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花の命は短くてなんて言われるけど…いのちの先輩方の知恵を少しだけ考えてみる?
夏真盛りですが
この記事を書いている2021年8月はとにかく暑いですね。ヒトは暑さに耐え、ウイルス感染症に耐えの生活を余儀なくされていますが、植物たちは元気に成長しているように見えます。
そんなあなたにオススメ…かどうかは分かりませんが、今回は中公新書の「植物のいのち」を取り上げます。
著者は植物生理学が専門の田中修博士です。本書が最新の植物本になりますが、過去にも植物を題材にした本を数多く執筆されている方です。
紙の本で読むいのちの話
人間のいのちは高々100年。でも、植物、とりわけ樹木となると1000年単位のものもあります。
そんな植物たちが、いかにして地球上で生き残ってきたのか? それは、密輸・密会・密売の三密…
ではなく密閉・密集・密接の三密を植物たちが回避し続けたことがあります。
また、植物には綺麗な花を咲かせるもの、美味しそうな果実をつけるものがあります。ここに抗酸化物質(ポリフェノール、カロテノイドetc.)を含ませることで自身は紫外線から身を守りつつ、動物を使って生存のチャンスを伺う巧妙さを持ち合わせています。場合によっては、毒を仕込むことも躊躇しません。
そして植物はいのちをつなぐ手法として、多様性を持たせつつ、保険はかけておき、自力本願で様々な環境に適応できるようにしています。
このあたりの植物の不思議を「大人が絵本で読み聞かせるようなトーン」でそっと教えてくれるよような文体で書かれている、そこがこの本のいいところだと思います。この他にも、植物の構造と機能の話、品種改良の話など知的好奇心に溢れる内容を夏休みこども相談室的に丁寧に教えてくれます。
地球上のいのちの先輩から学ぶ姿勢
植物は約5億年前から地球上に存在しているのに対し、人類は諸説ありますが、長くても数百年前からの登場です。したがって、歴史で見れば植物の方が人類のいのちの先輩ともいえます。もしかすると人類が持つ様々な苦しみ、痛み、悲しみ、嘆きetc.も、植物の歴史からしてみると経験済の戯言なのかも知れません。
加えて、ヒトを含む動物は植物がいること・あることによって初めて自らのいのちを持つことが許されます。食物連鎖を考えれば自明ですが、植物を直接摂取する or 植物を摂取した他の生物を「いただく」ことで、生命活動が維持できる訳です。
となると、植物といかに共存すべきか? つまり、植物をどれだけ理解できるか? が人類にとっても最も生存確率を左右するということ=人類が謙虚に植物から学ぶことの必要性を認識させてくれたことが、私にとってこの本から「いただいた」一番の収穫でした。
ということで、今日は遅い夕ご飯、もやしとワカメの和物からいのちのありがたさを「いただき」つつ、筆を置くことにします。(了)
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