは後から振り返ることでしか分からない。

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インターネットに文章を置いたら「つながり」が生まれた。

インターネットに文章を置いたら「つながり」が生まれた。

これまで長年、SNSやブログとは無縁の人生を送ってきました。理由はシンプルで、単に必要性を感じなかったから。誰かに用事のあるときは電話やメール、携帯メッセージで直接連絡を取ることで十分だったし、

不特定多数に向けて、自分の嗜好や日常を伝える(というより、むしろ前面でアピールする)という感覚がイマイチよく分からなかったんですね。生来の人見知りな性格が、そんなところにも無意識に出ていたのかも知れませ

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日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の味わいは繊細なもので、酒器や温度を変えたり、酒器に注いだ後の空気に触れる時間や、保管中の瓶の中での時間経過、合わせる食事の内容によって大きく変化します。

お酒の味が物理的に変化するというよりは(そういう側面もありますが)、むしろ飲む人の感じ方が大きく変わります。

最近は、燗付け(日本酒を温めること)にハマッていて、最初に冷やした状態でワイングラスで飲んだ後、次は燗付けにしてその味わいの

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繊細さの先にある世界。

繊細さの先にある世界。

先日、自分の特性である繊細さをテーマに記事を書きました。

小さな頃から周りの音に敏感で、人混みが苦手だったり、匂いや香りにも敏感だったこと。

普段の人との会話でも、繊細さのおかげでぼくの頭の中は常に情報量が多く、今より若かった頃は息苦しさを覚えながら過ごしてきたこと。

自分は人としてどこか欠落した部分があるんじゃないかって、もっと気軽に自分を表現して、もっと気楽に日常を楽しめたらいいのにって

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日本酒コミュニティの距離感と多様性。

日本酒コミュニティの距離感と多様性。

「さけのわ」という日本酒レビューのSNSがあり、ぼくも昨年12月頃からやっています。

飲んだ日本酒の味わいを記録して文章(メモ)と写真を投稿する、というのが基本的な使い方なんですが、

純粋に個人的な記録用として詳細数値(日本酒度や酸度等)だけをメモする人、解説文無しで写真だけをひらすら投稿する人、その日本酒の味わいから想起される過去の記憶を辿って散文調にまとめる人、など実に多様な人がいます。

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素直と従順のはざまで。

素直と従順のはざまで。

数年前に、数万人規模の大きな会社から数百人規模の小さな会社に転職しました。

他人から見たら「一つの転職」に過ぎないのですが、自分にとっては人生を少し平らな場所に戻してくれた、大きな出来事だったと感じてます。

今回は、この転職を機会に「素直」と「従順」、そして「違和感」をテーマに考えた思考の記録です。

1.大企業時代数年前まで勤めていた従業員 数万人規模の大企業。同期入社組だけでも数百人という

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繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

赤ちゃんの頃から周りの音に敏感だった、と母親が教えてくれた。ぐっすり寝ているはずが、少しの物音でビクッと目を覚ましていたって。

赤ちゃんの時のこと、さすがに覚えてないけど、「自分が繊細で敏感だ」ということはなんだかとてもよく分かります。

香りや匂いにも敏感で、初めて行く国や場所では、降り立った空港や駅の様子をまずは匂いで感知している気がします。

今でも洗濯物の香りを確かめたり、慣れない食材は

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