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救世主は小さなビデオテープ
あれは小学生の頃だっただろうか。兄が初めてパソコンを手に入れた日、家族の中で決定的に「勝者」が決まったような気がした。いや今までも兄が王子なのだから勝者だったんだけど、何かもう抗うことも無駄じゃないかという気にさえなったのだ。
パソコンなんて、当時の僕にとっては未知の惑星のように遠くて手が届かない存在だ。(PC-8801/mkIIの頃の話)そのパソコンは当時おそらく最新式で、スペックなんて当時の
自室という名の避難所
学校から帰ると、まるで敵の城から逃げ帰る騎士のように、全速力で自室に突入する。
ここは僕にとっての安全地帯、つまり「自室」という名の防衛拠点だ。
なにしろ家には母という「女帝」と、兄という「王子」がいる。
その母の怒りや兄王子の不機嫌さから逃れるための、言わば最後の砦。
そしてそれ以外は戦場のようなものである。
部屋のドアを閉めると、外の世界の騒音がかすかにフェードアウトし、静寂がやってくる。
王子の勝利と忠実なる家来
「我が家の日常は、まるで中世の宮廷劇場の舞台」
中心には、我が家の王子様、兄が君臨している。今日も彼は、好きなゲームに全身全霊を注ぎ込み、勝利という名の王座に向かって突き進んでいる・・・・・・と、本人は思っている。
ある日、兄とゲームをしていたのだが、彼はまるで選ばれた勇者のように自信満々でスタートボタンを押した。その顔には「今日は絶対に勝つ」といった無邪気な確信が表れていた。
だが、こ
兄と母と僕、そしてちょっとした希望
小さい頃の僕にとって家族は、どこにでもある“家族”のはずだった。もちろんそれは、兄が絶対的に君臨する家だと気づくまでの話だ。
僕?僕はその端役を担うただの従者に過ぎなかったんだ。
家族で出かける度、僕の「控えめな意見」が無視されるのは、兄が生まれながらの「王子様」であるからに他ならない。いや、僕の意見がそもそも尊重される見込みなど、最初から存在しなかったのだろう。
というのも、我が家には不文律が