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行動が遅れることによる機会損失を回避する #94リーンスタートアップ

マネジメントとは、企業であれば、人材などの経営の持ち得た資源を活かし、それぞれの欠点を補い合いながら、目的を達成するための行動に結び付けさせる機能です。

誰もが目的の達成、つまり、成功を求め、誰もが失敗を回避しようと考えます。
しかし、成功と失敗には、共通点があります。
それは、目的や目標に対して行動した結果であるということです。
行動しなければ、成功も失敗も生まれません。
また、目的や目標という基準なくして、成功や失敗の判断もできません。

多くの技術者あるいは製造に携わる者にとって、崇拝される人物に、本田 宗一郎(1906年11月17日 – 1991年8月5日)氏がいらっしゃいます。
本田技研工業の創業者として日本を代表する実業家であり、技術者です。
その本田氏が生前、残された言葉があります。

私がやった仕事で本当に成功したものは、全体のわずか1%にすぎないということも言っておきたい。
99%は失敗の連続であった。
そして、その実を結んだ1%の成功が現在の私である。
私の現在が成功というのなら、私の過去はみんな失敗が土台作りをしていることになる。
私の仕事は失敗の連続であった。


正に「失敗は成功の種」、「失敗は成功のもと」、「失敗は成功の母」と言ったことわざに通じる言葉です。

人には、現状を現状のまま維持したいと思う無意識の欲求があるのだと言われています。(現状維持バイアス)
結果、これが行動できないことにつながってしまう一つ目の原因です。

しかし、行動しないことが現状を維持できる保証なのだと勘違いしてはなりません。
現代は、変動的で不確実であり、さらには複雑で曖昧な、先行きの読めない時代といわれています。
その様な環境下で行動しないということは、現状維持どころか衰退を意味していることを自覚しなければなりません。

もちろん、行動することで失敗というリスクの可能性を負います。
しかし、同時に成功を勝ち取る可能性も生まれます。
要は、失敗を恐れるよりも、失敗を上回る成功を得るための行動を繰り返せば良いのだと本田氏が説いてくれています。

新しい行動には、必ず未体験の未知要素が含まれます。
事によっては、100%が未知要素かもしれません。
当然、未知要素が多い状況で行動するということは、失敗する可能性が高くなるということであり、無謀とも取れます。
故に行動に踏み切れなくなるともいえます。

勘違いされて困るのは、失敗にも質があるということです。
いくら、「失敗は成功の種」といえども、無計画で無謀な行動による失敗は、決して許されるものではありません。

そのために、必要なのが、将来の目標を達成するための時系列的なフィードフォワード思考です。

その意味でも、将来の未知要素を仮説要素に置き換える必要があります。
仮説とは、本件は未体験ではあるものの、過去の自身の体験や第三者からの助言や文献などを参考に論理的に導き出した仮の答えです。
その上で、仮説要素を減らして行くことが大切となります。

しかし、この仮説要素を皆無にしようとする行為が行動できないことにつながる二つ目の原因でもあります。

仮説要素を皆無にするための解明作業は、決して容易ではありません。
言い方を変えたら不可能なのかと思います。
結果、いつしか仮説要素を解明することが目的となってしまい、行動が遅れたり、結局、行動することができないまま機会を逃してしまう場合も少なくありません。

これを解決する手法としてリーンスタートアップ(Lean Startup)があります。
これは、仮説要素を30%程度に出来た段階で、行動をスタートさせる考えです。
解釈によっては、見切り発車ということになります。

もっと、分かりやすい例えなら、100万円貯まったらスタートさせようとしたことがあります。
しかし、100万円を貯めるまで待っていては、チャンスを逃してしまいます。
ならば、70万円貯まった段階で、見切りでスタートをして、行動しながら、残りの30万円を貯める考え方です。

元々は、開発スピードが重要視されるシリコンバレーで、多くのスタートアップ企業から大企業までが採用していたノウハウです。
ここで、リーンスタートアップそのものの理論を解説することつもりはありません。
※詳しく知りたい方は書籍を読んでみてください

そのため、独自の管理手法などもありますが、私は、行動によって、この残された仮説要素を減らして行く定番手法ともいえる PDCAサイクルを活用あるいは推奨しています。

PDCAとは、計画Plan→行動Do→評価Check→改善Action(→新たな計画P)のサイクルを意味します。
計画P:仮説要素も含んだ上での計画立案する
行動D:計画Pに基づいた行動を実行する
評価C:行動Dの結果と計画Pとのギャップを検証して、計画Pの評価を行う
改善A:評価Cによって、計画Pを改善Aあるいは調整し、それに基づいた行動を実行する
そして、サイクルとはいえ、改善Aから元の計画Pに戻るのではなく、より仮説要素の少ない計画Pを立案して、新たなPDCAサイクルを回すことになります。

リーンスタートアップとは、行動の遅れによる失敗と行動による失敗を最小限に抑えるためのリスクマネジメント(危機管理)の考え方であると思います。

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