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日記以外

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継続するために書いている1週間日記以外のものをまとめています。書きたいことはもりもりあるのに気力がない。
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記事一覧

餃子がきらいだった

餃子がきらいだった

子供の頃は餃子が嫌いだった。
というか挽肉が嫌いだった。肉の種類ではなく形態が。
中でもハンバーグは最悪だ。挽肉を固めて焼いた代物、一体何が美味しいのか分からなかった。
ついでに言うとカレーもオムライス(というかケチャップライス)も嫌いだったし、すきな食べ物は茗荷と春菊、魚の血合の部分だった。
変な味覚の子供だったから、母は面食らったと思う。

ただ餃子は我が家でたびたび出てくるメニューの一つだっ

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香炉掃除に死と生活を見た

香炉掃除に死と生活を見た

実家に帰った時に、香炉の灰の掃除をした。
母親から「もうお線香立たないかも」と声をかけられたからだ。
聞けば1ヶ月は掃除していないとのことだった。
それが少ないのか多いのかわたしはよくわからないけれど、それならばと掃除を承ったのである。

割り箸で香炉の中を探ると夥しい数の線香の端が埋まっていることがわかった。
灰が溢れないよう注意をしながら、割り箸を介して伝わるざらざらとした感覚を頼りに取り除い

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オシャレへの恐怖

オシャレへの恐怖

「オシャレ」は不可侵領域だと思っている節がある。
卑屈の権化と言っても過言ではなかったわたしは、別に誰かに何かを言われたわけでもないのに着飾ることに抵抗を感じていた。
「大してセンスもないのに頑張っちゃって」と言われているのではないかと勘繰っていた。
言われていなくても思われているのではないかという恐怖心から、無難と思われる格好、もっといえばダサいと思われているかもしれない格好を選んでしまっていた

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過去の気紛れは図書館の天使だった

過去の気紛れは図書館の天使だった

 昨日から心の調子が悪かった。
 と言っても診断名がついているわけではなく、ただ気分が滅入っていたというだけ。原因はわかっていて、その原因はわたしではどうすることもできないということもわかっていた。
 だからわたしができたことは強制終了することだけだった。つまり、何もせずに布団に包まって夢の世界に逃げ込んだ。夢は見なかった。

 朝、いつも以上に働いていない頭でシャワーを浴びて、大して美味しくも不

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違いを気にする必要のないくらい当たり前になればいい

違いを気にする必要のないくらい当たり前になればいい

 カナダに行くことになった。
 ことの発端は友人Aがワーキングホリデーでカナダへと旅立つことになったからだ。壮行会をした際に、どうせならカナダで会おう、という話になった。学舎を共にしていたわたしたちは、時を経て海外で集合するまでになったのだな、と感慨深かった。

 約12時間という長い空の旅を終え、入国審査の軽さに拍子抜けしながら空港を後にした。
「welcome to CANADA〜〜〜!!!」

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キリンのオブジェの横で迎え入れてくれるのはあなたがよかった

キリンのオブジェの横で迎え入れてくれるのはあなたがよかった

 私が中学に上がる前、もしかしたら中学に上がってからもあったかもしれないが、とにかく両手の指では足りないくらいには昔の話。毎年夏に家族で行く海水浴場があった。泊まる宿も毎年同じだった。私はその宿込みで、この旅行が大好きだった。

 初めてその宿に泊まる時、紙の地図を数回確認するだけで大抵のところに迷わず運転していける父が迷ったのを覚えている。山の中と言っても差し支えない暗い場所で、白い石像の天使が

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あなたたちの幸せを心から願っていることに変わりはない

あなたたちの幸せを心から願っていることに変わりはない

過去にゲイの友人がいた。
過去形なのは仲違いしたわけではなく、単純にもうずっと連絡を取っていないからだ。更に言えば、定期的に顔を合わせる機会があった時でさえそんなに話さなかったのだから、もはや友人というよりかは一定期間よく顔を合わせていた知人という方が正しいかもしれない。

彼がゲイだと知ったのは出会ってから数ヶ月経ったあたりのことだった。複数人で話していた中でカミングアウトをされ、私もふーんそう

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音楽とわたし

音楽とわたし

今話題の映画を鑑賞した。内容は割愛するが、劇中歌のためだけに観に行ったと言っても過言ではない私としては、大変満足している。
そんな劇中歌をイヤホンから流し、サビに差し掛かったあたり。ストリングスが入ってきたその時、私は子供の頃から10年以上続けていたエレクトーンを思い出してしまった。

こんな風に、思いも寄らない角度から、何年も眠っていた記憶が急に目を覚ますことがある。その度に私は夏の夕暮れの最中

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