【中編小説】死願者 #6【完結】
第六話 最期の講義
女が早々に退院したとあって、それからは女の家に足しげく通うようになった。休日はかならずといっていいほど通った。管理人に、「あんたなら安心して任せられるわ」とお墨付きももらった。女の感情の起伏は前以上にはげしくなっているようだった。女の手首の傷跡は消えたりはしなかった。戒めの傷はその手首に刻まれ、女はときたまそれを呆けてながめたり、にやついたりしては、嬉々として男に見せびらかしてくるときもあった。男も代わりに親指の腹を見せてやった。しかしすぐに治癒し、痕