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エッセイ

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主に昔語りと創作。 つまらなそうだ? そうでもないぜ。
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2024年10月の記事一覧

お仕事前夜

お仕事前夜

明日は、またまた絵画教室の代理講師として駆り出される。

前回出講した時、「もうしばらくはお会いすることもないと思います」なんておどけて笑いを取ったのだが、2週後にまたしれっと出てくるというのは、いったいどんな顔をすればいいのか?

まぁ相変わらず細かいところは丸投げなので、好き勝手に教えて構わないところは、気が楽といえば楽だ。
しかしだからといって大枠を外すわけにはいかない。
明日は静物水彩と決

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サビとブチトラ

サビとブチトラ

共同アトリエの作家に、ひとり猫好きのお嬢さんがいて、自腹を切って地域猫に餌をやっている。

野良たちは世代交代が早い。
元々いた黒猫と鉢割れは、後から来た太々しいトラ猫に追い出され、やがてそのトラと白猫がつがいになって、子猫が3匹生まれ、そのうち白猫と子猫たちの姿が見えなくなったと思ったら、最近は錆猫と斑トラが幅を利かせている。

今までの猫は概ね、よほどでないと人に近づかなかったのだが、新顔の2

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美味いものが食べたい

美味いものが食べたい

今日はトンカツを揚げた、というか焼いた。

元々、連れ合いは揚げ物をしない人で、我が家では、トンカツとかコロッケとかはもっぱら私が作って食卓にのせるものだった。
正直、私だって揚げ物は面倒でやりたくないし、油の後始末も嫌なのだが、それではいつまでたっても献立に揚げ物が出てこない。

そう、多少手間がかかろうが私は揚げ物が大好きなのである。

しかしある時から、あらかじめフライパンで炒ったパン粉で衣

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平和な休日

平和な休日

久々に終日家で過ごす。

たまに休むと、なんとなく手持ち無沙汰になるもので、ちょっと花壇の手入れでもしようかという気になった。
端的に言って貧乏性である。

実は我が家の「猫の額」花壇、春までチューリップを植えていたのだが、これがなんというか徒長してしまって、どうもうまい具合に育たなかった。
それで花が終わってから球根を育てるのはやめにして、別のものに植え替えようと思いながら、この夏の暑さに負けて

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朝ドラと夢

朝ドラと夢

朝ドラ、ますますベタである。
今週はおばあちゃんの野菜染レシピなんぞを字幕入りでやっている。
これはいよいよ、朝の家事をしながら横目で流し見するという、朝ドラの王道の路線に原点回帰したのかもしれない。

もちろんそれを求める人もいるのだろうけれど、今のところさほど魅力的なキャラクターも出てこないし、個人的には注目するところがない。

別に私が心配することでもないが、このままでは雑に鑑賞する番組にな

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搬入という仕事

搬入という仕事

昨日今日は木場のギャラリーに搬入の仕事。

自宅の埼玉某所から東京江東区木場までは結構遠い。
遠いのだが、そこは痩せても枯れても首都圏だ。
やはり電車で行くのが一番速いし、便利でもある。

別に都会自慢ではないが、そうすると目的地まで複数の経路があって、検索すると出発時間次第でこの路線が速いとか、あっちの電車が安いぞとか、いろいろ言ってくるのが煩わしい。

余談だが、なんで都内の地下鉄というのは、

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なぜ私を選ぶのか

なぜ私を選ぶのか

この間、スマホに差出人不明のショートメッセージが届いた。
よくある、自分の名前を書かずに「機種変したからよろしく」みたいな内容で、普段なら即ゴミ箱行きなのだが、今回は少し違っていた。

メールの冒頭で「タグチくん」と呼びかけていて、明らかにこちらの名前を知っているのである。

一瞬返信するべきか逡巡したが、私にくん付で呼びかけてくる相手など、何人かしか思い当たらないし、その人たちが機種変のたびに番

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友達は少ない、親友などいない

友達は少ない、親友などいない

若い作家の人から、タグチさん友達とかいますか? などというちょっとドキッとするような問いかけをされた。
えっ何、そんなに孤独に見える?
それとも性格悪くて友達いなさそう?

どう返事したものか、1秒ほど頭の中で逡巡したが、この人は以前なんの屈託もなく、わたしの預金額などを聞いてきた大物なので、正直に答えることにした。

うん、昔からの友達は多分いまでも友達だけど、ご新規さんはいないねぇ。

そう、

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私的朝ドラ考

私的朝ドラ考

わたしは40過ぎにとち狂って退職、作家活動など始めてたわけだが、アルバイト的な仕事をこなしなからも、まぁ時間だけは余裕ができた。

いきおい朝もゆっくりできるので、それまで物理的に手が出なかった朝ドラも見ることができるようになった。

ゆえに、わたしの朝ドラ歴は「あまちゃん」以降である。

「あまちゃん」は面白かった。
それまで何も見ていなかったとはいえ、一応知識として知っていた、大根飯の「おしん

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