マガジンのカバー画像

読書感想文

10
読んだ本の感想アウトプット。
運営しているクリエイター

#自分

「道化の華」太宰治 〜めくるめく太宰ワールド〜|読書感想文 #10

「道化の華」太宰治 〜めくるめく太宰ワールド〜|読書感想文 #10

人間失格と同じく大庭葉蔵が主人公の作品。女性と入水して葉蔵だけが生き残り、その後の入院生活が描かれる。

実体験がベースにはなっているんだろうけど、どこまでが本当のことでどこからが創作なのかがわからない。(私の好きな「富嶽百景」も、最後写真を撮ってあげる場面はリアル太宰とは違うらしい)

時折挟まれる作者の考え(つぶやき?)も、色々なことを言っているけど、どこまでリアルで考えていることなのか、この

もっとみる
「葉」太宰治 〜どうにか、なる。〜|読書感想文 #9

「葉」太宰治 〜どうにか、なる。〜|読書感想文 #9

ついに、ずーっと温めていた『晩年』を読み始めた。
なぜ温めていたかというと、「『晩年』に就いて」で太宰がこんなことを言っていたから。

美しさ、発見してみたい。
発見できそうな余裕があるときに、ゆったり読もうと思って、温めていたのです。

けど、ふと思いました。
何かで辛いとき、落ち込みがちなときにこそ、太宰から力をもらってきたじゃないかと。

よし、今読もう。
(ちょうど、小栗虫太郎の法水短編集

もっとみる
「『晩年』に就いて」太宰治 〜太宰治の文章って素敵だよなぁ...〜|読書感想文 #3

「『晩年』に就いて」太宰治 〜太宰治の文章って素敵だよなぁ...〜|読書感想文 #3

もう、タイトルそのままのことを感じた。
出尽くした感想かもしれないけど、太宰治の、読者に語りかける書き方が、私はとても好きみたい。
壮大なことでなくとも、ただ、自分の書いた小説について書いたことも、なぜか魅力的に感じる。

「『晩年』に就いて」も、太宰が出した最初の小説集について、文庫本でいうと2ページだけさらっと書かれたものだ。

これだけ読んでも、ああ、やっぱり太宰っていいなと思う。

いや、

もっとみる
「大川の水」芥川龍之介 〜龍之介さん、涙していて可愛い〜|読書感想文 #2

「大川の水」芥川龍之介 〜龍之介さん、涙していて可愛い〜|読書感想文 #2

芥川龍之介の随筆が好きだ。
正直、小説は、堅苦しい感じがして難しかった。
角川文庫の『羅生門・鼻・芋粥』に収録されている「尾形了斎覚え書」は、漢字が多くて読みづらそうだったから、飛ばした。

そんななかで、「大川の水」に出会った。
川の水の描写が目に浮かぶようだったし、何よりも、「大川」を、そして「東京」を愛する芥川の心が素敵で感動した。

「大川」そして「東京」への「好き」が伝わってくる。
心が

もっとみる
「懶惰の歌留多」太宰治 〜三十一歳は三十一歳だけのことしかない〜|読書感想文 #1

「懶惰の歌留多」太宰治 〜三十一歳は三十一歳だけのことしかない〜|読書感想文 #1

突然ですが、読書感想文を書いてみます。
最近読んだ、太宰治の「懶惰の歌留多」(らんだのかるた)から。

作家である「私」が、「怠惰」であることの言い訳をつらつらと述べるところから始まる「懶惰の歌留多」。
なかなか書き物が書けなくて、やけくそになって、いろはかるたの形式で少しずつ書き始めていく。

「に 憎まれて憎まれて強くなる。」の句の説明?にこんなことが書かれています。

私も今年三十一歳になる

もっとみる