小説 『202X年 びょういんで はたらく パパ』
202X年の朝、
勤務先の建物は、関係者入り口まで列が続いていた。
ガラス扉の向こう側、ビニールシートで区切られた待合スペースはもちろん満席。
昨夜の健康情報番組で、あんな話題が出たから当然か。
うちもそろそろ当日受付は止めて、
完全予約制にしてほしいものだ。
でもそういうことは経営者が考えること。
自分は目の前にいる一人一人に対し、
できることを淡々とやるだけだ、
それがプロフェッショナルというものだ、
そう言い聞かせてエレベーターに乗った。
消毒室を抜けて、ロ